狩野誠

落語大好き、音楽大好き、読書大好き、お酒大好き、女房まあ好き

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最近の記事

400字で分かる落語「池田屋」2-2

「い」の19:池田屋(いけだや)全2回の2 【成立】 春風亭小朝がまとめたというが、昭和40年頃の雑誌に「池田屋騒動」という題が見えるので、同じようなネタは会ったものと思う。  春風亭勢朝も演っていて2度聞いたが同じ結びだった。池田屋で活躍したのが沖田総司。三遊亭円生は、「あの人はマメな人で、起きたら掃除をする、起きた掃除、沖田総司」なんて言っていた。これで維新が一年遅れたといわれるが、実は難を逃れた大藻がいる。説明したいが、寝ている人がいるから、今度起きたらお話しします。

    • 400字で分かる落語「池田屋」2-1

      「い」の19:池田屋(いけだや)全2回の1 【粗筋】 勤皇派が集まるとの情報に、新選組は土方歳三と近藤勇がそれぞれリーダーとして四国屋と池田屋を襲撃する。池田屋の方は近藤が率いるが、内通者が相手の刀を隠してしまうが、狭い室内で短い脇差の方が使いやすく、人数でまさっているのに不利な状況。近藤が「土方が40人を連れて来たぞ」と声を上げて相手は意気消沈、近藤は肥後ノ宮部鼎蔵と一騎打ち、見事討ち取る。沖田は危うく組み伏せられるが、ここで吐血して相手が顔をそむけたので逆転する。収まりか

      • 400字で分かる落語「池田の猪買い」

        「い」の18:池田の猪買い(いけだのししかい) 【粗筋】 肉は病気の時の治用に用いられた。池田で猪の肉を食えと勧められ、分からなくなったら道を聞けと教えられる。とりあえず表へ出て、 「これこれこう行けば池田に着くが、どう行けばいいでしょう」 「今言うた通りに行けばええんや」  猟師に肉を見せてもらうが、新鮮な肉でないとと言われたので「これ新しいか」を連発。朝とったのではもう古いと言うので仕方なく目の前で撃って見せる。「これ新しいか」「目の前で撃ったやないか」と鉄砲の台尻で叩く

        • 400字で分かる落語「池田大助」

          「い」の17:池田大助(いけだだいすけ) 【粗筋】 お忍びで町を見回る大岡越前、利発な子供を奉行所に呼び出して問答をする。この子が後に池田大助と名乗り、越前の側近となる。 【成立】 三遊亭金馬(3)が、三遊亭円生(6)から「佐々木政談」を教わり、池田大助の出生譚に改訂したもの。円生は、「池田大助は享保時代の人だから天保銭はまだないわけで、噺がおかしくなってしまう」と注意したが演じること自体は許した。金馬はこの他にも実際にはおかしいという改作が幾つかあり、安藤鶴夫が認めなかった

        400字で分かる落語「池田屋」2-2

          400字で分かる落語「幾代餅」

          「い」の16:幾代餅(いくよもち) 【粗筋】 幾代太夫の絵姿で恋患いになった搗き米屋の奉公人・清蔵、親方に言われて三年みっちり働いて会いに行く。幾代から「今度いつ来てくん」なますと言われて、自分はしがない奉公人で、三年働かないと金が無いと自白する。心意気に打たれた幾代は、来年3月に年季(ねん)が明けたら女房にすることを約束させて送り出す。  ぽーっとした清蔵、店でも「来年の3月」とつぶやきながらニタニタしているので、「3月」と呼ばれて働いている。さあ、3月になって本当に幾代が

