見出し画像

もし今からMMD動画イベントを作るなら

 あくまでも個人の妄想です。
 また既存・現行でも継続しているイベントについて触れるものではありまんが、情報の取得が少なくて類似のものがあるかもしれません。予めご了承下さい。
 記事内容にケーススタディとしてイベント企画そのものが含まれています。原則そのまま利用する事は禁止です。必ずお問い合わせ下さい。
 では始めます。

MMD動画イベントをやる意義・目的

 やはりMMDユーザーとしては自分の作品を見て欲しいが第一意であろうし、今後の参考や今まで触れてない他ジャンルの事を知りたいというのもあったりするだろう。もっとも、後者の方は意欲的なユーザーであり、MMDユーザー層全体としては極一部だと思われる。
 また現状では、「MMD動画であれば全て網羅したい」というのは一部のマニアだけであり、基本は自分の好きなジャンルのものを見る傾向が強い。MMDだから見る、というには今ではあまりにも数が膨大過ぎるのだ。
 そういう意味でも、第一の意義としては「作品の露出チャンス」と定義したい。
 そうなると基本コンセプトはMMD杯に類似してしまうのだが、あの規模は既に不可能なので代替案を考えてみる。
 第一の意義と類似する目的設定をする。
「MMDユーザーのアカウント・動画(全体もしくは個人)の知名度アップをするためのイベント」
 としてみよう。ある意味、MMD杯に比べややアドバンス的な目標設定となる。
 まずここから設計開始だ。

コンセプトワーク

 意義、目的が決まれば次はコンセプト(ある意味ゴール)を定める。意義・目的・コンセプトは近いようで実際の機能は異なる。
 コンセプトは

「自ジャンルは無論のこと、ちょっと気になる他ジャンル・流行ってるジャンルの事を知る機会と知ようとする原動部となるイベント」

 というのはどうだろう。
 自ジャンルでも笑い部分の元ネタが分からずに困惑してしまう事も稀にある。良く使われるが元ネタを知らない場合でスルーする事もあるが、知っておくと自分でも使えるかもしれない、という機会が得られるのだ。要はネタ探しにも使えるという事になる。
 これはどちらかというと、視聴参加者が能動的に動く切っ掛けになる可能性があるので、開催告知には含めたい。

 一方、動画参加者には、予めジャンル間軋轢などがあってもオトナの対応ができるようリスクヘッジを参加前にとってもらう必要がある。
 その危険性自体をややエンタメ化してしまうのはどうだろうか?

 さらに、ニコニコ動画のシステム上、レギュレーション案として「投稿時のジャンルは全てエンターテインメント」と設定し、自ジャンルは一つだけ設定可能な事にする。ジャンルミックスは専用の共通タグを付けるようにすればいい。

 こうした事を設定していくと、考えられるイベント名が絞られてくる。イベント名は冠であり看板である。安易に決めてはならない。

イベント名の設定

 イベント名はこうだ。

『MMD闇鍋会』(略称:エムなべ) ←安易?

 これが安易かどうかは読者の判断に委ねる。
 だがこれまで仮定した意義・目的・コンセプトに基づくと、このようなイベント名になるのではないかと考える。

 イベント名は公募しても良いのかもしれないが、多数決やアンケート等だと良くも悪くも平均化してしまい、伝わりやすい部分もあれば、面白さが半減してしまう側面もある。
 また主催ないしチームの性格を決める事でもあるので、イベント名においては独りよがりでも良いので内部で決めるべきである。

 代替案も考えておこう。

『MMDグランクロス:Re-Link』

 代替案は何かの著名ゲームやアニメなどからパクる リスペクト 拝借するのが良い。これは認知度を高めやすい効果と覚えやすさ、コンセプトの匂わせなどでは効果がある。あまりやりすぎるとクレームが入るので、代替案を採用する場合には熟考すべきではある。

