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「ある高校球児をプロへ導いたイチローの言葉」から考えたこと

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

プロ野球や大リーグのシーズンオフ、私がひとつ楽しみにしているものがあります。

それは、イチローさんの高校球児への指導です。

2020年の冬、智辯和歌山高校へ訪れ、球児への指導がスタート。それから21年は国学院久我山高校、千葉明徳高校、高松商高校、22年は新宿高校、富士高校、そして23年に旭川東高校、宮古高校とこれまで8校を訪れました

そこで指導した球児がプロ野球の世界で挑戦をしています。その球児がイチローさんからかけられた言葉から考えたことを今日はお伝えできればと思います。


■イチローさんの指導でプロになった球児

高校球児を指導する動機についてイチローさんはこう語る。

「高校野球は野球のおもしろさや魅力にあふれています。そしてみんな脳ミソがやわらかくて好奇心旺盛。一緒にやるのはけっこう大変なんですけどね。でも結局はどんな理屈をこねるよりも一球投げて、一発打つことのほうが彼らにはずっと響くし、届くんです。これはどの高校へ行っても同じなんだと感じました」

Numberより

そして、その指導受けた中で、プロ野球選手となった球児がいました。

それは、当時高松商業高校2年生だった浅野翔吾選手です。

浅野選手は、イチローさんからの指導後の3年生の夏の甲子園で3本の本塁打を放ち、一躍プロ注目の高校生となりました。

その後のドラフト会議で、読売ジャイアンツに1位指名を受け、2023年は1年目ながら一軍での出場を果たしています。

■イチローさんが球児にかけた言葉

浅野選手が甲子園で活躍したその裏には、イチローさんが訪問した時のエピソードがありました。

イチローさんがキャッチボールの相手として浅野選手に声をかけ、キャッチボールをすることに。

キャッチボールをする中で、イチローさんは浅野選手に次の言葉をかけました

「全力の中で形をつくる」

これはどういう意味かと言うと、練習の中で、手加減したりせずに、全力でボールを投げる、バットを振る、走る。そうすると、当然、身体は疲れる。でも、その疲れた身体の状態の中でも、ベストな送球やスイング、走塁ができる状態をつくるための練習が一番大事だということ。

そこには、2つの意味がある。

ひとつは『全力』を試すことで、自分の限界を知ることができ、限界を知るからこそ、次のチャレンジができる

もうひとつは、限界を迎えた時に、本当の実力が試される。限界を迎えると、打撃のフォームが崩れる、投げるフォームが崩れる。それでも、崩れずに疲れていないときと同じフォームで身体を動かすことができれば、成績は安定する。厳しい場面で結果を出せる

その日を境に、浅野選手は練習の最後の最後、一番キツい瞬間まで、両手でバットを振り切るようになり、その後の活躍がありました。

■プレッシャーがかかっている状態で正しい判断ができるか

このイチローさんと浅野選手のエピソードを聞いて、ある話とつながりました。それは、「企業が不正や不祥事を起こすのはどういった時か?」というお話です。

直近では、ダイハツの検査不正の問題が大きく取り上げられていますが、その前には、日野自動車や三菱電機の検査不正もありました。さらにさかのぼると、東芝の不正会計という事件もあり、東芝はその影響を受け、上場廃止となり、再編を余儀なくされました。

企業が不祥事や不正を起こすとき、どんな状態になっていることが多いかというと、「過度なプレッシャーをかけられている状態」のときに起こりやすくなるということが、これまでの報告書から示されています。

ダイハツの例では、競合との開発競争に遅れまいとした結果でした。東芝の例では、上層部から利益を上げろという強烈な指示を受け続け、Noと言えない状態にあったと言います。

何が言いたいかというと、そのような状態の中でも、正しい判断・決断ができるかということです。どんなにプレッシャーをかけられた状態でも、「これは良くないことなのではないか?」という判断や決断ができるかが問われているということ。

イチローさんが言っている「疲れている状態でも正しいフォームで身体を動かすことができるか」ということと「プレッシャーがかかっている状態で、正しい判断ができるか」ということは同じではないかと考えたのです。

■スポーツのフォーム=仕事の考え方

スポーツのフォームを仕事の中で置き換えると「考え方」と言えるのではないかと考えています。

「考え方」は言い換えると「捉え方」・「選択のしかた」とも言えるかと思います。

例えば、何かミスをしてしまった時に、
「それが起こったのは、まわりのせいと捉えるか」、
「それが起こったのは、私が原因かもしれないと捉えるか」

どちらのほうがミスしたことを改善に向かいやすくするかということを考えると、おそらく後者になるのではないでしょうか。

2010年に経営破綻した日本航空(JAL)を再建した稲盛和夫さんが「成功するための方程式がある」と言っています。

それは「能力×熱意×考え方」

「能力と熱意は、0から+100まである。考え方は、-100から+100まである。いくら能力や熱意があっても、考え方が間違ってしまうと、仕事において成功することはできない。」

スポーツで練習を通して良いフォームを固めるように、仕事における基本となる考え方を知り、その考え方をどんな状況でも実践できるようにするためのトレーニングが大切だということが稲盛さんの言葉から理解ができます。

イチローさんの言葉から、仕事における基本的な考え方の重要性を見直す機会となりました。

イチローさんが2024年オフにどの高校を訪れるのか、そこで何を伝えるのか、楽しみですね。引き続き、注目していきたいと思います。

※参照「『イチローと3人の高校生』TBS」

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