          400字で分かる落語「幾代餅」

          400字で分かる落語「生きている小平次」

          「い」の15:生きている小平次(いきているこへいじ) 【粗筋】 小平次の女房・おちかが太九郎といい仲になり、駆け落ちを相談。小平次は何度殺されても生き返って相手を追い詰めるという噂があると聞き、全身傷だらけなのを知っているおちかは怯える。確実に殺せばいいと、酔った小平次を二人がかりで押さえ付けて庖丁を何度も突き立ててもまだ抵抗する。喉を描き切ってやっと静かになって、二人は逃げ出す。翌朝、宿を出る二人の後を追うように、朝靄の中に現れたのは、笠で顔を隠しているが、喉から顎にかけて

          400字で分かる落語「生きている小平次」

          400字で分かる落語「生き馬の目」

          「い」の14:生き馬の目(いきうまのめ) 【粗筋】 江戸見物に出る田舎者、「江戸は恐ろしい、生き馬の目を抜くようなところだ」と教えられて、びくびくして出掛ける。知り合いの家を訪ねると、「これは珍客到来」と座敷に通されてご馳走すると言われるが、その立派な御膳にすっかり緊張。「まあ、そう固くならず、お吸い物からどうぞ」と、自慢の鯛の潮汁を勧める。こわごわ蓋を取ると、ひゃあっと悲鳴を上げて、「何もわしに生き馬の目を食わせなくても」 【成立】 本で見たが、もう演る人もないだろう。

          400字で分かる落語「生き馬の目」

          400字で分かる落語「イキイキため息」

          「い」の13:イキイキため息 【粗筋】 飲み屋でいつも見かける人、声を懸けると6時5分から45分間の時間指定で飲んでいると言う。イキイキした席が苦手でいつでも隅っこ。家でも会社でも同じで上司や同僚、女房の言う通りにしか動いていない。肴も自己主張の強い、魚の王様という目つき鯛や、皿からはみ出して格好つけている秋刀魚は嫌い。体から切り離されても寄り添って生きて行こうとするイカの足がいい。時間通りに店を出るが、家に帰ると家族とうまくいかず、いたたまれずにまた店に戻る。いつもの席に客

          400字で分かる落語「イキイキため息」

          400字で分かる落語「いかけ屋」

          「い」の12:いかけ屋(いかけや) 【粗筋】 出店の商売人を子供達がからかう。  いかけ屋を襲撃し、ませた口調で邪魔をして、起こした火を小便で消してしまう。  次の犠牲者は鰻屋。さんざんにやり込められた上、通り掛かりの男にもからかわれる。近所の人が、「あれは山伏らしいから、山伏なら山にいろ、お前は里伏だと言ってやれ」と知恵を付けられて、追い掛ける。 「お前は山伏やろ」 「何を言う。わしは山上詣りや」 「ああ、あんじょう(山上)お詣り」 【成立】 上方の噺で、桂春団治(1)の速

          400字で分かる落語「いかけ屋」

          400字で分かる落語「いが栗」

          「い」の11:いが栗(いがぐり) 【粗筋】 旅人が甲州山中で道に迷い、ぼろぼろの衣で髭ぼうぼう、いが栗頭の坊主が一心に祈っているのを見つけた。声を懸けるが無視され、君が悪いのでそこを離れる。暮方になって一軒のあばら家を見付けて宿を請うと、老婆が「夜中に怪しいことが起こるので人里離れて暮らしている」と言われる。夜中に娘がうなされるのをのぞくと、昼間の坊主が娘の枕元に坐っている。  翌日旅人は山道を引き返し、坊主に「お前のせいで娘は死んだぞ」と声を懸ける。坊主は「死にましたか」と

          400字で分かる落語「いが栗」

          400字で分かる落語「猪飼野」

          「い」の10:猪飼野(いかいの) 【粗筋】 毎夜夜鷹が現れるが、ただでやらせてくれ、相当の好きもの……噂を聞いて出掛けて行くと、暗がりに女がいて言葉も交わさずに始める。役人も噂を聞いて調べていて、隠れていた取り方が囲んで灯りを照らす。 「こんな所で何をしておる」「あ、怪しい者ではございません。これは私の女房で」 「何。女房ならなぜこんな所でしておるのだ」 「今照らされて、初めて女房と分かりました」 【成立】 題は大阪市生野区の地名。東京では秋葉原(あきばんはら)が舞台。春風亭

