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#ホラー小説が好き

ホラー小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

掌編小説 | 家族

 インターホンのカメラに映らないように顔を隠した。 「だれ?」と姉が訝しむ。 「わたし」とわたし。 「くだらないことやっていないで、上がってらっしゃい」  勝手に上がれないからインターホンを押したんじゃないか、とつぶやきながらエントランスのドアを通過した。  姉が住むのはマンションの三階フロアだ。廊下を歩きながら、ひとつひとつ、家の表札を読む。 「しばた…かなもり…にしだ…キム…さかもと……」  姉の苗字がなんだったかわからなくなってきた。姉は三回も離婚と再婚を繰り返している

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恐怖を求める心理

お化け屋敷やホラー映画鑑賞、はたまた絶叫系マシンなど、人間は敢えて自ら「恐怖体験」を求めることがあります。 人間が恐怖を求める理由やその心理には、いくつかの要因が関わっています。 興奮や刺激の欲求 恐怖体験は興奮や刺激を与え、日常からの逃避をもたらします。 これは単に新しい感情や状況を経験したいという人間の本能的な欲求に関連しています。 安全な環境でのリスク体験 お化け屋敷やホラー映画は、実際の危険からは安全な環境でリスクを体験する手段として機能します。 恐怖を楽しむこ

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天才と凡才【第四話】

【第1~3話までのストーリー】 第一話はこちら 第二話はこちら 第三話はこちら 【第四話】 生霊たちの呪い 唄子の体には、見知らぬ者たちの腕と、蛆虫が這いずり回っていた、あまりの気持ち悪さに、唄子はウッと吐き戻しそうになる。 やがて唄子の頬に、するすると女の手が伸びていく。その手は細くてしなやかで、どこか見覚えのあるものだった。 この手、見覚えがある。……沙莉だ。 でも、沙莉の手が、なぜここに?沙莉は、もしかして死んだの? 太腿に蠢く無数の手に目をやると、どの

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職場に復帰する直前に読んでいた本

こんにちは、ぱんだごろごろです。 お蔭様で、職場復帰しました。 仕事を再開しました 先週の月曜日に、職務復帰可能の診断書を整形外科医院で書いてもらい、水曜日に産業医面談を受けました。 その後、係長に挨拶をしに行き、4月の残りのシフトを決めました。 7週間(約2ヶ月)まるまる休んでいたので、業務内容をすっかり忘れていたらどうしよう。 おそるおそる職場に入りましたが、幸いなことに、仕事の手順は身体が覚えていました。 勝手に身体が動くので、それにつられて自分が一つひとつ仕

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連載小説 河童

儂は河童だ。 儂は猿のような顔に、亀のような背中、蛙のような体、そして蛙のような手足を持っている。 こんな身なりをしているから人間にはよく驚かれる。それが快感で堪らないのだ。 今日も驚かせようと、河の中で人を待っていた。 河に近づいてくる影が見えた。 儂は興奮した。自分の姿を鏡で確かめ、ワクワクしていた。 何者かが河に入ろうとした儂は勢いよく河から出た。 「クワアッ!」 大きな声を上げたが、何も反応がなかった。 目の前には少女が儂を見つめていた。驚かれなかった事は稀なので、何

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天才と凡才【第三話】

【第一話~第二話までのストーリー】 【第一~二、四話のリンク先】 第一話はこちら 第二話はこちら 第四話はこちら 【第三話】不思議な力 道端で拾ったペンダントの不思議なパワーによって、唄子の願いは何でも叶うようになった。 それは、唄子が幼稚園で仲良くなった、ある女の子の家へ遊びに行った時のことだ。 女の子の部屋には、リビングに大きなグランドピアノが置かれている。 女の子は「この前、新曲を覚えたの。今から弾くね」と呟き、ピアノを弾き始めた。 曲は、ルートヴィヒ・ヴ

