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ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』監督が明かす制作秘話(No. 948)

考える人 メールマガジン
2022年2月3日号(No. 948)

ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』監督が語る! 山戸結希×菊地健雄「ドラマとか演出とか背中とか」

大きな反響を呼んだ、2021年4~6月放送のドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京「ドラマ24」、現在はAmazonプライム・ビデオなどで配信中)。原作は、父と25年前に亡くなった母のことを綴ったジェーン・スーさんの同名エッセイ。ドラマの監督を務めた山戸結希さん(1、2、9~12話を担当)と菊地健雄さん(3~8話を担当)が、演出における試行錯誤を振り返りながら、あらためて作品の魅力を語ります。

「後篇 原作の「背中」を撮る」は明日2/4(金)公開です。お楽しみに!

五木寛之×碧海寿広「私たちはなぜ親鸞に魅了されるのか」

昨年10月、新潮選書から親鸞聖人を論じた2冊の本が刊行されました。

ひとつは、五木寛之氏の『私の親鸞 孤独に寄りそうひと』。その出会いから50年以上親鸞を追い続けてきた作家による半自伝的親鸞論です。もうひとつは、近代仏教研究者・碧海寿広氏の『考える親鸞 「私は間違っている」から始まる思想』。

近代以降の論客たちが、いかにして親鸞の魅力や影響を語り続けてきたのか――それぞれの親鸞論を読み解いた一書です。その両者が、あらためて親鸞の魅力を語ります。


五木寛之『私の親鸞 孤独に寄りそうひと』

碧海寿広『考える親鸞 「私は間違っている」から始まる思想』

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「考える人」と私(47) 金寿煥

 当コラム(30)で、政治思想史の研究者である原武史さんとの出会いについて触れました

 2003年9月に初めてお会いして、翌春には坪内祐三さんとの「駅そば対談」で「考える人」に初めてご登場いただきました。それから約4年が経ち、ようやく原さんの連載「レッドアローとスターハウス 西武と郊外の戦後思想史」(2012年に単行本化、現在は新潮選書)がスタート。連載は2008年秋号から2012年春号までの計17回にわたって続きました。

 1960年前後、東京西部の郊外に創出された共同体「西武沿線団地コミューン」。武蔵野の地に突如出現した新しい空間には、戦後の日本社会を象徴する独特の思想が華開いた。これまで決して語られなかった西武鉄道(=レッドアロー)と団地(=スターハウス)から、戦後政治思想史を検証する。

 初回のリード文にあるように、西武鉄道沿線に戦後建設されたマンモス団地群、その地域に醸成された独特な「政治思想」を明らかにしていくものです。

 1962年生まれの原さん自身も、3歳までひばりが丘団地で過ごし、その後は久米川団地を経て、滝山団地へ。そこでの経験(と違和感)をまとめた『滝山コミューン一九七四』(講談社)を2007年に刊行しています。同書と「レッドアローとスターハウス」のテーマには共通するものが多く、両書を「連作」と位置付けてもいいでしょう。自ら「鉄学者」を名乗り、鉄道関連の著者も多い原さんにとって、「鉄道と団地が象徴する政治性」は鬼に金棒と言えるテーマです。

 連載の担当者として印象的だったのは、「資料」を追う原さんの執念です。当然といえば当然なのですが、公的に刊行された文献のみならず、地域の図書館にしか置いていない区史や市史を必ず現地まで足を運んで渉猟されていました。ご本人も「どんなテーマにも必ずブレイク・スルーとなる資料がある」と、それに突き当たるまで猛烈に資料を集めていました。この「レッドアローとスターハウス」でブレイク・スルーとなった資料は、港区芝にある三康図書館に保存されていた西武鉄道の機関紙「西武」や、ひばりが丘団地の住民が作成した自治会報といったところでしょうか。

 資料だけではありません。原さんは現地へのフィールド・ワークも欠かすことがありませんでした。原さんと一緒に連載の舞台となる西武線沿線の団地群や多摩湖周辺をどれだけ歩き回ったことか(原さん自身は、旧ソ連時代に建設された団地群も取材しています)。

 同書の書籍編集も担当したのですが、この時の装幀は会心の出来だったと自負しています。最初からメインビジュアルは、イラストレーションで行こうと決めていました。そのモチーフは当然のことながら「レッドアロー(鉄道)」と「スターハウス(団地)」だとして、それをどのような画風で描くか――。詳しくは省略しますが、この本ではロシア(ソ連)がキーとなっていたため、当初からロシア構成主義しかないと思っていました。

 しかし肝心なのは描き手。さて、どなたにお願いすればいいか……。

 ある日のこと、神保町にある東京堂書店で新刊をチェックしていたら、池澤夏樹さんの新刊『氷山の南』(文藝春秋)に目が留まりました。その装画自体はロシア構成主義風ではなかったのですが、何となくピンと来て、装画クレジットにある影山徹さんの名前をチェック。帰社してから影山さんのホームページを開くと、なんと「オリジナル」と題して、ロシア構成主義風の画をアップされているじゃありませんか!(今でも以下のリンクからその画を見ることができます。)

 影山さんは、筒井康隆さんの『旅のラゴス』など多くの装画を手掛けている人気のイラストレーター。「ロシア構成主義風に、特急電車(レッドアロー)と星形住宅(スターハウス)を描いてほしい」とお願いしたところ、「面白そうですね!」と乗っていただき、あのような装画になったというわけです(ぜひ「レッドアローとスターハウス」で画像検索してみてください)。

 結果として大満足の装幀となりました。画、デザイン、そして内容とのリンク、本の装幀に必要なものが全て揃った、会心の一書となったのです。

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