人類に「重労働」と「貧困」をまねいた2つの悲劇 1 カナイ/大学生 2024年3月7日 00:18 文章で見たい人はこちらこんにちはカナイです。みなさんはこんな疑問を持ったことはないでしょうか。なんで人は毎日何時間も働くんだろう?なんでお金中心の世の中なんだろう?現代の世界には「重労働」や「貧困」といった問題がありますよね。実は、これらの問題の根本的な原因は、人類の歴史を紐解くと見えてくるんですf今回は、歴史上で人類を大きく変え、私たちに「重労働」や「貧困」を招いた2つの悲劇について解説をしていきます。ではいきましょう。悲劇1 農業革命人類をかえた悲劇、一つ目は農業革命です。今から約250万年前に最初の人類とされる、アウストラロピテクスという猿人がアフリカで誕生しました。その後人類は、移動しながら狩猟採集(しゅりょうさいしゅう)生活を送りました。人類は最初に東アフリカからスタートし、中東、ヨーロッパ、アジアへと移動し、最後にアメリカ大陸とオーストラリア大陸に渡りながら、その地域に適した進化をしていきました。20万年前には現生人類であるホモサピエンスが進化し、10万年前には食物連鎖の頂点に立ちました。人類は約250万年にわたって、ずっと狩猟採集(しゅりょうさいしゅう生活を営んできたんです。しかし、いまから約1万年前に人類の方向性を大きく変える出来事が起こりました。それが農業革命です。農業革命とは、人類が、それまでの狩猟採集(しゅりょうさいしゅう)中心の生活を営む狩猟採集(しゅりょうさいしゅう)民族から、種をまいて作物に水をやったり、ヤギや羊を家畜化するといった農耕民族に変わり、農耕中心の生活へと移行した革命です。農耕への移行は、最初にトルコ南東部、イラン西部、レヴァント地方の丘陸(きゅうりょう)地域で始まりました。紀元前9000年ごろには小麦が栽培植物化され、ヤギが家畜化されました農業革命が人類に与えたメリットとデメリットを上げると、ざっとこんな感じです。メリット人口が増えた(人類が繁栄した)人類の知能が高まったデメリット「飢餓」が生まれ、生活の質が悪化した。「労働」という概念が生まれた。エリート層と庶民層の格差が生まれた狩猟最終時代では、人々は100人から150人の共同体で移動しながら生活しており、猛獣に襲われるリスクや、気温の急激な変化のと闘いながら生活していたため、子供を産むことが難しい状況にありました。農業革命によって、一つの土地で定住できるようになったことで子供を産みやすくなり、人口が増えました。また、農耕生活では限られた土地のなかで大勢の人々と協力して暮らしていかなければならなかったので他者への配慮や相互監視により、人類の知能が上昇しました。しかしながら、農業革命は、メリットよりもデメリットの方が圧倒的に大きい革命でした。一般的には、狩猟採集民族よりも農耕民族の方が豊かな生活を送っていたと考えられていますが、実は違います。実際には、狩猟採集民族の方が農耕民族よりも豊かな生活を送っていたことが明らかになっています。紀元前9000年ごろに農耕民族がメインで食べていたのは小麦です。小麦はとてもセンシティブな植物で、岩や石や雑草が近くにあると上手く育たないため、人類は毎日、朝から晩までそれを取り除かないといけませんでした。そのほかにも、害虫被害があったり、小麦は大量の水を必要としたので、育てるのがとても大変でした。農業革命によって「労働」という概念が生まれ、「生きていくためには、朝から晩まで一生懸命働くことが素晴らしいことである」という概念が生まれた。この価値観て、今の時代にも残ってますよね。確かに狩猟採集民族も労働はしていましたが、一日のなかで行う狩猟採集の時間は3~6時間程度だったと言われています。それだけ働けば、共同体全員が、十分な食事ができるほどの食糧が調達できました。古代の人々の骨格を調べると、農耕への移行のせいで、ヘルニアや関節炎といった多くの疾患を持つ人が増えたことがわかっています。また農業労働はとても時間がかかるので、人々は小麦畑のそばに定住せざる負えなくなり.小麦を育てるために毎日、朝から晩まで働かなければいけなかったんです。一方で狩猟採集民族は限られた土地では暮らしておらず、移動しながら自分たちで動物の肉や魚、野草、木の実などを採ることができたため、食事の量もバラエティも農耕民族より勝っていました。農耕への移行によって、狩猟採集時代よりも、得られる食糧の総量は増えましたが、それに伴って人口も増えたため、1人あたりが食べられる量は減少し、農業革命により、人類に飢餓と重労働が襲い掛かり、多くの子供が亡くなりました。現在の私たちが生活費を払うために毎日長時間働かなければいけなくなったのも、根本的な原因は、この農業革命にあるんです。歴史学者のユヴァルノア・ハラリ氏は、自身の著書、ホモサピエンス全史にて、ー農業革命は罠だった。