かのまた まさお

児童文学や食に関するエッセイを書いています。"Snails never hu…

かのまた まさお

児童文学や食に関するエッセイを書いています。"Snails never hurry home."(カタツムリは家路を急がない)を人生の教訓と考えています。なぜ家路を急がないかって。それは家を背負っているからです。

最近の記事

TKGとは何か

最近は日本各地で外国人観光客が増えています。 円安の影響なのかもしれません。 昔は身勝手な外国人観光客もいました。 自国の流儀を押し通す人もいました。 どこの国でも英語を話すのは当然とばかりに 無遠慮に英語で話しかける人もいました。 心なしか、今は謙虚な外国人観光客が多いと思います。 日本文化を尊重しているようにも感じられます。 日本を理解しようとする姿勢は好感が持てます。 ぜひ日本を楽しんで欲しいと思います。 外国人観光客の間では、今やTKGが人気だそうです。 T

    • ゆで卵はなぜおでこで割るのか

      ゆで卵は最も簡単な卵料理です。 手軽に美味しく食べられます。 家庭でも作ることができますが、 お店でも売られています。 じつは、ゆで卵売りの歴史はたいへん古く、 江戸時代にはすでに売られていました。 江戸時代は貨幣経済が発達しておかげで、 都市部で外食産業が盛んになりました。 とくに江戸は世界最大の人口を持つ大都市です。 屋台の店だけでなく、売り子も多くいました。 てんびんを担いで食品などを売り歩く売り子のことを 当時は「振り売り」と呼んでいました。 青果、海産物

      • 卵はなぜ常温で売られるのか

        鶏卵は賞味期限の定まった生鮮食品です。 産卵から約2週間とされています。 一個ずつ、期限を記したシールが貼られたり、 インクジェットで表面に印字されています。 期限内に消費することはもちろん大切ですが、 購入後すぐに冷蔵庫で保存する必要があります。 ところが、お店では卵が常温で売られています。 なぜ低温で販売しないのでしょうか。 卵の表面には、目に見えない小さな穴が無数に開いています。 その数は、卵一個につき、およそ数千から一万以上です。 これは「気孔」と呼ばれる穴

        • なぜイースターには卵なのか

          イースターは、キリスト教のお祭りです。 復活祭とも呼ばれます。 春分の後の最初の満月の次の日曜日と定められています。 日本ではちょうど春休みの時期に当たります。 イースターといえば彩色された卵がつきものです。 イースターエッグと呼ばれています。 赤い卵が基本ですが、最近は色とりどりに塗られます。 卵型のお菓子で代用することもあります。 なぜイースターには卵なのでしょうか。 その起源については諸説があります。 卵は動きませんが、そこから新しい生命が誕生します。 それが

          1000字で読む科学の話60「トビウオ」「紫外線」「大脳半球」

          第178話 「トビウオの話」  トビウオが飛ぶのはよく知られていますが、しかし、なぜ飛ぶのでしょうか。

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          1000字で読む科学の話60「トビウオ」「紫外線」「大脳半球…

          1000字で読む科学の話59「振り子」「トウモロコシ」「化石」

          第175話 「振り子の話」  天井の支点に吊るした糸におもりをつけた仕組みを「振り子」といいます。

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          1000字で読む科学の話59「振り子」「トウモロコシ」「化石…

          1000字で読む科学の話58「象牙」「電磁誘導」「土星」

          第172話 「象牙の話」  「象牙」とは、文字通りゾウの牙のことです。

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          1000字で読む科学の話58「象牙」「電磁誘導」「土星」

          1000字で読む科学の話57「天然痘」「ナトリウム」「琵琶湖」

          第169話 「天然痘の話」  天然痘は、恐ろしい感染症です。

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          チーズを何かにたとえると

          ワインの色と香りと味わいは、昔から表現が決まっています。 他の何かにたとえて表現します。 色は、植物や宝石などにたとえられます。 香りは、花や果実や香草や香辛料などにたとえられます。 味わいは、シルクやビロードなどにたとえられます。 それを手がかりにすると、ワインのコルクを開ける前から どのようなワインか、おおよそ知ることができます。 こうした表現は、ワイン選びに欠かせません。 そのため、ワイン通は表現をよく知っています。 じつは、チーズも他の何かにたとえることがあり

