2〜3日に一度メッセージのやり取りをするようになったスペイン人がいた。普通そうで、真面目そうで、忙しい日には返信を後回しにしてしまう事もある。でも何故だかフェイドアウトはせずに連絡を取り合っていた。 1ヶ月ほどはマッチングアプリのメッセージ機能で連絡を取るだけだったのだが、突然LINEかwhatsappに登録してくれないかと電話番号が送られてきた。LINEを使っているなんて、マッチングアプリ玄人なのかと疑いながら友達登録をした。その後すぐに、彼はマッチングアプリのマッチリスト
前日、夜中3時まで女友達と酒を飲んでいた。二日酔いだ。 いつもよりも早く咲き始めた桜が綺麗だったので、公園のブランコで酒が進んでしまったせいだ。桜のせい。 今日は初デートの予定を組んでいた。マッチングアプリで出会った2歳年下の彼とは、2週間ほど毎日メッセージのやり取りをしていた。 朝から降っていた雨がようやく止んだ頃に待ち合わせて、ハイボールとビールで乾杯をした。日本人とデートするのはいつぶりだろうと思いながら、悪くないなと思っていた。緊張からか、二日酔いのためか、なぜか濃
結局あれ以来彼には会っていない。 今思い返しても、彼は良い人だった。 初めて家に招いてくれた日は、占い師の動画を一緒に見た。その内容は、運命の相手に出会った時には、サインがあるというものだった。そのサインは生まれた星座によって違って、私は蟹座なので射手座に関するものがあったはずだと。彼のサインは魚座に関連するものらしい。私たち2人が初めて待ち合わせをした場所に、そういった類のものがあったかどうかなんて思い出しながら話すのは素敵だった。 私がそっぽを向いてからも、彼は時々L
彼は良い人だった。ゆっくり進めたいと言った私に手を出してこなかったし、占いも教えてくれた。自分が学んできた頃を私に教えたいと言って、熱心に教えてくれた。私は少しだけ、彼が気になり始めていた。 今日は私がご飯作るから食べにこない？と誘ってみた。 ランニングしてから行くね、と言って彼から連絡が途切れた。夕方になってからインスタを通してメッセージが来た。 「スマホが水没してしまったよ。復活させようとしているんだけど上手くいかなくて。今日はうちに来てくれないかな？」 料理して待っ
クリスマスは一人で山に篭った。 スノーボードにハマった時に、福井のスキー場にあるリゾートホテルの株を買ったのだ。 スキー場、ホテル、温泉、レストランが併設になっていて、滞在中は雪の中車を動かさずに済む。このレストラン、クリスマス期間中はかなり趣向を凝らしたディナーコースを出してくれる。スキー場にあるため、すっぴんジャージで大丈夫だし、クリスマスに女一人でフルコースを食べても平気な、お気にいりの場所だ。 朝から滑って、温泉に入って、フルコースディナー。そして私は、マッチング
その日は三宮でライバル会社の営業と飲んでいた。 東京ベースの彼とは、会社も違って程よい距離感が心地良い。 彼の浮気が発覚して、逆ギレして振られたことを話した。 マッチングアプリすれば良いじゃん？bumbleって知ってる？おすすめだよ。 その日私はbumbleに登録した。 深酒が過ぎてしまい、3時ごろタクシーで大阪まで帰った。
結婚よりも恋愛がしたいと言ったら笑われたのは31歳の夏。 私はまだ変われていない。 私を笑った友達は順調に家族計画を進めている。そんなことないよ、気持ちが大切だよって言ってくれた彼は離れていった。
少し考えた。リアクションせずにはいられないものを見てしまったのだ。 精一杯の冷静さで、見てしまったスクショ画面を更にスクショして彼に送った。 「こんなメッセージが付いているんだけど、知ってた？」 彼はとぼけた。「僕の方からは見れないみたいだな。おかしいな。」 「ああ、見つけたよ。仕事で国際ロマンス詐欺に付いて調べていてね、怪しいと思った相手にこうやってメッセージを送っているんだ。普通はマッチングアプリのメッセージ機能で詐欺師とやり取りするんだけど、どうしてこの時はLINE
