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宙組『アナスタシア』シャーロック・ホームズ前夜祭

別れに「星風」のワルツを歌おう

宝塚大劇場で宙組『シャーロック・ホームズ』がはじまった。スカステニュースで初日映像をチラ見せしていた。いよいよ私も来週観劇。観劇記を書くのは必至。
今回の最大の話題は、やはり娘役トップ交替劇だろう。観劇記を書けば新トップ潤花さんについて触れないわけにはいかないだろうが、順序として、宙組から去ってしまった星風まどかさんについて喋りたいわけだ。
だから、星風さんと宙組前作『アナスタシア』について語りたい。

厳しいスタート

星風は真風涼帆と同時にトップに就任したわけだが、その前作、朝夏まなと退団公演『神々の土地』はトップ娘役不在だった。『神々の土地』では玲美うららさんがトップ娘役扱いだったのが、正式にはトップ娘役とならないまま、朝夏と同時退団。
実は私は、実咲凜音退団後、伶美うららがトップになるものと思い込んでいたのだった。正しく書けば、私は玲美うららがトップになったらいいな、と思いっていたのだ。
というわけで、星風さんには厳しいスタートだったのです。私目線ですけど。

なぜ玲美うららを望んだのか

玲美さんは美しい。スカステをみても、写真を見ても美しい。でも、私が言いたいのは、そこではない。タカラジェンヌは舞台俳優なのだから、舞台で映えてなんぼの世界。玲美さんは舞台で美しい。A席から見ても、B席から見ても美しい。娘役群舞で「あれ、きれいな人がいるな」とオペラで覗けば、それは決まってうららさん。抜群のスタイルのなせる技。
真風涼帆さんは、これまたスタイル抜群です。気をつけて見ていると、真風さんが高身長なことに気づくのだが、彼女はそれを感じさせない。身長の高いジェンヌさんが登場すると、まず「でかいなあ」と感じるものだが、真風さんが出てくると「カッコいいなあ」と思う。高身長なのに、背の高さを意識させない。つまり、これがスタイル抜群ということだ。
二人が並んだら、どんだけよ。アダルトビューティー・トップコンビの誕生だ!
と期待していたら星風まどかトップ娘役就任のニュース。

星風さんは悪くない

そう。星風さんは、全然悪くない。死んだ子の歳を数えるように、わたしは去ってしまった玲美さんの幻影を求めてしまったわけです。
要は、真風さんとのバランスなわけだ。星風さんは玲美さんのようなレディ度が高くないとか、お転婆娘系だとか(ホントの彼女のことは知らない。あくまでも私の脳内イメージだよ)も、コンビとしてのネックのように思われた。私は真風・伶美の大人の恋愛劇が見たかったのだ。アダルトビューティーな真風兄さんとお転婆娘のコンビに、どんな芝居が合うのだろうか。

答えは『アナスタシア』

精神状態が普通と違ったと思う。
昨年2月星組『眩耀の谷』を観劇した直後、コロナで劇場は閉鎖となった。その後、再開と休演を繰り返してた。
久々に再開した劇場に足を運んで観たのが、『アナスタシア』。約9ヶ月ぶりの宝塚。
幕が開き、芝居が始まった時の感動はどう表現したら良いのだろう。
「宝塚歌劇がこの世界に存在していてよかった」かな。
「宝塚と出会った人生を生きている私は幸せ」かもしれない。
「また宝塚を見ることができホントに幸せ」かもしれない。
宝塚を観ていることだけで、泣きそうな自分がいた。
そのうえ演目は、名曲だらけの『アナスタシア』。
ハッピーエンドはお約束。ゆったり安心御観劇ください、でしょ。
幸福を噛みしめながら、舞台を見つめる。
星風さん、いいじゃないか!
お転婆娘とはちょっと違うけれど、元気いっぱい、世間知らず(記憶喪失)のお嬢さんアーニャは、星風まどかにピッタリ。それを教育するアダルトビューティーお兄さん、真風涼帆。これもまたお似合い(真風さんは何をやってもお似合いだけど)。
『アナスタシア』第一幕は基本『マイ・フェア・レディ』だから、アーニャ=花売り娘イライザ=星風さん。ヒギンズ教授とイライザの違和感を考えると、真風・星風は全然違和感なし!
第二幕は基本『ローマの休日』。グレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーンの年齢差。真風・星風、問題なし!
『アナスタシア』一作で、私は星風まどかのファンになりました(今までごめんね)。

ブルーレイではわからない

アーニャがはまり役であることだけではない。
劇場で圧倒されたのは彼女の歌唱力。彼女が歌い始めると空気が一気に「ミュージカル」に変わった。こんなふうに書くと誤解を招くかもしれないけれど、宝塚をディスっているわけではない。星風さんに続いて城田優が歌い始めても全然おかしくない感じ。
星風さんがうまいとは知っていたけれど、これほど歌えるとは思わなかった。実力を発揮できるような歌を歌う機会がなかったのか、私が聞き逃していたのかわからないけれど。
ところが、ブルーレイ購入して再生してみると、劇場で聞いた圧倒的な力が感じられない。バランスを考えて、調整が加えられているのかもしれない。やはり、劇場に足を運んで、実際に見なければわからないことはたくさんある。
玲美さんの美しさも、劇場後方から観劇しないとわからないからね(まだ言ってる)。

「星風まどか、専科に移動」ニュースは意味不明だったが、花組トップ娘役と聞いて一安心。柚香光となら、お似合いかもしれない。その抜群の歌唱力と演技力で、花組で活躍することを祈っています。

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