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鴻巣友季子と竹内康浩がサリンジャーの謎に迫る!(No. 941)

考える人 メールマガジン
2021年12月9日号(No. 941)

「名探偵」竹内康浩と鴻巣友季子がサリンジャーの謎に迫る!
謎とき対談 風と共にサリンジャー

サリンジャーの名短篇「バナナフィッシュにうってつけの日」のラストについて、これまで誰も発したことのない問いを投げかけ、名うての読み手たちを仰天させた竹内康浩・朴舜起著『謎ときサリンジャー』(新潮選書)。

スカーレット・オハラとレット・バトラーという名キャラクターを擁し、めくるめく展開が心揺さぶる巨篇『風と共に去りぬ』の本質は恋愛小説ではない、として熱烈なファンたちを瞠目させた鴻巣友季子著『謎とき『風と共に去りぬ』 』(新潮選書)。それぞれの著者が、文学作品を読む楽しみを思う存分、語り合います。

対談 三浦佑之×安藤礼二「海の民、まつろわぬ人々――。」

出雲と筑紫、そして若狭、能登、糸魚川から諏訪まで続く「海の道」――古代日本、「表通り」は日本海側だったことを、『古事記』等の文献はもちろん、考古学や人類学も含めた最新研究から丹念に追った『「海の民」の日本神話 古代ヤポネシア表通りをゆく』(新潮選書)。

著者の三浦佑之氏(千葉大学名誉教授)と安藤礼二氏(多摩美術大学教授)による、古今東西を自由に駆け巡る、刊行記念対談をお届けします。

前篇 旧石器時代からいた「海の遊牧民」

後篇 国家に対する違和感を持ち続けて

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■第3位 三浦佑之×安藤礼二「海の民、まつろわぬ人々――。」
前篇 旧石器時代からいた「海の遊牧民」

「考える人」と私(41) 金寿煥

 1962年すなわち昭和37年は、60年安保と、東京オリンピックの64年の谷間で佇むような、特筆大書されることのない1年だったかもしれません。しかし子細に目を凝らしてみると、この1年の日本および日本人には、何とも言えない初々しさ、凛々しさが漂っていたのではないかと思えてしかたがないのです。デザイン、雑誌、映画、広告、小説、テレビ、歌謡曲……垣間見える文化状況には、私たちが失ってしまったものがまだ光り輝いていた、と考える特集。

「考える人」2006年冬号特集「1962年に帰る」のリード文です。首都高速道路は工事中で、東京の街にはまだ路面電車が走っていた、東京オリンピック開催前夜の時代・文化状況を振り返ってみようというのが、特集の主旨です。和田誠さん、植木等さん、佐野洋子さんへのインタビュー、関川夏央さん、加藤典洋さんの論考、片岡義男さん、山田稔さん、角野栄子さんらのエッセイという豪華ラインナップで、あまりクローズアップされることのない1962年という年の実像に迫っています。
 私は、和田誠さんのインタビューを担当。和田さんには、その前年に刊行した『「話の特集」と仲間たち』でもご一緒(装幀および本文デザイン)していたので、仕事としては2回目の機会となります。同書は、1965年創刊の雑誌「話の特集」編集長を務めた矢崎泰久さんによる回顧録で、和田さんは同誌のデザイン面のみならず、内容にまで深く関わっていました(そのあたりのことは、南伸坊さん『私のイラストレーション史』に詳しい)。たった2回の機会ではありましたが、和田さんとご一緒することができたのは、編集者としてとても幸せなことでした。

 同じ「考える人」2006年冬号で私が担当したのは、茂木健一郎さんによる特別読み物「恐山探訪記」、連載では坪内祐三さん「考える人」(須賀敦子回)、井上章一さん「リオデジャネイロ邪推紀行」、渡辺靖さん「カウンター・アメリカ」、小谷野敦さん「売春の日本史」、長崎訓子さん「イラスト・ルポ」(京都の古本屋めぐり)。それに加えて、今号から仏教研究者の末木文美士さんの新連載「仏典を読もう」がスタートしました(2009年4月に『仏典をよむ 死からはじまる仏教史』と改題して書籍化)。
 特集に加えて連載の担当が6本と、振り返ればこの頃が「考える人」における私の「最大瞬間風速」だったように思います。とはいえ、編集長をはじめ他のスタッフは私と比べものにならないほどの仕事量だったので、偉そうなことは言えません。あくまで「自分基準」で考えてのことです。
 週刊誌から異動した直後、2002年の創刊時は右も左もわからなかったのが、3年が過ぎ、ようやくここまで来たかと、今振り返ると感慨深いものがあります。兼務していた書籍編集でも、2006年は茂木健一郎さん『ひらめき脳』、中島岳志さん『インドの時代 豊かさと苦悩の幕開け』、南直哉さん『老師と少年』、西原理恵子さん『パーマネント野ばら』、梅原猛さん『歓喜する円空』など、手ごたえ十分の書籍を担当することができました。
 著者に原稿を依頼、それをご執筆いただき、本としてまとめる――。書籍を1冊つくるのには、とにかく時間がかかります。「石の上にも3年」とはよく言ったもので、私にとって2006年は、「この仕事を続けてもいいんだ」という意識が芽生えた(わずかながらですが)、大事な年となりました。


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