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三島と東京、他地域をつなぐこと

この記事は「三島に関わる人達Advente Calender 2020」に参加しています。

■関係人口づくりは人が中心

「関係人口」とはソトコト編集長 指出一正さんが提唱した言葉で、総務省の定義では「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」とされている。
私が運営している東京大手町の交流拠点「3×3Lab Future」では地域活性化をテーマの一つにしていることもあり、様々な地域においてこの「関係人口づくり」を目指した活動をしている。
・3×3Lab Futureを拠点とするまちづくり団体エコッツェリア

東京で地域のイベントやプロジェクトを実施していると、必ずといっていいほど「出身なんですよ」とか「昔その地域で勤務してました」「観光で行って好きになりまして」など地域に思い入れがある人が集まり積極的に関わってくれる。中には「行ったことないんですが気になりまして」という人も出てくる。

コロナ前に行われた宮崎イベント、多くの関係人口が集まる

継続的に関わってもらうには中心となる人が重要だが、地域に想いのあるプレーヤが最近は増えたように思う。「3×3 Lab Future」でも現在、宮崎県や北海道帯広の関係人口づくりをサポートしているが九州パンケーキの村岡さん、HOTEL NUPKAの柏尾さんなど関係人口づくりをされている方は熱い人が多い。そしてそういった人の周りには多くのサポーターが現れ、関係人口となっていく。気づけば私も宮崎や帯広の関係人口の一人になっている。

・宮崎の関係人口を進める九州パンケーキの村岡さん
https://kyushu.food-stadium.com/feature/1897/
・帯広の関係人口づくりを進めるHOTEL NUPKAの柏尾さん
https://colocal.jp/topics/lifestyle/renovation/20160609_74806.html

■三島における関係人口づくり

では私が住んでいる三島に関係人口はどれくらい存在するのだろうか?関係人口づくりを実施している人はいるのか?
私は東京で勤務しており、他地方へも出かけることが多いが、なかなか三島の情報発信を見ることは少ない。近隣自治体も含めて静岡東部の人の魅力が伝わってないのではないか。三島スカイウォークや三島大社などの観光情報をたまに目にすることはあるが、三島や静岡東部の魅力的な人を見つけるのは東京では難しいのが現状だと思う。

静岡空港にある三島スカイウォークの看板、割と目立つ

私も三島に移住して15年、東京から友人を呼び三島近辺を案内することも結構ある。三島は伊豆半島の入り口、見上げれば富士山、箱根もすぐ横の好立地。友人が来たついでに伊豆の海や箱根の温泉、富士山麓のキャンプ場に連れて行ったり、定番のコンテンツは好評で、自宅でバーベキューやピザパーティも付けると近所の方とのちょっとした交流も生まれ、みんな口々に「いいところよね」「また来たい」「できるなら住んでみたい」と言ってくれる。そしてまた来てくれる。これは観光からの交流人口を入り口にした関係人口づくりであるように思う。観光以外の観点で人の魅力を伝えて人をつなげていく関係人口づくりはできるのだろうか。

■ワーカーを三島の関係人口に

三島駅には新幹線が止まる。近隣の裾野市、沼津市、御殿場市にはトヨタや矢崎、キャノン、富士通といったメーカーの研究所や工場もあり、多くの出張者が訪れる。新幹線の三島駅での乗降数が1日3万人程度と言われている。観光や通勤客を除いても少なくとも千人程度の人が三島に訪れているのではないだろうか。さらに裾野市にはトヨタのスマートシティ「ウーブン・シティ(WovenCity)」ができる。間違いなく世界中から多くのワーカーや研究者などが訪れ、三島駅を利用する出張客は増加するはずだ。

合わせて昨今はワークとバケーションを組み合わせた造語「ワーケーション」も注目されている。富士山を見ながら、三島湧水のせせらぎの前、三島大社の中でゆったり仕事ができるなどワーケーションコンテンツは開発すれば山ほどあるように思う。ワーケーションをフックに足げく三島に通ってもらうワーカーを増やすこともできるのではないか。