 仮称としてひとまずどちらかを採用する事にして先に進む。

イベントイメージ

 これまでの流れでおおよそのコンセプトワークは出来たので、それを具現化していく事になる。

 まず闇鍋ベースに考えていこう。
 既にMMD杯などでいくつかの参加動画が行っていた、昔でいう「東方+アイマス」とか「アイマス+ボカロ+その他大勢」みたいなジャンルミックスを印象付けながらも、個別ジャンルでの参加も可能な一文を入れる。
 フライヤーないしバナーイメージとしては、イベントタイトル名と一行説明(キャッチフレーズ)、動画投稿参加イベントである旨を記載しておく。
 キャッチフレーズは安易なのが良い。MMD杯や独自イベントでは厨二病を如何なく発揮したが、それも時代遅れになっている。そういう意味では分かりやすさ優先で組み立ててみよう。

「気になる❗隣の推しジャンル」←ネタが古い

 これで仮組みしてみよう。
 まったくイメージ(図版)が無いと伝わらないと思うので、DALL-Eを使ってさくっと候補を挙げてみる。
 本来こういう作業はかなり時間が掛かるのであるが、レンチン並にとりあえず作って土台化する事ができる時代なので、イベント企画などでは活用すべきだろう(業務で使う場合はリスクがあるのでまだお奨めできない)。

イメージ案1
イメージ案2


イメージ案3


イメージ案4
イメージ案5


イメージ案6

 おおよそプロンプト模索とガチャで20分程度で6パターン用意できるのも、AI活用としてはタイムパフォーマンスに優れる。
(タイトルスペースが無いのもあるが、再生成やリビジョンアップは後回しで良い)

 これで料理の材料が揃った。次は「祭りの終わらせ方」を決める。

イベント終了処理

 まず前提として、動画投稿参加イベントであり、サービスは基本ニコニコ動画を利用する事とする。利用サービスの性格とシステム上、終わらせ方はやはり進行動画で終わらせるのが綺麗だ。これはイベント運営の渾身作動画でなければならず、細心の注意とコストを掛ける部分である。

 MMD杯などを意識するのであれば「閉会式」が良いのだろうが、このイベントでは名目とはいえ競争色のあった杯と違い、競争色は無い。「闇鍋」をイメージしたものにしたい。
 鍋のシメはうどんかおじやになるだろう。デザートでも良い。いや、デザートはユーザー自主参加後夜祭の扱いにしても良いだろう。
 あの満足感に溢れながらも、胃に優しいものを更に食べて満腹感を満喫する瞬間、それをイメージしつつ組み立てる。美味しい満足+満腹だ。

 こういったものを組み立てる時点で、意義目的設定とコンセプトワークは重要であり、組み立てスキームの順番も重要である。

 MMD杯閉会式では授賞式・選考委員の選考作品発表・樋口氏/あにまさ氏のコメント後、エンディングロールの流れだ。
 鍋の場合は火を灯し直し、減った出汁を加えて加熱し、うどんないしご飯を入れて、(好みにより)卵を落として食する、というプログラムだ。
 その流れをイメージしつつ、簡単に動画構成を仮組みする。

  1. オープニング

  2. 司会挨拶・動画の流れを説明するブロック(何を魅せる動画なのか)

  3. 参加動画データ発表(合計再生数やマイリス数、参加動画数)

  4. 45秒~1分5秒アイキャッチ(参加動画を再編集したMAD。アニメで言うメインタイトルブロック)

  5. 参加動画ラッシュ(MMD-DMC手法を流用)

  6. 参加者クレジットロール

  7. 参加者へ運営からのお礼メッセージ(Vtuber的なもの) BGMはLet'sDanceNowアコースティック版

  8. エンディングブロック・イベント全体クレジット表記
    (MMD-DMCの類似)

  9. 全MMDユーザー・ファンへの一言謝辞

  10. 30秒のコメントスペース(画面はイベントフライヤー静止画)