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読書感想: 深夜廻

今回の作品 今回の話題は、 読書感想: 深夜廻 今回、読んだ本は 元々はゲームが原作と なっております。 なので、ゲームでは 書かれない 主人公の心理描写が 描かれております。 本作を読了した 感想としまして、 色々と感じることが ございました。 一つ目が、 当たり前ではあるのですが、 主人公がこどもで思考が、 幼いものとなっております。 この前に読んだ本が 児童文庫のあのキャラクター だったが為に よりそう感じるのかもしれない。 だからこそ終りの展開が 心にくるもの

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生きたまま背骨を握られる

 怖い話を書くからか、先週から体調を崩しています。  スルーしようとしていたのに、創作大賞の応募が始まったと聞いたら、話を考えるようになりました。今までなら、書き始める事からしていたと思うのです。それから筋を考えて、筋を思いつかないから、また書いて、どうしようもなくなって途中でやめてしまう。  そのやり方をやめて、今回はクライマックスとエンディングから考えたのです。そしたら体調を崩しました。熱が出るわけでなく、寒気と倦怠感が身にまとわりついて、ふらふらしているのです。  怖

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短編小説8

男は必死だった。 小学生の時から中学受験のために勉強をした。中学生の時は高校受験のために必死に勉強した。大学生の時は大学受験のために必死に勉強した。 大学生になってからは課題とバイトに追われ、様々な責任を背負うことになった。 男は気づいた。常に何かに追われていることを。どれだけ目の前のことに頑張っても、何からも逃れられないことを。 このまま頑張っても、社会人になっても、常に追われているだけだ。 ここまで頑張っても平穏が必ず訪れるわけではない。 次第に男は狂っていった。 男は自

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短編小説5

朝、起きたら蛙になっていた。 鏡を見たら蛙になっていた。最悪だ。 顔も手も全身蛙だ。背丈だけは変わってなさそう。 多分これは夢である。普通の人間が蛙になるわけがない。となれば、この状況を目覚める前に楽しむべきなのかもしれない。しかし我慢ならない、早く目覚めて欲しい。 僕は蛙が大嫌いだ。小さな頃、友達と蛙を潰して遊んでいたからだ。今でもあの時の手の感触や、内臓が飛び出してるあのグロい絵。思い出しただけで吐きそうになる。なぜ子供の頃はあんなことを何も感じずできたのだろう。今でも不

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【怖い話】山観音

地元の友達Hくんから、昔不気味な事があったって聞かせてもらいました。 軽音サークルで同じバンド組んでたNってやつに聞いて欲しい話があるって持ちかけられて。 2年生の頃だったかな。モラトリアム真っ盛りだったから、そりゃあもう無敵な訳よ。 だから相談事なんて、金か単位の為のレポートか女の3択だよね。 だから、おん、どうしたって返事したら、 「困ってるわけではないんだけどね、ちょっと不思議な事が起きててさ」って言うのよ。 え、なになにって食いついたらさ、 「五百円玉貯金が

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短編小説4

混沌というのは例えばだが、以下のような文のことである。 「男は死んだ。女は走った。」 これだとまるで意味がわからない。なぜ男が死んで、女が走ったのか。これが混沌である。しかし、こうすれば、混沌でなくなる。 「男は死んだ。病院に連れ込むため女は走った。」 もうすでに死んでいるのに病院に連れ込むのは意味わからないが、とにかく、混沌が物語に変わった。 人間にとって混沌はわけわからなく、恐怖なのだ。 科学が発達していない昔は混沌ばかりだった。混沌をなくすために宗教や迷信を作ったのだろ

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【恐い話】夢に出るため

故人が夢に出てきてくれた、という体験は皆さんにも経験があると思います。 そのように人の夢に出るためには、故人側は相応のお金ですとか、生前の徳に基づく非常に厳しい審査があるというスピリチュアルなお話を耳にしたことがあるでしょうか。 それは、故人が夢に出てくれるというのはとても大変なことなので、きちんと感謝をしましょう、或いはそんな故人に哀悼の意を手向ける良い機会ですよ、という説法のようなものなのかなと思っていました。 高校生のとき。 僕にはHくんという幼馴染がいました。

