20211119

少し考えた。リアクションせずにはいられないものを見てしまったのだ。
精一杯の冷静さで、見てしまったスクショ画面を更にスクショして彼に送った。

「こんなメッセージが付いているんだけど、知ってた?」

彼はとぼけた。「僕の方からは見れないみたいだな。おかしいな。」
「ああ、見つけたよ。仕事で国際ロマンス詐欺に付いて調べていてね、怪しいと思った相手にこうやってメッセージを送っているんだ。普通はマッチングアプリのメッセージ機能で詐欺師とやり取りするんだけど、どうしてこの時はLINEを使ったんだろうね。」

怒りが湧いた。スクショによると彼がメッセージを送ったのは10月21日の昼過ぎ。普段仕事中はあまりLINEをしない彼が、この日は私にもメッセージを送っていた履歴がある。「中崎町のフレンチに行こう。予約は僕がしておくよ。」
こいつ、日本を離れる前に遊んでおこうとでも思ったのか。

詐欺師だったとしても、一般人だったとしても、相手は気分を害している。これを彼のLINEページ投稿したのは明らかに嫌がらせだ。

「あなたの事は信じられません。私は自分の身体が心配になったので、性病検査をしに行こうと思います。費用を持ってくれますか?」
わかりやすく費用を提示している梅田の泌尿器科のページを送った。

彼からの返事はビデオレターだった。
私と出会ってからは、他の女とは一切関係を持っていないこと、ただ今回のことで不安にさせてしまったのは申し訳ないと思っている。それ以上僕に言える事はないとの内容だった。

私は次の日、泌尿器科に行った。彼氏の浮気が発覚したので、一番高い性病検査をしてください。費用は彼に払わせるので、領収書さえ切ってもらえればいくらでもいいですと伝えた。それでも26,400円だった。割と安い。
検査が終わった後、豚汁定食を食べながら彼に領収書の写真を送った。

丸1日経って彼からLINEが返ってきた。
「日本に帰ってきたよ。時差ぼけが辛くて返事が遅くなった。」
私はイライラしていた。
「西回りの移動ではそんなに時差ぼけは有りません。あなたの言葉全てが嘘に聞こえます。」

ここで彼がブチ切れた。
「それならもう終わりだ。お金はどう支払ったらいいか連絡してくれ。僕のマンションの鍵も君の都合の良いように返してくれればいい。」

私も譲らなかった。
「では、ペイパルでお願いします。鍵はヤマトで送ります。」

次の朝、ペイパルから入金のお知らせメールが届いた。
私はヤマトの営業所に行って、鍵を発送した。

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