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400字で分かる落語:「荒茶」

97:荒茶(あらちゃ)
【粗筋】 関ヶ原の戦い直前、家康の家臣・本多正信が茶会を催し、豊臣方の7名が招待されるが、細川忠興しか茶の心得がないので、皆が細川の真似をすることにした。最後に茶碗を褒めて挨拶をする役を福島正則が引き受けるが、しんがりは人と違うことをすると余計なことを言われる。実直な加藤清正は何でも真似をし、みんながそれに続いて。福島だけが逆をやる。いよいよ茶を飲むと、清正の髭が茶につかり、皆飲んだ振りをして次へ回す。最後の福島、菓子をほおばって無理矢理飲み込むと、大声で笑い出す。人と違うことをするのだから、「おい、怒って笑っているのか」
「いや、おかしくって笑っている」
【成立】 講談の「福島正則荒茶の湯」を参考にした噺。春風亭勢朝、客員の笑福亭鶴光、弟子の学光などを聞いた。1773(安永2)年『坐笑譚』の「茶の湯」は、同じように回し飲みで最初の客が鼻水を垂らす。皆誤魔化すが、最後の一人は飲むしかなく、目をつぶって「南無阿弥陀仏」……講談に残っていて、今朝テレビを点けたら神田伯山が演っていた。

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