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短編小説1

依頼の成仏を終え、私たちは岐路に足を向けた。 あれは確かに依頼主の夫の亡骸であった。 しかし、所長は真実を告げなかった。 「なぜあの時を告げなかったのですか。彼女、きっといつになっても、夫を探し続けますよ」 所長は深いため息をつきながら言った。 「お前、知らないのか。この災害で沢山の人が亡くなった。真っ黒に焦げた死体や泥まみれの水死体、それと同じくらい自殺で亡くなったような死体も多くある。時と場合によっては、真実を知ることが彼らの傷を広げることになるだろう。今、俺たちができ

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降霊の箱庭 ~序~

こっくりさん、こっくりさん。 どうぞおいでください。 とある中学校でその日、秘密の儀式が行われていた。 儀式というのは大抵、人目を忍んで開かれるものだ。この小規模な儀式も例に漏れず、校舎の最上階・最奥にある空き教室にて開かれていた。 おまけに時は放課後。大多数の生徒は部活動に向かい、そうでない生徒も帰路についた後だ。 カキーン、と。 野球部のバッティングの音が、グラウンドの方角から聞こえてくる。 プァーン、と。 吹奏楽部の合奏の音が、反対側の校舎の中で響いている。 妙

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短編小説3

(多少グロデスクな表現があります。苦手な方はお控えください) 昔々、あるところに、黒雪というお姫様がいました。 黒雪はとても美しく、それはそれは毎日10人の王子様が求婚に来るぐらいでした。 人柄も評判で、お国の人たちには常に愛されていました。 しかし、昼間までぐっすり眠るお寝坊さんでもあります。黒雪が寝ているというだけで、帰らされる王子様もそれはそれは沢山いました。 ある時、国王が言いました。 「黒雪よ、お前はもう今日で38じゃろ。そろそろ結婚を考えたらどうだ」 黒雪は言いま

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note創作大賞2024に出すぞ

note創作大賞というものがありまして。 ここに応募しようかなと思います。 応募期間: 4月25日 (火) 〜 7月17日 (月) 23:59 部門というのがあります。 エッセイ部門 ミステリー小説部門 ホラー小説部門 恋愛小説部門 お仕事小説部門 ファンタジー小説部門 漫画原作部門 創作漫画部門 コミックエッセイ部門 レシピ部門 ビジネス部門 オールカテゴリ部門 この中で何をやるのか? ホラー小説部門にいきたいと思います。 怪奇現象とかそういう話ではないのですが、怖

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盗み銭ーぬすみぜにー

 さて、今から語る纏屋に纏わる六章目の物語に行き着いた。否、連れ去られた男の話を物語の基礎として基盤である所の起承転結の"起"。そう起こりとして綴って差し上げようと思う次第です。  この地の文を語っている私の事は言うまでもなく。否、言うべくもなく。知る必要すらも無い。読み手である所に何者でもない君たちが座しているように、紡ぎ手である所に当てられた私も何者でもないしもしや、よもや人間ですら……無いのかも知れないのだから。  ◯  始めまして。窃盗犯です。    なんてそん

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短編小説6

ここにプリンがある。 私はこのプリンを食べていいのか。 このプリンを食べたらなくなる。まるで戦争と同じだ。目先の利益だけ求めて、その後のことを何にも考えてない。 私はそこまで馬鹿ではない。 目先の利益だけを求めて、プリンを失うのは愚か者がやることだ。 そもそもプリンは美味しいのだろうか。 私がプリンを最後に食べたのはいつだったか記憶にない。 どんな味をしていたのかも記憶にない。 茶碗蒸しみたいな見た目をしてるから、茶碗蒸しに似た食べ物かもしれない。 しかし、茶碗蒸しではないと

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小説版『アヤカシバナシ』 22枚目

楽しかった修学旅行も終わり、中学生の私は写真を現像してもらおうと、 近所のカメラ屋さんに向かった。 いつもの顔なじみのおばちゃん店主は『じゃぁ2日後ね』と言って 受け付けてくれたのですが・・・・ 控えを持って放課後にカメラ屋さんに向かい、 『おばちゃん!出来てるよね!』と声をかけると、 『え、ええ、でも1枚写真に出来なかったのよ・・・』と言った。 『え?写ってなかったとか?』 『いや・・・写ってるんだけど・・・』 『じゃぁなんで?』 『あの・・・写真に出来

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