          400字で分かる落語「猪飼野」

          400字で分かる落語「家見舞い」

          「い」の9:家見舞い(いえみまい) 【粗筋】 兄貴の新築祝いに何か贈りたいが、二人そろって金がないの。道具屋でこれしか買えないと、取り壊した家から掘り出した肥瓶(こいがめ)を買い、洗って水瓶だと言って持って行く。兄貴が喜んでご馳走になるが、豆腐も古漬けも水を使うというので遠慮する。「じゃあ、海苔だ」「海苔なら水は使わないな」と食い始めるが、「炊き立ての飯……どこの水で炊きました」「お前らが持って来た瓶の水だ」 とうとう怪しまれ手水瓶の所へ行って汚さにびっくり。 「今度来るとき

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          400字で分かる落語「家の固め」

          「い」の8:家の固め(いえのかため) 【粗筋】 太田蜀山人に縁談が持ち上がるが、連れて来られた嫁は片方の目がない。仲人が、申し訳なさそうな顔をすると、蜀山人、少しも問題ないと歌を詠む。   みめよきはかえって家の不為なり女房は家の固めなりけり 【成立】 歌は「みめ(見目)」に「三目」、「不為(ふため)」に「二目」、「固め」に「片目」を掛ける。つまり数が減って行くのである。蜀山人が嫁を世話をするという形で聞いたことがある。蜀山人の小噺は多いが、これだけはタイトルが付いている。

          400字で分かる落語「家の固め」

          400字で分かる落語「家出娘」

          「い」の7:家出娘(いえでむすめ) 【粗筋】 家出娘をたぶらかして働かせようとするちんぴらやくざ二人組、それらしい娘を見付けて警察だと言って近づく。就職口を世話するからと、レストランで食事をおごって油断させようとする。 「じゃあ、ビーフシチュウ、マカロニグラタンに、ハンバーグシュテーキ」 「お嬢さん、我々の分はいらないよ」 「何言うてるだ、おら一人分だよ」  村ではテレビで情報を得て、ベストドレッシャーだった。テレビで刑事のドキュメンタリーをやっていたが、ちんぴらが刑事のふり

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          400字で分かる落語「いうにいわれぬ」:2

          「い」の6:いうにいわれぬ:全2回の2 【成立】 上方で大正時代の速記も残る。「亀の天上」とも。出だしから考えると、姦通や密通の噺の枕に使われた例があったものと思われる。噺の出典は不明だが、『今昔物語集』巻5-24には、亀がくわえた木の両側を鶴がくわえて飛んでくれる話がある。ものを言ってはならないと注意をされていたのに、亀は口を開いて落ちてしまう。 【蘊蓄】 鯉が滝登りで龍になるのは知っていたが、蛇は知らないので探してみると、一つだけ見付かった。  『耳袋』巻之2「蛇を養ひし

          400字で分かる落語「いうにいわれぬ」:2

          400字で分かる落語「いうにいわれぬ」:1

          「い」の6:いうにいわれぬ:全2回の1 【粗筋】 世の中にはいうにいわれぬことがあり、「町内で知らぬは亭主ばかりなり」……姦通事件でもうっかり口をすべらすと大変なことになる。言いたくても我慢をすることがあるようで……  昔は蛇が昇天するといい、天から迎えの雲が来る時に起こるのが竜巻だといわれた。ある大蛇が昇天することになったが、同じ池に住む亀が一緒に連れて行ってくれと言い出した。蛇の方では承知したが当日になるとすっかり忘れてしまい、竜巻が立つとソレッと迎えの雲に乗って、空高く

          400字で分かる落語「いうにいわれぬ」:1