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チーズを何かにたとえると

ワインの色と香りと味わいは、昔から表現が決まっています。
他の何かにたとえて表現します。

色は、植物や宝石などにたとえられます。
香りは、花や果実や香草や香辛料などにたとえられます。
味わいは、シルクやビロードなどにたとえられます。

それを手がかりにすると、ワインのコルクを開ける前から
どのようなワインか、おおよそ知ることができます。

こうした表現は、ワイン選びに欠かせません。
そのため、ワイン通は表現をよく知っています。

じつは、チーズも他の何かにたとえることがあります。

フランスの「コンテ」の香ばしい風味はナッツにたとえられます。
スイスの「ラクレット」のコクもナッツにたとえられます。

スイスの「エメンタール」の甘い香りはフルーツにたとえられます。
フランスの「サン・タンドレ」の風味はまるでバターのようです。

イタリアの「リコッタ」はお菓子のようなやや甘い風味があり、
「カッサータ」というシチリアのスイーツにたとえられます。

フランスの「ミモレット」はカラスミの風味があり、
日本酒に合うチーズとして知られています。

ちょっと変わったチーズがフランスの「ラングル」です。
色も味わいもウニそっくりです。

面白いことに、日本の食材にたとえられるチーズもあります。
イタリアの「スカモルツァ」は蒲鉾のような弾力を持っています。

フランスの「リヴァロ」の臭いは、沢庵漬けにたとえられます。
世界で最も強烈な臭いを持つチーズの一つです。

おそらくフランスの「クロタン・ド・シャヴィニョル」ほど、
意外なたとえられ方をするチーズはありません。

何と馬糞にたとえられるチーズです。
形状が似ているからです。

「クロタン」とはフランス語で馬糞の意味です。
「シャヴィニョル」は原産地の小さな村の名前です

直訳すれば、「シャヴィニョル村の馬糞」ですが、
実際は、お団子のように白く愛らしい形をしています。

山羊の乳から作られる白カビチーズです。
産地のロワール地方で愛されています。

それにしても、なぜ馬糞にたとえたのでしょうか。
たしかにわかりやすい表現ではありますが。

もしかしたら、あまりに美味しいチーズなので、
誰も食べないような名前にしたのかもしれません。


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