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牧野植物園の思い出写真(2018年3月25日:桜)


祝!松坂慶子さん牧野植物園理事就任


 今年のソメイヨシノの開花は、weathernewsの第六回桜開花予想(3月13日)の桜の開花予想が東京は20日頃、高知は23日頃とのことで、「逆じゃないの」と思いながらこの記事を書いていたが、19日発表の第七回開花予想では、東京も高知も3月24日に変わっていた。あれは2014年の3月20日過ぎ頃だっただろうか。東京から高知に向かう飛行機の中で、私より20歳程年上であろうか(失礼)、フランスのシニアのご婦人の近くの席になった。高知はついでに立ち寄る所ではないと思っていたので、高知来訪の目的を尋ねた。そうすると、「日本の桜を楽しみにして東京に来たが、全然咲いていない。高知ではもう咲いているらしいので楽しみにしている。」とのことだった。それを思い出しながら、「異常続きの今年だな」と思いつつ、牧野植物園の思い出写真シリーズの第2弾として、2018年3月25日の桜について書きたくなった。
 2018年3月から4月の初めには、1年後に卒業する高知工科大学環境理工学群の私の研究室の学生が卒研のために桜の花の写真を集めていたので、お手伝いを兼ねてという口実で牧野植物園に5回ほど訪れたが、3月25日の写真に絞ってご紹介する。下線部をクリックして是非関連情報もチェックして頂きたい。

牧野富太郎ゆかりの「センダイヤ」

 温室の近くの南門から入り「お馬路」を行くと「センダイヤ」の大木に出会う。説明プレートによると、「高知市内の仙台屋という店にあった桜で、牧野博士が命名した。仙台屋のものは、もとは東北地方より入れたものと伝えられる」とのことだ。高知ではソメイヨシノと共に多く植えられている桜である。


牧野植物園の南門から入り「お馬路」を行くとセンダイヤの大木が待っている


センダイヤの花

一番温室に近い銘木「ベニシダレ」

 南門を入って温室の脇を通り過ぎると、センダイヤに出会う前に、すぐ右手にベニシダレ(紅枝垂桜)の大木の前で足を止めざるを得ない。「エドヒガンの品種、一重咲きで花色が濃く大木になる」との説明がある。花びらが長くて一枚ずつ離れてついているところがセンダイヤと違うように見える。


ベニシダレの木


ベニシダレの花

宇宙ステーションから帰還した牧野博士の故郷佐川町の「ワカキノサクラ」

 オガワスペースという呼称の、牧野富太郎生誕150年記念(平成24年4月24日植樹)の桜。プレートの説明は以下の通り:
「平成20年、佐川町立尾川小学校の児童らが採取した同地区にあるワカキノサ クラの種子を米国のスペースシャトル『エンデバー』に乗せて宇宙に運び、国際宇宙ステーションに約8か月半滞在させた。この種子のうち5粒が発芽し、尾川小学校で育成された株が佐川町より当園に寄贈された。この『オガワスペース』という呼び名は公募によるもので、尾川の地名が入っていること、宇宙へ行った桜であることがスペースという言葉で表現されていることから呼称に決定した。」
 幼樹が花をつけるヤマザクラとのことで、2018年には本当に小さい木だったが、白くて特徴的な花を咲かせていた。
 なお、ワカキノサクラは小惑星の名前「Wakakinosakura」として、2023年5月に国際天文学連合に認められたと報道された


ワカキノサクラの花

薬草園近くのオオシマザクラはまだ咲きはじめ

 
 オオシマザクラは3月25日にはまだ咲き初めだったが、枝と花を近くから撮りたくなった。この桜は大木になり、清爽な花を咲かせるので、大好きだ。北園の薬草園の近くにオオシマザクラの見事な木が何本もある。説明プレートには次のようにある。
「伊豆諸島特産。房総半島・三浦半島・伊豆半島(これらは元来の自生説がある)をはじめ、東北以南には各地で薪炭用に植えられたものが野生化している。葉は桜餅を包むのに良く使われる。葉は生の時には全く香気はないが、塩蔵中に化学変化を起こし独特の香りを発する。3月下旬~4月初旬、芳香のある白い花を咲かせる。」

