その発展、誰のために、なんのために

基本的に激甘グレーディングの課題はつまらないと思ってるんですよ。あまりそういう課題の多いジムには行ったことないけどトライした範囲では面白くなかったし、SNSの動画とか画像で見てもそうだし、実際面白かったら「グレーディングは甘いけど課題自体は面白い」って言う評になるでしょ。そんな話は聞いたことがないからそういうことだと思うんですよね。

つまらないと言うよりは肩透かしなのかもしれませんけど。めちゃくちゃ高い海鮮丼食うぞ!つって気合い入れて食べたら、なんの感動もなく食べ終わっちゃって「あれ?」みたいな。

まぁグレーディングって「このグレードならこれくらいの歯ごたえはあるだろうから心してかからないとな」って言う指標でもあるわけで、実際の手応えとあまりにも乖離があったら、まず疑問が頭を擡げるよなって。

まず一般的なクライマーが2段や3段を登ったら、そこに至るまでに壮大なストーリーが存在しててもいいと思うんですけどね。廉価版課題でグレード更新しても何も残らないと言うか、逆に虚しいと思うんだけど、グレードに囚われて本質を見失っているクライマーもいるのでしょう。

そういう課題を作るスタッフと素人が作ってグレーディングした課題に差なんてないだろうに、何故前者が作ってテープを貼った瞬間に価値が生まれる感じになるのか理解ができないです。何に価値を見出すかは個人の自由ではありますけど、作り手側には怒りを覚えますよね。

ちょっと前も書いたけどまず、クライミングは派手さとかオシャレさを競うものじゃないんですよ。そしてそんな要素すらもない、偽りの高グレード課題って言うのは、ある意味日本人の高級志向と言うか、品質を見定めずに値段が高いものを良いものだと思い込む心理とクライミングの寛容さにつけ込んでるんじゃないかなって、苛つくんですわ。

実際グレーディングに関して明確な決まりはないし、万人に対して同じ難易度を担保することは不可能なんだけど、限度を知らない人間のせいでルールを明確化しないといけない事態になったらどうすんの?

グレーディング以外でも、現状個々の良心に頼っている部分とか暗黙のうちに成り立っている部分も含めて、明言しないといけなくなったり、皆で支え合いましょうみたいになったらめちゃくちゃ情けなくない?

例えば「ゴミは持ち帰りましょう」って当たり前なんすよ。本来は言うまでもない。なのに言ってもわからない人間が増えてる。そこで「ゴミのポイ捨てが増えたから皆でゴミ拾いしましょう」ってそんなん美談でもなんでもなくて、ただの情けない話なんですわ。

スポーツクライミングから外岩に行く人が増えて、ゴミのポイ捨ても増えましたが、事故や近隣住民とのトラブルも増えました。人が増えたのだから当然ですって?

いや、そうなったら今「クライミングの発展が~」とか「クライミング業界を盛り上げて~」みたいなことを言っている人間の責任もあるでしょ。人が増えるのが問題なんじゃなくて、意識の低いクライマーが量産されているのが問題なのよ。

それともクライミングの発展させようとしている人たちは、クライマーを増やすことやそのための場を提供することまでしか考えてなくて、そこから先、例えば外岩へ飛び出したとしても、それは個々の自由だし自己責任で、あとはそれぞれの意思と良識に委ねるぜってことなんすかね?だとしたらめちゃくちゃ無責任っすね。

うっすらとした知識でしかないし、実際のところはわからんけど、これって移民問題と近しい性質の問題なのかなとも思っていて、と言うのも移民を受け入れることのメリットもそりゃあるんだろうけど、それを享受できるのって上の方の人たちなんじゃないの?

実際同じ場所に住む人間からしたら、唐突に価値観の異なる人間が現れて治安が悪くなったりして、平和が脅かされることになるんだから、デメリットの方が多いと思うんですよね。

結局郷に入れば郷に従えって話で、その辺りを理解してくれていればお互いに歩み寄りもあるんだろうけどさ、まぁ個人的には良い未来は浮かばないですよね。クライミングの話ですよ。

んでまぁこれも何度も言ってるけど、そういうマインドを自然に学べる流れや場があればいいけど、そもそも激甘なグレーディングで課題を提供しているジムにそれができるのかって言うお話で、まぁ今のままだったら無理なんじゃないのって思います。

だからもう僕個人としては、誰かの笑顔が失われたり、ルールや規制が増えて我慢を強いられるのであれば発展なんてしなくてもいいんだよね。

なんやねん本当クライミングの発展って。発展って本当に何を指してるの?んで、発展すると何か素敵なことが起こるわけ?

いやもうよくも文句ばかりこうも書いていられるものだねと我ながら感心するわけですが、長くなりましたのでここら辺で終わりにします。

それではここで一曲お聞きください。「その発展、誰のために、なんのために」。

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