2021年10月。色々あったけれど彼とは平和に関係を続けていた。 コロナの波が落ち着いて、久しぶりに彼と外食。 待ち合わせに早く着きそうだった私は、時間潰しに熱帯魚販売店に立ち寄った。 マスクをして熱帯魚の水槽の間を歩くと、暖かさと湿度で少し息苦しかった。その息苦しさは2018年のサムイ島で初めてスキューバダイビングをした時を思い出させる。あのスキューバダイビングの翌日から私の人生が少しだけ狂ってしまった苦い思い出があるけれど、それは過去のこと。 時間近くになって、待ち合
3年ぶりの時差ぼけで頭がボヤッとする。 久しぶりのヨーロッパ出張から帰ってきた。 この1年で実感したのは、自分のヘコタレなさと人生の振り幅。 ぶん回されるステージで、ジミーチュウの10センチヒールを穿いている感じ。 ハイライトとしては 1 彼の浮気 2 占い師に弟子入り 3 年下の新しい彼 4 会社が買収された といったところ。 少しずつ書き残そうと思う。
自分で決めた事だったけれど、夜は眠れなかった。 涙が出て、少しすると止まって、また出てきてを繰り返して朝になった。ぼやっとした頭で考えたのは、彼の事だった。私は結局、お腹に宿った子供よりも彼の事の方が大切で、彼には好きなように人生を送ってほしい。2日前の帰り道で、そんな事を一瞬考えていたと思い出した。そこからあの感情のうねりが出てきたんだから、やっぱり蟹座の感情は恐ろしい。昨日は結局不機嫌なままLINEを返した。「私がどうしているとか確認連絡しなくて良いから。色々整理するのに
妊娠が分かった時、友人に相談した。 ひとりは台北に住んでいる台湾人の友人だ。 もう10年弱の付き合いの彼女は、大学時代の同級生と結婚して2人の娘を育てている。 中華圏は、結婚していないと子供の戸籍登録に問題が出てしまうらしく、離婚以外でシングルマザーになるという選択肢はあまりないらしい。相談当初から、しっかり彼と話し合って産むかどうか考えるのよとアドバイスをくれていた。日本人の場合、最初から“産むかどうか“というフレーズはあまり出さないんじゃないだろうか。中華圏は未婚女性
彼は料理が好き。緊急事態宣言で外食を控えているので、私のリクエストした料理を彼が作って一緒に食べるのがここ数ヶ月のお決まりになっている。事前にリスト化してある私の食べたいものリストから、今日はガーリックシュリンプが選ばれた。私のために料理を作ってくれるのは嬉しいが、先週から軽いつわりのようなものがあるので食欲はない。 マンションに到着すると彼はキッチンに立っていた。 洗面台で手を洗いながらキッチンに向かって話しかけたが 「エビがジュージューうるさくて聞こえないよー」 との返
日曜日に産婦人科を受診した。 予約不要で日曜日に初診受付をしている心斎橋のクリニックは混んでいた。 待合室は男性の付き添いNGで、20人くらいの女性達が座っていた。 問診票を記入して、看護師さんとカウンセリングをした。 問診票には子宮頸がん検診を受けているか、HPVワクチンを打っているかの確認もあった。どちらも今年済ませている私は、結構身体に気を使っている方なのかもしれない。 「産むかどうか決めていますか？」 問診票に未婚と記入したので、気を使った聞き方から始まった。 ま
妊娠検査薬が反応した。 見間違いかと思うほど薄かった。ネットで調べると、蒸発線という現象もあるらしい。ここ数日、サラサラの鼻水が出たり、喉がイガイガしたり、37度くらいの微熱が続いていて、コロナなのか風邪なのか判断できなかった。今月、友人2人から妊娠報告を受けていたので念のために買い置きの検査薬を試してみた。「気のせいかもしれないけど線が出ている気もする」レベルの反応だった。 とりあえず彼にメッセージを送る。 「もしかしたら生理周期の計算をミスったかもしれない」 割とす
私は着飾るのが好きだ。クローゼットは充実させていたい派なので、ミニマリストにはなれない。基本的には好きな時に好きな物を身に纏いたいけれど、TPOに合わせてアレンジするのも楽しい。 結婚式の時は白を避ける、神社に行く時には肌の露出を控える、文化的なお題は面白いと思う。 嫌いなのはアレだ。スリに遭わないようにジッパー付きのバッグを選ぶとか、痴漢に遭わないようにスカートやショートパンツを避けるとか。いつでも逃げられるようにスニーカーとか。そうゆうのが嫌い。スリも痴漢も嫌だから結局