私たちが小麦を栽培化したのではなく、私たちが小麦に家畜化されたのだー と述べています。植物は自分たちの繁栄のために、他の生物を利用します。例えば、虫に花粉を運ばせたり、鳥に実を食べさせて種子を運ばせています。植物が自身の繁栄のためにほかの生物を利用するのなら、人間を利用しない理由はありません。小麦はもともと、ただの野生の草だったにもかかわらず、農業革命によって、人間の力を借りたことで、生存や繁殖を成功させました。農業革命は、小麦が人間に仕掛けた罠だったのかもしれません。悲劇2 : 貨幣制度の誕生人類を変えた悲劇2つ目は「貨幣制度の誕生」です貨幣制度はもともと物々交換のシステムをより効率化するために生まれました。物々交換が最初に生まれたのは狩猟採集時代です。狩猟最終時代は貨幣は存在せず、どの集団も肉や薬、道具など必要なものは、すべて自分たちで狩猟採集をして作りました。集団のメンバーにはそれぞれに得意な分野があり、例えば、肉を一切れ提供すれば、具合が悪くなった時に治療の手助けをしてもらえるといった取引を行い、地元では手に入らない貝殻や黒曜石といった資源を手に入れたいときは、他集団と物々交換を行っていました。農業革命がおこった後も、おなじように人々は自給自足をしながら、他集団と物々交換を行っていました。集落は小さく、経済の模も小さかったので、専業の職人や医師を持つことはできませんでした。このように狩猟採集時代や農耕時代では、人々は自給自足型の物々交換経済で生活をしていたんです。しかし、都市や王国が台頭(たいとう)してくると、この自給持続型の物々交換経済に限界が見え始めます。この時代には、靴職人や医師など、多くの専門家が登場し、経済システムがより複雑化し、物々交換ではまかなえなくなりました。物々交換システムには2つの大きな欠点があったんです。まずと一つ目に、何と何とを交換するかを毎回決めなければいけないことです。例えば、靴職人に靴を作ってもらう場合、靴に対して、リンゴを交換する人もいれば、小麦やヤギ、布を交換する人もいます。靴職人も自分が作った靴に対して、何をどれだけ請求したらよいかを決めなければならず、それは効率が悪かったんです。2つめに、相手が欲しいものを与えなければいけないということです。たとえば、あなたが靴職人に靴を作ってもらったかわりに、リンゴを交換しようとしても、靴職人がリンゴを欲しいと思っていなければ、その交換は成立しません。物々交換システムでは相手が欲しいと思うものを与えなければ交換は成立せず、毎回交換が成り立つとはかぎりませんでした。こうして、専門家が登場し、経済の規模が大きくなったことで物々交換システムに限界が見え始めたんです。そしてこの物々交換の変わりに誕生したのが「貨幣」です。貨幣なら職業を問わず誰もが欲しがるので、物々交換の欠点を克服でき、大勢の専門家を結びつけることができます。貨幣は小さいので簡単に運べて、食べ物のように腐ったりしないので保存もできます。都市や王国では、国の王は庶民に大して税を納めるように要求しました。庶民全員が、それぞれ違うものではなく、同じ貨幣を納めてくれれば、より楽に収集ができ、国の運営が楽になりました。近代後期には、全世界が単一の貨幣圏となり、最初は金と銀、そしてイギリスのポンドやアメリカのドルといった通貨に代わっていきました。貨幣の誕生によって、もはや人類はお金がなければ生きていけなくなってしまったんです。人類のコミュニティや家族はもともと、名誉や忠誠、道徳性、愛といった「値のつけられないもの」にものへの信頼を基準にして生きていました。しかし、貨幣の誕生によって、生きていくためには、なにが何でもお金が必要になったことで、落ちぶれた親たちは自分の子供を奴隷として売り、貧困に陥ったキリスト教徒は人を殺して盗みを働き、騎士は自分の家来に現金を支払うことで、自分へ忠誠心を向けさせました。貨幣によって、私たちは赤の他人を信頼しなくなり、代わりに、その人が持っているお金を信頼するようになりました。貨幣は社会をより効率化したかわりに、世界を残酷で非人道的なものへと変えたんです。冒頭の問いにもう一度戻りましょう。なんで人は毎日何時間も働くんだろう?→それは農業革命によって重労働という概念が生まれ、生きていくためには、毎日朝から晩まで働くことが素晴らしい事である多くの人が信じるようになったからです。なんでお金中心の世の中なんだろう→それは、貨幣制度が誕生し、人類はお金なしでは生きられなくなったからです。私たちは今もお金のために働き、お金がなければ生きていけません。農業革命と貨幣制度の誕生を私たち人類を変えた悲劇と言えるのではないでしょうか?では今回は以上になります。 #人類 #革命 #悲劇 #人類史 #農耕民族 #狩猟採集民族 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート