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土曜日の定番、世界で三番目にうまい店

人生で食べた回数が多いメニューってなんだろう、と考えていたら、チャーハンかもしれないなと気づく。
それと同時にカメラロールから掘り起こされるこの写真。
ああ。たまに食べたくなっちゃうんだな、このピンクのチャーハン。

わたしが東京で4年くらい住んでいた街「下北沢」
いつも行く店が定まっていないわたしがリピートして食べてしまった味。

下北沢「珉亭」

下北沢によく来る人、住んでいる人でこの店に行ったことがないという人はモグリと言われるほど有名な街の中華屋さん。
「世界で三番目にうまい店」というのを入り口のショーウィンドウに押し出しているのだけれど、これが本当にうまいこと言っている。
ちなみに一番目は当然「おふくろの味」。二番目は…お店に直接行ってその文句を確かめてほしい。ここの文句に「ああ、やられたなぁ(笑)」となること間違いなし。

それにしてもこのピンクのチャーハンだけでなく、素朴な中華そばの江戸っ子ラーメン、ザーサイ、餃子。どれをとっても素朴でうまい。
どれもうまいけれど、やっぱりいつ来ても頼むのはチャーハン。

初めて頼んだ時に「え、ピンク……?」と驚かされたけれど、色の秘密はチャーシューにあり。ゴロリと入ったチャーシューがそもそも赤く着色されているからだった。

珉亭のチャーハンがピンク色なのは、チャーシューがしっかり入っているかのバロメーターだと思っている。


わたしの土曜日の定番

とはいえ、珉亭でチャーハンを食べた回数が多いから、人生のチャーハン回数が増えたわけではない。チャーハンといえば、わたしが小学生の頃、土曜のお昼ごはん定番メニューだった。

うちは商売をしていて、土日もなく店を開けていた。
その当時の土曜日は学校がお昼まであって、瓶牛乳を飲み干し、みかんを食べて、掃除をしてから下校。当然、昼食は家に帰ってからだ。

私たち姉妹が帰って来たな!と思うと、仕事の合間を縫って母が手早く作ってくれるのは、もちろんチャーハン。
今のわたしが推測するに、とにかく素早く作れて、そこそこ美味しく、育ち盛りの子どもがしっかりお腹いっぱいになるから、という理由だったのだろう。作る頻度が多かったメニューだった。

そんな頻度の多さだったにもかかわらず、母が作るごはんの中では、飽きることもなくやっぱりチャーハンが好きだったけれど、今思えば妙に味が薄かったように思う。

炒り卵、玉ねぎ、人参、最後に小口切りにしたネギをぱらり。

そういえば、肉の類は何が入っていたのかが思い出せない。ハムだったのか、朝食の残りのウィンナーだったのか。もしかしたらひき肉だったか…
少なくともチャーシューが入っていたことは一度もなかった。

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大人になって、たまに実家に帰るようになってからは、せっかく帰って来たのだから、と普段の食事より少しだけ豪華なラインナップになりがちだから、一度も母のチャーハンを食べていない。

今度帰った時に、作ってもらおう。



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