 どうしても桜餅の記述に力が入っているようだが、野生化する位だから丈夫なんだ。桜餅と言えば、中学生の頃、同級生が遊びに来て、午後1時過ぎの頃、母が桜餅を持って来た時に次のような会話になったことを思い出す。
 母:やっぱり3時のおやつにした方がええかな。
 私:3時まであると思うな桜餅
 友人:(ウーンと唸ってしばらく考えて)2時にネズミの食わぬものかは
さて、何時に食べるのが正解だったのでしょうか?


オオシマザクラの花。端正な花だけでなく、何やらおいしそうな葉が目につく。

ずいぶん赤いね、カンザクラ

 ピンクの濃い桜を見つけた。カンザクラとある。説明プレートを読もう。
「カンヒザクラとヤマザクラの雑種と考えられている。暖地に多く、古くから各地で栽培されている。初めヤマザクラの変種として記載発表されたが、後に牧野富太郎はこれを独立した雑種であるとした。若芽は赤紫色で花と同時にのびる。花期は2~3月で、他の桜に比べ早く開花する。」
 4月25日になっても温暖な高知で見頃とはラッキー。それにしても、「独立した雑種」と言うのが何とも面白い。


カンザクラの花

ヤマザクラ?山桜?

 「ヤマザクラ」って学名?「山桜」という普通名詞かと思っていた。説明プレートに教えてもらおう。
「本州(宮城県以西の太平洋側、新潟県以西の日本海側)・四国・九州に分布。野生のサクラの代表種。花が咲く頃に若芽が伸びる。若芽は木によって緑色、黄緑色、褐色、紅紫色と異なる。花は白色、淡紅色、濃い赤色と個体によって異なる。花期は3~4月。」
 葉の色と花の色の組み合わせが沢山できそう。やはり山に咲く桜の総称のようにも思える。

ヤマザクラの枝。花と同時に若芽が伸びている。桜に限らず、若芽の頃は緑色でなく様々な色の葉をつける木が多い。

ソメイヨシノは?

 この日の牧野植物園ではソメイヨシノの写真は撮らなかった。実は、高知工科大学の周りはソメイヨシノでいっぱい。3月23日に大学で写真撮影済みだったから撮らなかった。その写真と説明プレートをご紹介したい。


高知工科大学学内通学路のソメイヨシノ


高知工科大学のソメイヨシノの説明パネル。高知工科大学では薬用植物の研究が盛んだった。このパネルは「高知工科大学『植物園化構想」一環として設置されている。


帰りは四国霊場第三十一番札所竹林寺を抜けて

 卒業研究に役立ちそうな、センダイヤ、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヤマザクラの花の写真も集まったので、竹林寺の文殊菩薩を拝んでから帰ることにした。
 「四国霊場第三十一番札所 日本三文殊菩薩随一五台山竹林寺」と仰々しいが、大好きなお寺だ。724年に行基が開き、弘法大師が修行なさったお寺。昔、飢えた人々に食べ物を差し出しながら「食うかい」とおっしゃったとかおっしゃらなかったとか。階段を上って立派な山門をくぐって苔の絨毯の中を行くしばし癒されるが、また階段だ。だが、幅が広くて一段一段が優しい段差で、お遍路さんや参拝客にやさしい。境内の紹介は次の機会に譲りたい。


竹林寺山門の近くでお遍路さん達を迎える弘法大師さま


お大師様に挨拶して急な階段を進むと竹林寺山門に至る


急な階段を登り切って山門をくぐると苔の絨毯を左右に眺めながら境内に向かう


幅広い階段を上ると境内。文殊菩薩様に何をお願いしようか。



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