20210903

自分で決めた事だったけれど、夜は眠れなかった。
涙が出て、少しすると止まって、また出てきてを繰り返して朝になった。ぼやっとした頭で考えたのは、彼の事だった。私は結局、お腹に宿った子供よりも彼の事の方が大切で、彼には好きなように人生を送ってほしい。2日前の帰り道で、そんな事を一瞬考えていたと思い出した。そこからあの感情のうねりが出てきたんだから、やっぱり蟹座の感情は恐ろしい。昨日は結局不機嫌なままLINEを返した。「私がどうしているとか確認連絡しなくて良いから。色々整理するのに時間がかかる事を理解してほしい。」と送ったけど既読にならなかった。

返事が返ってきたのは今朝、私が病院に向かうタクシーで彼の職場の前を通った瞬間だった。看板だらけの雑居ビルが建ち並ぶエリアで、何の装飾もない建物がポツンと目立つ。「君の気持ちはわかるよ。何か必要だったら僕はいつでもいるからね。必要なだけ時間をかけたらいいよ。」またポロポロ涙が出た。

思ったよりも朝の渋滞は控えめで、早く到着してしまった。雨の中、散歩をして時間を潰した。ごめんね、だとか、最後の日が雨でごめんね、だとか、君より彼を選んじゃってごめんね、だとか考えながら歩いた。




【以下は中絶手術に関する記述があります。気分を害される方もいらっしゃると思います。私はこの選択肢を推奨するわけではありません。
気持ちの整理がつくように、自分の失敗を忘れないように、との思いで書いています。】



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