・富士山三島東急ホテルでもワーケーションプランを提供

私は新しい産業を三島に創出するためにもワーカーを三島の関係人口にしていくことが重要なのではないかと思っている。多くの出張者に聞くと、だいたいの方がビジネスホテルに泊まり、うなぎを食べ、出張先で仕事をして帰路につく。出張の間に地域活動に取り組んでいる人との交流や地域ボランティアへの参加など関わってもらうなどのコンテンツを入れ込める余地はあるはずだ。人材育成や地域活性化を軸としたサスティナビリティの取り組みとして受け入れる企業も少なからず存在するように思う。

三島湧水の前でワーケーション、夏場は気持ちが良い
三島の多様な場所で働くを実践中

■オンラインからリアルへのつながり

コロナ禍において旅前、旅後コンテンツとしてオンラインツアーが注目されている。ワーカーにとって出張前、出張後のコンテンツとしてオンラインミーティングも当たり前になってきた。実際に出張に行かずにオンラインで済んでしまうこともあるが、オンラインを活かした出張もしくはワーケーションの前後のつながりは関係人口づくりにも役立つと思っている。

最近は東京や三島や静岡東部の他地域をテーマにオンラインを活用した関係人口づくりのイベントを仕掛けている。開催すると面白いことに三島や静岡東部地域以外から参加してくれる方々が多い。三島や静岡東部出身の方、観光や出張で来たことがある方、来たことがないが興味があり参加してくれる方、それぞれ想いや目的は様々だが多様な方が多様な接点で三島に関わってもらう、興味を持ってもらうことが関係人口づくりには大事だ。そこにオンラインのメリットがある、どこにいてもつながることができる、人の魅力を伝えることができる。

・主催した静岡東部への関係人口づくりを目的としたオンラインイベント

コロナ禍で大変なことも多いがオンラインのメリットはぜひ活かしていくべきだと考える。以前記事を書いたオンラインコワーキングの仕組みでコワーキング同士を繋いだり、オンラインネットワーキングを進めていくことも有効だ。オンラインで三島に興味を持ってもらい、実際に三島でプロジェクトに携わり、オンライン、オフラインで人の相互交流を図っていく流れを創ることができれば三島に定住しないまでも関係人口が増え、新たな産業創出やまちの活性化につながるはずだ。

静岡県東部の関係人口づくりのイベント
80名ほどの参加者のうち半数が首都圏や他地域のワーカー

■三島と全国、世界をつなぐLocal to Local

私は3×3LabFutureにおいて東京をハブに様々な地域をつなげる活動を行なっている。情報量、人、特にワーカーの密集率を考えると東京はハブとしての機能は担っていくだろう。そこで最近考えるのは東京を起点に地域と地域を繋げる活動ができないかということだ。現在も浜松市の創業支援サポートを東京側で実施させてもらっているが、同じ静岡県内とはいえ、特に横に長い静岡県では浜松と三島は別地域であり繋がりはあまりないように思う。だが三島と浜松を繋げるメリットもあると考えており、特に創業支援の観点ではビジネス展開や人的ネットワークとしての相互交流もあるだろう。

たまたまこの記事も出張先の沖縄から書いているが、静岡と沖縄を富士山静岡空港を活用したワーケーションでつなげていく動きもつくろうと思っている。同様に帯広や宮崎も静岡や三島とつなげていきたい。これも東京を介した地域と地域をつなぐLoal to Localの動きだ。

・前職NTTデータ時代に実施したLocal to Local青森イタリアプロジェクト

前述のトヨタスマートシティの動きが活発化すれば世界から人が来る流れができるだろう。その時に日本および世界に向けて三島の魅力、特に人の魅力をどう発信できるかが鍵になるはずだ。三島と東京、他地域をつなげるべく私は今日も動き続ける。

沖縄で静岡、三島とのLocal to Localを考えながら執筆

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