「世界中が敵になったとしても、俺はかなちゃんの味方でいるからね」

18歳、大学生のとき、住んでたアパートの近くのスナックでバイトをしていた。自衛隊の基地があったため金曜の夜はよく自衛隊員が飲みに来ていた。その中には熱心に口説いてくる男もいて、そんなセリフを言っていた。どういう意味だろうと思考を巡らせたからか、相手の名前も思い出せないのに言葉だけハッキリと覚えている。

昨日から入院している。
急性扁桃炎と扁桃腺周囲膿疱で、窒息の恐れがあるため緊急入院。新学期で子どもたちの予定が落ち着かない中の入院、3月も仕事を休んでいるので申し訳なく情けなく。
昨夜は切開手術があまりに痛くて泣いた。麻酔効いてないよ先生。喋れないし、食べられない。誰に助けを求めればいいのって、父親にほうぼうへの連絡を頼んで、長男に自活と子守りをしてもらうしかない。
「パパ呼ぶ？」「いい、大丈夫」
そんなメールのやり取り。長男の"大丈夫"がママに気を遣って呼ばなくていいの大丈夫が、本当に要らないの意味の大丈夫か分からないが、長男を信じて呼ぶのをやめた。わたしの次に家のことを分かってるのは元夫なのだ。でもこんな困った時でももう呼べない。
子どもが大きくなるまでは、そばにいて欲しかった。心配してくれる人は沢山いても、頼れる人がいないのだ。

味方ってなんだろう。
「ずっと俺の味方でいてよ。俺はおほさんの味方でいるからさ」
数日前に好きな人に言われた。18歳の自分が言われた言葉とかぶる。でも言葉だけの愛なら要らない。それは自己愛だから。責任は負わない、でも自分を好きでいてほしい＿＿。彼はわたしに好きだと絶対に言わない。
嫌な恋ばかりしてるな。
人を信じられなくなってきている。
人の気持ちは変わるし、裏切るし忘れるし、でもまあ人間そんなものかもしれない。
わたしは誰かが困ってたら助けになりたいと思うけど、その人の味方になれるかと言われたら即答できないし、相手が自分の味方かどうかも判断できない。

主治医に持病を訊かれる。
「PTSD」「原因は？」「暴力」「誰に？」「元夫」「もう別れてるんだよね？」
先生それ治療に必要？二次加害だよ。
涙が止まらなくなる。男にこんな嫌な思いさせられるのを終わりにしたい。味方じゃないんだよ、あなたたちは敵だよ。
(全国の男性すみません)

やることが沢山ある。早く回復して退院しないと＿＿

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