 こういう感じに組み立てていく。シンプルにMMD杯とMMD-DMCの良いとこ取りをしたような構成だ。
 この構成は往年のイベント参加者でも、最近はじめたMMDユーザーでも綺麗で素直に見れるものではないだろうか。
 (4)で拝借する動画の選択は独りよがり・好みで決めて良い。ここで平等性を重視する必要はない。ただし、参加動画の中で再生数基準に言うと、トップクラスのものを使用した場合は再生数が少ない動画でも光るカットがあれば採用するという感じだ。平等的バランスは必要ではないが、色々織り交ぜるという部分は重要である。
 これにより、「イベント運営側は全ての動画を網羅している」姿勢が示せ、参加者・視聴者へ悪印象を持たれる事は少なくなるだろう。

 過去の事例から良い所を真似する事は何も悪い事ではない。良い所の事例は成功例そのものであり、有り難く使わせてもらおう。

運用環境構築

 イベント運用するにあたり、若干でも良いので広報またはデータ収集においてニコニコ動画本体(ドワンゴ様)と掛け合う必要がある。これまではユーザー独自で行っていたが、ユーザーイベントに対するニコニコ動画運営も歩み寄っている姿勢が見えるので、利用させて頂く。
 先方にも規約やリテラシー面、協力範囲の限界はあると思われるので過度な期待はせず、最悪は自力で出来るようバックアップを事前に組む事が必須だ。
 恐らく最悪のパターンでも、トップページでの告知とXでのオフィシャルアナウンスの協力は要請できるだろう。そういう意味では、動画データ(動画本体、再生数・コメント数・マイリス数等の)収集のバックアップ手段は必要であり、自前でも出来る環境を揃えなければならない。
 最高の状態ではリテラシー・社内規定に反しない範囲で、何らかのデータ提供を受けられる可能性は(少ないだろうが)ある。

 では具体的に筆者が行う場合を記述する。
 手持ちのツール群は既に古く、現在のニコニコ動画APIがどこまで引っ張れるのかは分からないので、まず現在ランキング動画を作成している方にアポイントを取り、技術協力もしくはインタビュー協力(ノウハウインタビュー)を行う事が必要だ。
 とにかくデータ収集(動画の再生数や動画自体のダウンロード)の手段を確立する。

 次にデータ分析・集計だが、これはローカルで可能だ。ExcelないしGoogle Sheetを使えば良い。分析手法については、自前で勉強しつつ(何の分析が必要かを予め決めておく)その上でニコニコ動画やXで現在でも活躍している方、専門Vtuber(分析専門など)の方などの意見を伺う。

 これらの見返りとして、クレジット表記はもちろんの事、このイベントを取り扱った動画作成の許可(参加動画部分は除く)、収集したデータの提供要望があれば応えるなどが必要だろう。
 何の見返りも用意せずに協力を要請してはならない。また協力要請をする際に、楽しいイベントなので協力して欲しい旨と、何か先方で役立ちそうな(こちらで)出来る事はあるか、などの熱意あるコミュニケーションが必須である。
 読者の方で、もしこれから別のイベント等を行うのであれば、ここを忘れてはならない。

 データ分析の話に戻すと、自分でスプレットシートを色々弄るのも良いし、今であればAI補助が使える。特にGoogle GEMINIは手持ちのGoogle Driveと連携できるので、スプレットシートをDriveにアップし、AIの分析・意見などを聞く事ができる。
 そういう意味では、複数人チームを組めずとも個人でイベントをやる道具は探せばある。

 しかしながら、独りよがりにならない為にも、自分自身でコミュニケーションエリアを広げ、サポーターやコーディネーター、アドバイザーなどの協力者は見つけておくべきだ。
 コミュニケーション能力が高いに越した事はないが、能力は問題にならない。シンプルに要点・要望などを簡素にまとめたドキュメントを用意しておけば、齟齬などを避けられる。コミュニケーションを取ろうとする意欲と勇気がプロデューサーには必要なのだ。

 これで環境構築の土台が組み上がるだろう。

スケジューリング

 これまでの流れと世情を考えると、年1回開催が限度だろう。2年では忘れられるし、半年はユーザーが参加動画を作成する期間が短い。
 過去の例では連休などに動画投稿期間を設けていたが、今では予約投稿が一般ユーザーでもできるようになっている。なので、連休などを視聴期間に回した方が良い。この方が、参加者が動画アップした後にミスに気づいても訂正する期間が設けられる。

