金糸雀堂

元時計修理屋・絵や怪談や奇談を書いたりする人。いつか人様の小説の表紙や挿し絵を描いてみ…

金糸雀堂

元時計修理屋・絵や怪談や奇談を書いたりする人。いつか人様の小説の表紙や挿し絵を描いてみたいと目論んでいます。

最近の記事

実話怪談:ふわふわした毛玉

実家に居た頃の話なんですが、襖を開けたらバレーボールぐらいのサイズのふわふわした丸い毛玉に、雑に短い手足を生やした変なのが居たんですよ。 目も口も耳もない不思議なものと何故か“目”があった感覚がして、あれっと思ったら足元からスウッと消えてしまいました。 それから何年かして、図書室でたまたま見つけた山海経の混沌のページにあった挿絵とふわふわが良く似ている事に気づきましたが別物でしょう。 だって羽はなかったから。

    • 実話怪談:踊る骨

      母から聞いた話です。 私の姉は幼い頃、アパートの窓から見える踏切を指差して 「骸骨が踊っているよ」 と言って母を怯えさせたそうです。 それを聞いた私は単に寝ぼけた幼児の可愛い発言ではと言った所、母はこう続けました。 「踊る姿と苦しみ悶絶する姿って似てるよね。」 その踏切では過去に自殺があったそうです。

      • 怖い話

        人は怪異に遭遇した場合一人で抱え込む事に限界を感じて他者に話したがるんですよ。 ただ怪異を真実として伝えてしまうと、正気と倫理を疑われ攻撃に曝される場合があります。そういった事を回避するために“怪談”として創作というオブラートに包んで出すんですね。 さて、これを読んでいるあなたがたが今まで読んだ怪談は本当に創作だったんでしょうかね。

        • 実話怪談番外:時計の針をいじるのは

          私は以前時計の修理に携わっていたんですが、ある日酷く狼狽えた様子のお客様が来店されたんですよ。 手に大事そうに包みを抱えてらして、話を聞いた所なんと時計の針が夜中に高速で動き出して気味が悪い。幽霊が悪さをしているのではないかと言うのです。 御客様の時計の説明書を開きながら、真夜中に針が高速で動くのは自動受信といって元々機械に備えられた時刻のズレを修正する機能である事、それが正常に働いている事を説明した所安心してくださいました。 現象の理由が解らないと、人は不安になり幽霊

        実話怪談:ふわふわした毛玉