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【読書感想】 聖者の落角


聖者の落角 芦花公園



佐々木事務所シリーズ第3弾。

芦花公園さんの作品の中で、1番好きな作品‼️

その青年は、神か悪魔か? 無垢な祈りは世界を覆う呪いになる――。

病院に忽然と現われ、子どもたちの願いを叶える謎めいた黒服の青年。
難病も嘘のように完治するが、子どもたちの態度が豹変し異様な言動をするという。
心霊案件を扱う佐々木事務所に相次いで同様の相談が舞い込んだ。原因を探るるみは、土地にまつわる月と観音信仰が鍵だと掴むが、怪異は治まらない。
孤独な闘いの中、彼女はある恐ろしい疑惑に捕らわれる――願いは代償を要求し、祈りは呪いに変貌する。
底なしの悪夢に引きずりこむ民俗学カルトホラー!

Amazon 内容紹介より



芦花公園さんの作品は、ヒトの心の真髄をついているといつも感じる。


強い人から、弱い人から、様々な目線からの心の深奥を代弁されていて、共感できることばかり。


どの作品を読んでもそう思う。


対人関係で辛い経験しないと感じる事ができないと思ったが……。私がそう思ったからと言って、自分も繊細であると言いたいわけではないので、誤解なきよう。

ホラーというジャンルでこんなに人の言葉で考えさせられるのは他にない。

だが、そこもある意味でホラーだ。


るみの幼少期の経験から、こう思うようになるのは仕方ないよね。と片付けてしまわないのがいい。


『漆黒の慕情』からの登場人物である片山敏彦も、顔が良い為に対人に感じる気持ちや求めるモノが違う。

何でも持っている彼は、より人間らしい欲と感情を好む。

上っ面を見透かす力がありそう。


黒服の男が子供達と話をした後、難病を持つ子供たちが次々と完治していくという奇妙な現象が起こる。


その後、子供達は、同じ歌を歌い出す。

異様な行動を取る子供達に、周囲は振り回され手に負えなくなる。


るみの元に来る依頼人の相談内容に類似性があり、異質なものがるみへ寄ってきていると気づく。


心霊現象を扱う佐々木事務所と聞くと怖そうだが、怖くない。

四国に住む拝み屋や土着信仰、カルト教団やキリスト教、エクソシストまで幅広く物語を膨れさせ、満足度が高い。


ミステリーのような匂わせた仕掛けにも、言葉の端に伏線を残す。


『落角』の意味は、私が想像している通りで合っているのだろうか。

『聖者の』が、重要な意味を齎しているのだけど。


無意識の悪意。悪意のない悪意。

いちばんタチが悪い。

でも、気付いていないだけで自分もしているのかも。



芦花公園さんの作品の中で1番好きです💕

『とらすの子』も読みたい。

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