 単発イベントの場合は考慮せずとも良いが、継続要望が出た場合の事も考え、先に用意しておくのが良いだろう。結果が芳しくなければ廃案にすれば良いだけだし、始める前から気にするのは杞憂というものだ。
 また逆に、単発イベントとしても成立するよう、一回開催でも全体が簡潔できるよう身構えておく・用意しておくのが良い。

 さて、次に時期の選定だ。これは世情と合わせて考える必要がある。
 2024年(執筆)現在では、デフレ経済でありつつも株価上昇傾向(ちょうと本日、日本銀行がインフレの流れになるという記事が出たが、それはマクロ経済の話であり一般消費市場ではない)、円安、実質人件費(給与)の変動は一部上昇もしくは僅か。人材不足。政情不安定、選挙年……etc.
 イベントを開催するにはこういった情報の収集も必要である。何故ならば参加者はほとんどが一般人であり、MMDのプロなんて数える程しか居ない為だ。無論、視聴参加者のターゲット設定も同様である。
 一般人は世情に振り回される(自身含め)ので、可能な限り負荷にならずに済むタイミングを見計らう。
 同時にイベント主旨とも合致させる必要がある。今回はテーマが闇鍋なので、当然春と夏は除外され、残る2つに絞られる。
 年末となる12月は師走と言われるだけに皆忙しいので、本当の年末(12月29日以降)から正月に掛けての一斉連休期間となる。
 また9・10月、3月は企業によっては決算期となるので忙しい。これも除外する。
 すると意外なほどに選択肢が少ないのが分かるだろう。これはリアルイベントでも同様で、時期を誤ると大きな損失に繋がるものであり、慎重に吟味しなければならない部分だ。勢いや感覚で設定すべきではない。

 残る選択肢は2つになる

  • 11月連休を活用

  • 年末年始を狙う

 11月連休は2回あるが、投稿期間は後半にある23~24日の連休となる。理由は11月頭にある連休で動画作成や仕上げ期間と仮設定すると、こちらしかない。
 年末年始は一部のエンターテイメント産業従事者でなければ、圧倒的多数である一般社会人が連休を取れている時期だ。幸いな事に29日からは公共も休みとなる。また年末のTV視聴率は年々減少傾向にあり、大型番組を除く時間でMMDイベントを楽しめる時間を確保しやすい。また、視聴のみの参加者にもメリットがある。
 特にニコニコ動画のような動画投稿サービスはオンデマンドなので、ユーザーの自由・選択肢が多いのが有利な点だ。

 すると開催時期設定はこうなる。

  • 第一候補:年末年始

  • 第二候補:11月22~24日を起算とした一週間

 動画投稿期間と視聴期間の設定は微妙なバランスである。なので現段階では候補を絞るだけに留め、一旦は次の作業に移る事になる。
 とにかく候補は2~3個までに絞り込むことが重要だ。
 一旦仮決定段階にしたタスクは一度仮組みが終わった後に、前後の関連を把握しつつ微修正を加えていく事になる。

広報活動設計

本イベントスケジュール

 おおよその開催時期とシメ方が決まれば、あとは逆算してガントチャートに落とし込めば良い。「鍋のシメ動画」の投稿日時の設定から逆算した投稿・視聴期間と告知タイミング(広報スケジュール)の設定だ。

 鍋のシメ動画は、今の世情を見ると土曜の夜もしくは日曜夜が望ましい。金曜は飲みにいったり外食する人も多いので、金曜投稿は現在では通用しない。また万が一を考え第一候補を土曜とし、最悪でも翌日には対応できるような体勢を整える。さらに自分の身に何かあった場合に備え、途中稿・完パケを誰かが投稿代行できるようイベント用クラウドにアップしておく(投稿者メッセージのテキストや投稿マニュアルを含む)。
 スケジューリングは短すぎず、無駄に余裕を持たせ過ぎずというバランスが大事だ。

広報スケジュール

 おのずと残るは告知タイミングとなる。
 広報は非常に重要であり、タイミングとスパン(間隔)を誤ると効果が出ないどころか労力コストが無駄になる。
 2024年の場合で仮組みしてみよう。

 まずニコニコ動画本体が主催するイベントを洗い出す。現段階で挙げられるのが超会議であり、今年の開催は2024年4月22日(月)~4月28日(日)の7日間となっている。
 今から宣材(宣伝材料・静止画や動画)を用意しても間に合うかどうかギリギリである。なのでこのイベントは連動候補としては挙げられるが、優先度は少し低くなる。また、この開催日程で告知を行っても、実際の開催まで最短でも半年以上なので、広報タイミングとしても微妙である。

 次に年末近くに行われる『ニコニコ大感謝祭2024』だ。これはイベント開催にもっとも近いタイミングになるので、利用しない手はない。
 気をつけなければいけないのは、企業・団体などはイベント開催日程よりも大分前、最低でも半年~数年前から計画し、当年中に具体化するための作業に着手している。
 冬に行われるからといって悠長には構えて居たらタイミングを取り逃がす事になる。超会議と大感謝祭が同じイベント運営チームなのか違うチームなのかを把握する事、担当者を見つけて交渉の席を用意するための窓口を見つける事を現時点の段階から行わなければならない。
 また長期間に渡り交渉する事で相互に安心・信頼感を高める事ができ、広報効果への影響を大きくできる。フットワークが必要な場面である。

 ニコニコ動画から現時点で発表しているのは、見逃しがなければこんな所だろう。あとはニコニコ動画サービス上だけで展開している各種イベントのリサーチを行い、上記と同様な手続き準備をしていく。

 次にMMD関連のイベントの洗い出しだ。これは計画時点で把握できる範囲で良い。例年行われているイベントであれば、おおよその時期は推測する。
 可能な範囲でイベント開催時期が被らないようにしておけば、余計なトラブルを避けられる。もし仮設定時期に近しいものがあれば、予めイベント主催者(またはチーム)と連絡を取り、すり合わせを行うか、相乗効果を狙って協力体制を作る、などで事前対応しておく。
 いわゆる仕事でいうところの根回しを先んじて行う事だ。

 また他にもMMDで参加見込みのユーザー層を洗い出し、いわゆる大手ジャンルの動向も調べて対応策を練る必要がある。

 ボカロイベントは「マジカルミライ2024」が8月、「MIKU EXPO」が開催日程未定。
 刀剣乱舞は「花丸 続・出陣! 刀剣男士 江戸へ行く」が5~8月、「五周年記念 刀剣乱舞 大感謝祭」が10月。
 ゲームショウは9月20日~23日。

 こういったように、主要ジャンルと思われるものを調べ、イベントスケジュールを確認し、その期間を避けるように組み立てる必要がある。
 全てのユーザーが必ずイベントに行く訳ではないが、配慮して避けておけば参加予定ユーザー自身にスケジュールの余裕ができ、動画作成とファン活動が平行できるようになる。こういった配慮も必要だ。

 これらスケジュールもGoogle GEMINI等に問い合わせれば、ある程度は応えてくれる。上記スケジュールも厳密な裏取り作業(検索してオフィシャルページでの確認作業など)までは行っていないが、正式イベントタイトルなどを知る事で、ネット検索時のノイズ対策にもなるし時間効率を上げる事ができる。
 プロンプトはシンプルだ。

「2024年に行われる、ニコニコ動画イベント、ボーカロイド大型イベント、刀剣乱舞イベント、ゲームイベントなどを一覧にできますか?」

 これだけである。これに最近投稿されたMMD動画で使われているキャラや動画タグを情報ソースとし、繰り返しリサーチすれば良い。

 リサーチ結果を活用しつつ、告知タイミングなどをガントチャートに落とし込む。
(実際に企画運営する訳ではないので具体例は割愛する)

広報ツールと宣材(宣伝材料)

 ニコニコ動画へアップする開催告知動画。XとBlueskyなどのSNS。これらは必須レベルではあるが、具体的行動例などは割愛する。
 ニコニコ動画については、個人主催で行うのであれば既存の個人のアカウントでも一般会員でも十分だが、開催前後までにはプレミアムにしておく必要がある。これはマイリスト登録などに制限が掛かっている為だ。そういう意味でもプレミアム会員費を持ち出し費用として予算に組み込まなければならない。出費となるが、それくらいのコストは支払うべきである。
 継続してイベントを行う事が初めから決めているのであれば、手持ちとは別途とし、専用の運営連絡用メールアドレス取得とニコニコ動画アカウント作成を行う必要がある。プレミアム費用に関しては前述の通りだ。

 告知動画自体は、最悪でも開催三ヶ月前に投稿し拡散する必要がある。安定は四ヶ月前だ。理由はこれまでも記しているとおり、一般社会の動きとMMD作業時間を配慮してのものだ。
 X/Blueskyの短文SNSでは告知動画投稿からスタートして、最低でも1週間半で再告知を繰り返していく。可能であれば、告知動画の前から匂わせて置いたほうがいい。
 こちらもメールアカウント同様、必要であれば専用アカウントを設置する。

 開催決定告知前に「匂わせる宣材」としてあるのが『ティザーサイト』だ。ここで謎なカウントダウンや作品イメージとなる画像を使って「何かが始まる」と思わせるサイトだ。このティザーサイトは、開催決定告知後は詳細なイベント内容について公表する場にチェンジする。

 こうしたサイトの多くはランディングページサイト(着地地点)と呼ばれている。サイトは専用のサーバを用意するか、既にあるランディングページレンタルサイトなども使う手もある。無料のWixなどが有名ではあるが、デザインの融通は利かない。自身の持ち出し可能な予算範囲内で、安価なランディングページのレンタルサイトなども探すと良いだろう。
 私の場合、幸いにもサイト構築とサーバーを用意できる環境にある(有償ではある)のと、スキルも業務実績があるので問題は無い。
 このランディングサイトがイベントの玄関口・誘導口になるので、イベントを行うのであれば用意すべきアイテムではある。
 サイトデザインは、イベントフライヤー(チラシやポスター。もし作るのであれば)等のイメージと一致させ、同じものであるのが分かるようにしておく(イメージ統一)。そういう意味でも、フライヤーイメージは早い段階で仕上げて固定させる必要がある。
 無論、サーバーとサイトにはニコニコ動画とX/Blueskyの埋め込みが可能なようにしなければ意味がない。

 もし、これら準備・維持費等について自前持ち出しが難しい場合、クラウドファンディングなどで少額募集を掛けてみるのも手だ。リターン品はイベント一連の運営動画そのものとして扱える事ができるし、無理に物品にしなくとも良い。
(但し、ファンディングサービスによっては規約や法律上、何かしら物品提供を伴わないものは審査で落とされる事もあるので、サービス利用については各サービス毎に詳しく調べる必要がある)

 何かしらグッズを作ってリターン品にしておくと効果が高まるだろう。例え安価な缶バッジであっても、投稿参加者自体がファンディング参加もしてくれれば、後々良い思い出になるだろう。視聴のみの参加者も同様で、投げ銭的にイベント全体に対して応援してくれる可能性もある。

 これらの意味も踏まえて、ニコニコ動画プレミアム費用だけでなく、広報用宣材のデザイン発注や依頼、印刷や量産などの対応費用となると、なかなかな出費になるので、クラウドファンディングを行う方が良いだろう。幸いにもターゲット層は広いし、目標10万円未満に見積もりが抑えられればファンディング成功率も高い。
 そのためにも、仮組み段階で必要費用の見積りが必要となる。
(見積り方法については本稿では説明を省く)

