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400字で分かる落語:「ある交番」

107:ある交番(あるこうばん)
【粗筋】 交番に駆け込んで来た人。
「ここは交番ですか」「はいそうです」「あなたが交番ですか」「私は巡査です」「えっ、私ゃまた、お巡りさんだと思いました」
 道を聞くのに四苦八苦。送り出すと財布を落とした人が飛び込んで来る。どこを歩い板かと尋ねると、手にした財布の中から地図を出す。「それ財布です」「あ、本当だ。お巡りさんもそそっかしい」
 いろいろな人が来て応対していたが、最初の人が戻って来る。左右交互に曲がるのが不安で同じ方に曲がって一回りして来たのだ。
「しょうがないな。では送って行きますから」
 と高座から立ち上がり、案内しながら退場。
【成立】 柳家金語楼の創作落語。斬新な落ちだった。それまで「別荘が無いよ」と言って落ちにしていた「疝気の虫」で、探しながら退場するという演出がここから生まれたという。尚、噺の途中で立ち上がるのは「アドバルーン」でやっている。

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