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「清潔、一点集中」 清潔製作所 清 潔夫(せい・けつお) --歓喜人005--

掃除をした後に「ああ、やっぱり掃除なんてしなければよかった。」と思う人はいるだろうか。始める前は億劫なものの、掃除を終えてピカピカになった部屋を眺めると、なんとも言えない「気持ちよさ」や「満足感」を多くの人が感じることだろう。

「清潔」を保つことは単に生活するための手段だけではなく、私たちの心にも良い効果をもたらしてくれる。とはいえ仕事・家事・育児など、目の前の業務に追われてつい後回しにしてしまいがちなのも事実。「掃除」はやりたくない家事ナンバーワンという統計もあるほどだ。

そんな中、「清潔」を体現する人物がこの歓喜町にいる。清潔の中の清潔、The Best of Cleanup(TBC)などの異名を持つ男、清潔夫(せい・けつお)だ。この町一番のキレイ好きが働く清潔製作所では「清潔」に関連する商品を製造販売している。

清潔製作所で働く清潔夫(せい・けつお)

「職場では、まず仕事始めに皆で瞑想をして心を磨いてから、1日がスタートします。うちの会社では仕事中いつでもシャワーを浴びても良いので、あ〜なんか汚れてきたなって思ったらすぐにシャワー室へ向かいますね。」

製作所では社内の人間関係も良さそうだ。「全社員が外だけではなく内面も綺麗にすることを心がけているからでしょうか、勤務中も10分に一回は全社員が工場の外へ出て深呼吸しています。やはり汚れにはかなり敏感で、お互いに汚れを指摘し合ったりもするので。内も外も常に綺麗だと思います。」

清潔夫のトレードマークは頭に巻いた手拭い。「いつでもどこでも拭けるように」ということらしい。「瞑想で心を磨き、運動で汗をかいて毒素を排出、身体にとってより良い食事を心がけ、職場だけでなく、家の中もとてもキレイにしています。」ちなみに彼のカバンの中も清潔でいっぱいだ。

清潔夫のカバンの中身:(左上から)ゴミ拾いトング、ビニール薄手手袋、ウェットティッシュ、綿棒、歯間ブラシ、歯ブラシ、タオル、着替え、コロコロ

清潔製作所で製造販売している商品の一つが「ゴミ拾いトング」。長さ、重さ、ゴミをつかむグリップ力など、ゴミ拾いのためだけに設計されたもの。歓喜町ではこのゴミ拾いトングを使ったイベント「マインドフルゴミ拾い」が定期的に開催されている。

ゴミ拾いトング製造の最終工程、手のシリコングリップをはめる作業中の清潔夫(せい・けつお)
10分おきに深呼吸に出なくてはならないため、常に時間を気にしている様子だ

「僕も定期的にマインドフルゴミ拾いに参加しているのですが、没頭しすぎて朝まで拾ってしまうんです。最長で3日拾い続けてしまったことがあって。」

そんな姿を目撃した住民から不審者として通報されたこともあるというが、それにもめげず、「清潔は、心の明るさ、シンプルな考え、より良い人間関係につながる。」と爽やかに語る。まさに清潔、一点集中、清潔の中心で生きる男、The Best of Cleanup(TBC)、それが清潔夫(せい・けつお)なのだ。

シャウチャ śauca:清潔・浄化
外面・内面ともに清潔にすることがシャウチャだ。外面の清潔は、家や職場の清潔や整頓、身体を綺麗に保つことが挙げられる。ヴェーダの文化では、寺院にお参りにいくときは、できるだけ身体を洗い清めてから行く。しかし、身体を洗う時間がないときは、足や手や口を洗って中に入る。

神聖な行いをするときは、必ず身を清める。ヴェーダを学ぶものにとっては日々の行いを捧げるこの世界が寺院であり、この身体も寺院である。したがって、この身体を清浄に保ち、行いをする。そのマインドが内側の清浄に繋がる。

内側を清めるためには、呼吸法や瞑想も挙げられる。そして、大切なのが祈りだ。祈りは、内側を清めるための行いである。とあるインドの僧侶(スワミ)は身体のシャワーを毎日浴びるように、内側のシャワー、つまりメンタルシャワーも毎日浴びなさいと言った。メンタルシャワーとは瞑想と祈りのことであった。

瞑想や祈りを取り入れることで、リラックスが生まれ、感謝が生まれ、大きな存在に委ねる安心感が生まれる。リラックスや感謝がなく、心の中がいつも雑然としていれば、不安や不満に支配されてしまうかもしれない。さらに、何が本心なのかわからなくなったりするだろう。雑然とした心は物事を複雑にしてしまう。一方、スペースがある整った状態の心はシンプルに考えることができる。

良い人間関係や、健康な精神状態を保ち、スピリチュアルな修練をしていく上でシャウチャは欠かせないものである。


撮影協力:有限会社 永塚製作所

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