 もし知り合いに、企業広報部に属している人、店舗運営などをしている人などが居れば、自身のコミュニティを活用して協賛を得るのも手だ。大手企業では難しいだろうが、小規模企業・個人店舗などを対象とし、クレジット表記を条件にすれば協賛は(少しだけ)得られやすくなる。その為にも協賛金の基本は、一口をお小遣い程度に抑えておけば成功率が高まる。
 また協賛を得る為にもディザーサイトを早めにつくり、サイトのアナリティクスデータを収集・分析して見込みユーザー(インプレッション)を明示できれば広報部や店舗運営者に対して説得力をもって交渉可能となる。
 ただし、そのためには提示用企画書を作成し(ペーパー・PDF等)、インプレッションデータ等を添えて提示し、先方の事を知り、相手のメリットを考慮する作業が必須となる。企画書の土台は既に(前述の)協力要請のものがあるので流用したりブラッシュアップする事で省力化できる。
 例えば、地元の居酒屋でも良い。少額協賛+お店にポスター貼ってくれればクレジット載せますよ、といった交渉は可能だろう。確率として低いだろうが、コロナやインフルが落ち着けば、参加したMMDユーザーがその地元に旅行等で行きお店を利用する可能性、元々地元が近いMMDユーザーが顧客になる可能性がある。
(たまたま利用者が地元民の場合もあるので、個人リスクを背負わない為にも協力して下さった店舗には主催者情報を漏らさないようお願いする事も忘れずに)
 逆にまったくMMDを知らない・興味がない一般人の居酒屋ユーザーが、たまたま興味を持って視聴参加する可能性もある。
 こうした相乗効果があるので、協賛を集う作業は必須ではないものの推奨するものだ。

残るのは…

 実行する覚悟と勇気、万が一のための貯金(生活費・万が一の医療費等)である。ここまで事前準備できればあとは実行するだけだ。
 途中で心折れないようストレッチや散歩・ランニングを行い、バランスの良い食事を取り、睡眠時間をちゃんと確保する。無理に平日等に作業をしない事(気が向けばやれば良い)。
 交通ルールを守り、赤信号はきちんと止まり、駅のホームでは電車が来るまでホームギリギリに立たない等、普段から潜んでいる危険からマージン(距離)を置く事を意識する……etc.
 こうした自主管理もプロデューサーの役割だ。

 これらの理由により、突発的イベント企画ではない限り、時期的にかなり前の段階から構える・準備する事が非常に重要である。
 イベント成功の可否は、事前準備で8割決まると断言する。

 また必ず相談できる相手を見つけておく事だ。個人主催であっても、周囲の意見は大事だし、万が一イベントが走り始めてから何かあった時、相談や代わってくれる人がいるのと居ないとでは、自身だけでなくイベント参加者の安心感が大きく変わる。
 今の時代、全てを独りで行う事は危険であり、またイベント自体を行うべきではないと考える。

最後に

 前回記した記事に引き続き、筆者も予定外のドキュメント投稿となったが、ケーススタディとして活用して頂ければと思う。
 繰り返しにはなるが、現状では「ノリと勢いでイベント開催」は既に過去のもので今では無理なものだ。
 まだまだMMD自体は使える限りユーザーは微増傾向にあるし、多くの人の時間を使う事への配慮が必須である。
 最低限、これだけ踏まえて頂ければ、イベントが大失敗になる事はないだろう。

 大企業のイベントでもそうだが、イベントというのは広報ツールの一つであると同時に巨大なギャンブルである。
 必ず成功するイベントの作り方なんてものは存在しない。何かしらのトラブルや問題が必ず起こり、お客様を無事に家まで返すまで、投稿イベントでは投稿して良かったと参加者が思うまで成功とは言えないものだ。

 必要なのはスキルやテクニックではなく、勇気と覚悟、そして友人である。

以上。

※皆様のご意見・ご感想・考察をお待ちしております。お気軽にコメントを残してください。また、X / Blueskyなどで質問があれば受けさせて頂きますので、お声がけください。

※ケーススタディ的にイベント企画内容を記していますが、企画自体の流用は禁止とします。この企画でやりたいと思う方が多数の場合は、別途お問い合わせ下さい。企業・公式系団体も同様とします。まずはお問い合わせ下さい。

どこにでも居るバーチャルJC MMDユーザーの一人。 MMDアニメーター、動画制作・編集、VTuber関連制作などを行っているただのJC。