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400字で分かる落語「いかけ屋」

「い」の12:いかけ屋(いかけや)
【粗筋】 出店の商売人を子供達がからかう。
 いかけ屋を襲撃し、ませた口調で邪魔をして、起こした火を小便で消してしまう。
 次の犠牲者は鰻屋。さんざんにやり込められた上、通り掛かりの男にもからかわれる。近所の人が、「あれは山伏らしいから、山伏なら山にいろ、お前は里伏だと言ってやれ」と知恵を付けられて、追い掛ける。
「お前は山伏やろ」
「何を言う。わしは山上詣りや」
「ああ、あんじょう(山上)お詣り」
【成立】 上方の噺で、桂春団治(1)の速記がある。桂文団治(4)は「静かにお詣り」とし、最近は「ごきげんようお詣り」。かなりきつい言葉で職業差別を理由に口演禁止になった。東京の桂小南(1)が昭和26年に文団治から教わってよく取り上げていた。小南は全体を柔らかくし、女の子が「大きくなったらお嫁さんになるの。私の選んだ人を見て下さい」と、当時の皇太子(平成天皇)の言葉を入れるなどして生き返らせた。後半はいかけ屋の一人語りで子供の悪戯を描いた録音があるが、寄席では鰻屋にも行っていた。
 いかけ屋は鍋釜の修理をする職業。私も東京で昭和40年頃まで流しで来ていたのを知っている。
  いかけ屋の声のよいのを女房呼び  柳多留

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