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「YouTubeで勉強しているから授業は聞かなくても良い」をどのように乗り越えるか【女子校の先生になったら読むnote】

 私立高校(女子校)勤続10年のkanari_Pです。
女子校に勤務されている先生、あるいは勤務が決まった先生向けに、さまざまなテーマでお話をさせていただいています。
 本日は掲題のとおり、「YouTubeで勉強しているから授業は聞かなくても良い」についての考えを述べようと思います。よろしくお願いいたします。

 理由はどうあれ、「先生の授業は聞かなくてもいいと思ってます。」と、受け持つ生徒に言われたら、これはかなりショックです。空き時間も、ご飯の時間も、寝る時間も削って授業の準備をしている側からすれば、イラ立ってくるのも十分理解できます。

 しかし、イライラして生徒に当たっても仕方がありません。また、発言した生徒に対し、「それを言われた先生はどんな気持ちになるか、少し考えてみて」という指導は、道徳的には必要かと思いますが、「先生の授業を聞かなくていい」の反論には永遠にならないと思います。
 ここは教師側も、気持ちを緩めて、思考を考え直してみましょう。

戦う必要はない。

 恥ずかしながら私は、youtubeにて教育系の動画を見たことがありませんでした。生徒らに聞いてみると、非常に楽しく、わかりやすいものが多いようです。生徒に教えてもらって、何名かの動画を拝見しましたところ、たしかにとてもおもしろくて理解がしやすい。「なるほど、このようなアプローチがあるんだなぁ」と感動いたしました。

 それと同時に、この方々以上のトークは、私には絶対できないとも感じました。というより、できなくてもいいはずだとも思いました。なぜなら、「教師が生徒に○○を教える」時代はすでに終わっているからです。今は、「生徒が自ら○○を学ぶ」であったり、「生徒が周りと協力しながら○○を学ぶ」であったりという、主体的・協働的なものが求められている時代です。

 したがって、教師に求められている授業力は、「専門的な知識や技術を、生徒にわかりやすく伝える力」ではなく、「受験対策をしっかりと教える力」でもなく、「生徒の心に火をつける力」です。いかにして学びたいと思わせるか、そこにフォーカスすべきと考えます。

むしろ頼ってはどうか。

 私は地理歴史と公民の免許を持っています。ということは、地理総合・歴史総合・公共から始まり、地理探究・日本史探究・世界史探究・政治経済・倫理と、幅広い知識が求められます。自分自身、プロとしての自信はありますが、職場には自分よりもハイレベルな先輩方がたくさんいらっしゃいます。「私より、あの先生の方がわかりやすいしおもしろいよなぁ」と思う日々です。そこに教育系youtuberの方々…。

いっそのこと、授業をしてもらったらいいのでは…?

 「日米和親条約はなぜ不平等なんでしょうか、ホントに不平等なんでしょうか」などと課題を渡しておいて、教科書や史料集を見て調べ、周りの人と相談しながらレポートにまとめなさい、なんてことをする機会があると思います。そこにyoutubeを加えるだけなのでは…?
 レポートにまとめさせても良いでしょうし、チームをつくってプレゼンをさせても良いでしょう。知識の定着が気になるなら、最後に小テストで「不平等の理由を2点書きなさい。」としておくなど、方法はいくらでもあります。戦い方を考えるよりは、上手く取り入れる方法を考える方が早い上に幅が広がるように思います。

「聞きなさい」から「調べてらっしゃい」へ

 全員前を向いて教師の講義を聞き、ノートをとり、発問すればみんなが手を挙げて答えるというクラススタイルは、この10年でもうなくなったんだろうなと、次々入学してくる生徒を見ていると感じます。「わからんかったら、いつでも調べられる」という時代になっている今、何を教えるかよりは、何を考えさせるか・どのように調べさせるか、ということを考えていかねばいけなくなったように思います。これからの先生方は、自分たちの生徒時代とは違う授業を考えさせられる時代がきたのでしょう。「教師は生徒に教えるものだ」は間違っていないと思いますが、「教師は生徒の心に火をつけるものだ」という心ももっておくと、自身の教師力に深みが増してくるように思います。

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