見出し画像

400字で分かる落語:「荒海や」

95:荒海や(あらうみや)
【粗筋】 俳句好きの隠居が、松尾芭蕉は預言者で、『奥の細道』は預言書だと言い出し、珍解釈を始める。
  蚤虱馬の尿する枕もと……太平洋戦争後の日本。
  雲の峰幾つ崩れて月の山……核戦争勃発。
  荒海や佐渡に横たふ天の川……日本沈没。
「この予言、本当に当たるんですか」
「さあ、当たるも発句、当たらぬも発句でございます」
【成立】 和田誠作、昭和53(1978)年に春風亭小朝が初演。落ちを「こうやって聞いていると、芭蕉の句はどこかピリッとしたところがありますね」「それもそのはず、サビが効いております」と変えて演じた。作者は不満だったが、小朝は「書いたものと、言葉で話す調子というものは違うので」と説得して渋々承知した。小朝はマクラで、「落ちは落語の命と申しますが、今日は命を捨てて取り組みます」と挨拶している。これは和田誠の本で読んだもので、本当に聞いたことは無い。正直、「当たるも発句」も悪くないような気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?