ホールドへの理解と意識:マニアック

ホールドって理解と意識をすることで効き方が全然違うと思うんですよ。「ホールドなんて持てるところを持てばいいんじゃないの?」と言う考えの方もいるとは思うんですけれども、僕はこの辺りもゲーム要素として楽しんでおりまして、アウトプットすることで自身の学びにも繋がるのでまとめておきます。

まず未知のホールドがあった場合、オブザベの段階でどこが一番効かせられるのかを見定めるんですけど、その上で保持するのにどれくらいの出力が必要なのかって言う予測を立てるんですよ。皆言語化しないだけで感覚でやっていることだとは思うんですけど。

僕は「あのホールドの保持には60%くらいの力が必要かな」みたいな感じで具体的に数値化して、その繰り返しで課題全体をオブザベしてから登るんですね。で、実際に登って60%で予測したところが40%だったら次のトライから調整するし、80%だったらあまり粘らないで一回降りちゃうって言う。

何故かって前回書いた通り僕のパラメータって筋力とか体力が低いんです。だからそこで粘ると次のトライに影響が出るし、早期に撤退して作戦を練り直した方が近道と言うか最善なんですよね。

で、話を戻しますと、そうやってホールド毎に最適な効かせ方と出力を経験値として蓄積していってホールドに対する理解が深まると、別の課題で同じホールドが出てきた時に効率的に登れるようになるじゃないですか。

これが「ホールドと仲良くなる」と言うことだと思うんですけど、ホームジムで実力以上の成果が出るのは色々なホールドとの親密度が高いからだと思っています。

経験値がより高くなると未知のホールドに対する予測も高い精度で行えるようになりますし、SNSの画像や動画で見る課題の解像度が高くなって面白いんですよね。そうやって事前に頭の中でオブザベしてジムに行ってから答え合わせをするのも楽しいです。

要するにただ漠然とホールドを使って登るのではなくて、頭の中でより具体的に予測を立ててから登ってトライアンドエラーを繰り返すことでホールドへの理解を深めようと言う内容でした。


次にホールドへの意識について。

ホールドって両手両足でそれぞれ別のものを使っていたり同じホールドでも場所によって効き方が違うものなので、ただ漠然と全てを効かせるのではなく、きちんと意識して力を配分して力のロスをなくそうと言うお話です。

先に書いた理解のところでは60%で持てるホールドは60%で持つと書いたのですが、それは基本であって実際の登りでは応用を求められる場面がしばしばあるんですよね。

「ホールドを持ったフリ」と言う表現があるんですが、これって左手のホールドはそこそこ持てるけど、右手のホールドは極悪みたいなシーンで、左手メインで保持しつつ、右手は体勢を維持するための最低限の出力で保持する、と言うことだと思うんですよ。

本来左手60%で保持できるホールドを80%で保持して、右手の負担を軽減しつつ体勢を整える。見た目だけなら悪いホールドもきちんと使っているように見えるので「持ったフリ」。

保持感が悪いホールドでもこの持ったフリから次に繋げられたりするので結構多用してます。これも意識しないで使っている人が多いんだとは思いますけど。

このホールドに対する意識をスムーズにムーブに反映して繋げていけるとめちゃくちゃ面白いんですよね。

(引用元:漫画「HUNTER×HUNTER」17巻)

イメージ的にはこんな感じ。両手両足の出力を調整して体勢を整えつつ、ムーブを起こす時に滑らかに出力を調整する。狙い先のホールドへの理解が深ければより高い精度でムーブが繋がる。

これを意識して数値化することでゲーム性を高めて一人でニヤニヤしているってだけなんですけどね。

まぁごちゃごちゃ書いたんですけど、パワーが有り余っている人は全部100%でガンガン進んじゃっていいと思いますよ。レベルを上げて物理で殴るのも手段の一つですから。

それで言うと僕の登り方は一種の縛りプレイと言うか、低レベル攻略に近しいものなのかもしないと思っています。

と言うのも自分自身運動神経ないなとか、フィジカル的にはボルダリングに向いていないなって思っていて、多分ボルダリングにおけるレベル上限が低いんですよ。

例えばドラクエ5ってモンスターが仲間になるんですけど、モンスターによってレベルの上限が違うんですね。

スライムはレベル上限99で、腐った死体はレベル上限30みたいな感じで。スライムは長く使えば使うほど強くなるけど、腐った死体はレベル上限が低いからすぐにパーティから外されちゃうって言う。

まぁレベル上限が7なのに1上がるごとのパラメータ上昇値がめちゃくちゃ高いギガンテスって言うモンスターもいるんですけど。

結局僕は腐った死体で、多分レベル上限に近いところまで来ているので、工夫しないと才能豊かなクライマーたちについていけないんですよ。だから色々考えてるんです。

でも弱い奴が知恵と工夫で強い奴に迫るから面白いんじゃないですか。自分で楽しみ方を見つけて人とは違う角度で強くなる。これもクライミングの醍醐味だと思っています。

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