見出し画像

何を書きたいかは、これから見つけていけばいいんだ。

小説家であり続けるために、ライバルの少ない分野で書き続ければいいのではないか、というような記事を書いたのはほんの1か月前なのに、今はまた真逆のことを考えている。

ライバルの少ない分野というのは、たとえば、科学書やビジネス書のゴーストライターを小説で書くという仕事だ。きっと需要はあると思う。ライターと小説家の両方をガチでやっている人しかできないから、ライバルも少ない。できます、やりますと看板を掲げたら、わたしは小説を書き続けられるだろう。でも、何だかもやもやする。もやもやの理由は、本を書く労力と収入が見合わないからで、つまり増刷される書き手になれば解決する!わたし天才か!

…と、思いついて、解決したかと思ったのに、また、昨日、もやもやし始めた。たとえばゴーストライターとして小説を書く仕事が殺到して、売れまくって、儲かりまくったとしても、わたしはやっぱりそんなに嬉しくないかもしれない。

ライター仕事に関しては、理系ライターを名乗って、研究者や専門家のインタビューに絞って仕事をすることに何のためらいもないし、楽しいのに、小説に関しては、分野を絞りたくないと思ってしまう。これまでTL小説(女子向け恋愛ライトノベル・エロあり)で随分書かせてもらったし、依頼があればまた書きたいけれども、他の分野も書きたいと思ってしまう。かといって、何が書きたいのかと問われたら答えられない。

わたしには内から湧き出る衝動なんてない。小説家に向いていないのかもしれない。誰かの主張を小説化する仕事しかできないのかもしれない。そんなふうに考えたら、さみしくて悲しくて落ち込んでしまった。

…が、波乱万丈で素敵な人の人生の話を聞いているうちに、びょーんって元気になって復活した。その人に比べると、ここまでのわたしの人生、ほとんどの時間をデスクの前に座って過ごして、こもって生きてきているだけじゃないか、と思った。書くこと・学ぶこと・読むことにほとんどの時間を費やしている。世間知らずだし、経験不足だし、視野は狭いし、苦労も知らない。そりゃ、書くことがないのも当然だよ。

わたし、これからじゃないかな。これから、書きたいものに出会うために、小説を読んだり書いたり行動し続けていったりしたらいいんじゃないか。一生をかけて。

右往左往してるけれど、ずいぶんしっくりする答えに近づいてきた気がする。やりたいことがわかった。自分が心の底から書きたいと思えるものを見つけて、それを思う存分書いた小説を完成させたい。そう、「書きたいものを見つける」ところから、やりたいことに組み込めばよかったんだ。

書きたいものがないことをコンプレックスに感じるのをやめて、わくわくしたい。いつか出会える日を夢見て楽しく小説活動をしていきたい。卑屈になって、小説から離れてしまったら、出会えるものも出会えなくなりそう。未来の自分は何を書いているのだろう。書きたいものに出会えたわたしは、今よりずっとわくわくした日々を送っているだろうな。

そのために今は小説の技術を磨いて、人間力を身につけて、思考の解像度を深めたい。新しいホームページでは、読書エッセイを連載したいな。その連載のために、しっかり本を読む。読んだことを言葉にする。書評ではなく、自分の日常や考えと結び付けて、でも、その本のことが気になって、読みたくなるような、そんなエッセイ。

それに取り組む時間を確保するだけでも、小説活動の時間が増えると思う。書くことで自分の学びにもなるし、本が好きな人が増えるかもしれない。立ち寄ると、小説のことがますます好きになるような、そんなホームページにしたいなあ。夢は膨らむ。でもまだまだ、自分を理解する必要があるな、と思う。

※お知らせ
小説講座「小説の書き方1から10まで」冬(東京)の受付開始されました。東京で年に1回だけやっている講座です。毎年すぐ定員が埋まってしまうので、気になる方はお早めに。

わたしが教えられるのは、届けるための技術だけ。たくさんの人の中に眠っていて知られたがっている物語を、その人が望むとおりに伝えられるように。だから、まだ書きたいものがない人も、楽しめる講座かも。想像力を使ったアトラクションみたいな感じ? どんなだよ、と思った人は、YouTubeでもどうぞ。講座では添削はありませんが、ワークをしてもらっている間に、手元を覗きこんではフィードバックしまくります。将棋の名人が複数人相手に指していくあれを、40人分! 一目で突っ込みどころを見つけるのが、長年予備校の小論文添削をし続けたわたしの特技です(笑)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?