          チーズを何かにたとえると

          高原で熟成するチーズ

          イタリアに「ビット」というチーズがあります。 生産量が少なく、希少価値の高いチーズです。 ロンバルディア地方の渓谷で作られます。 スイスの国境に近い山岳地帯です。 原料は、この地方の伝統牛から得られる牛乳です。 搾乳される季節は限られています。 放牧は標高1,500メートル以上の高地で行われます。 高地の牧草が牛乳の質を左右するからです。 牧草を食べ尽くすと、さらに高いところに移動します。 標高2,500メートルの高地まで登ります。 高地の牧草によって深い味わいの牛

          高原で熟成するチーズ

          洞窟で熟成するチーズ

          食糧やワインの貯蔵庫のことをフランス語でカーヴといいます。 もともとは洞窟を意味する言葉です。 洞窟は光を遮り温度と湿度が一定なので貯蔵に適しています。 貯蔵だけでなく食品の熟成にも向いています フランスにロックフォールというチーズがあります。 ブルーチーズと呼ばれる青カビの代表的なチーズです。 フランス最古のチーズともいわれています。 フランスの南部にロックフォール・シュル・スールゾンという村があります。 その村のコンバルー山の洞窟でロックフォールは偶然に誕生しまし

          洞窟で熟成するチーズ

          銀行で熟成するチーズ

          「イタリアチーズの王様」と呼ばれるチーズがあります。 パルミジャーノ・レッジャーノです。 名前は、パルマおよびレッジョ・エミリアという地名に由来します。 エミリア・ロマーニャ州、ロンバルディア州で作られています。 イタリアにはDOPと呼ばれる原産地名称保護制度があります。 チーズやワインの伝統を守る厳しい基準が設けられています。 そのDOPの認定を受けて刻印を押されたチーズだけが、 パルミジャーノ・レッジャーノを名乗ることができます。 長期熟成させた濃厚な味わいが特徴

          銀行で熟成するチーズ

          引き千切られて作られるチーズ

          モッツァレラは不思議な食感を持ったチーズです。 初めて食べたときは、本当にチーズかと疑いました。 できたての寄せ豆腐のようでもあり、 つきたての餅のようでもあります。 一般の熟成チーズの過程を経ることはありません。 そのためフレッシュチーズに分類されます。 まったくクセがなく淡白な味わいが特徴です。 他のチーズのように塩気もありません。 ナポリを中心とするカンパニア地方特産のチーズです。 とくにナポリのピッツァには欠かせません。 水牛の乳から作られるので、まるで雪の

          引き千切られて作られるチーズ

          シェフの帽子はなぜ長いのか

          「レミーのおいしいレストラン」という映画があります。 ディズニーアニメーションの名作です。 主人公のレミーはネズミですが、料理の天才です。 パリのレストランで若い見習い料理人に出会います。 その若い見習い料理人はまったく料理ができません。 そこでレミーが彼のシェフ帽の中に隠れて彼を操作します。 そして次々と素晴らしい料理を作り出していきます。 レミーの料理を食べたお客さんは絶賛します。 お客さんは誰もレミーには気づいていません。 若い見習いが料理を作ったと思っています

          シェフの帽子はなぜ長いのか

          カキフライは日本生まれの洋食

          「和食」に対して「洋食」と呼ばれる料理があります。 その多くは、日本生まれの西洋風の料理を指します。 洋食のほとんどは、明治以降に考案されましたが、 カキフライもまた明治時代に生まれた洋食です。 カキに小麦粉、溶き卵、パン粉をまぶして高温の油で揚げます。 その料理法は、アジフライやエビフライと同じです。 アジやエビは、ほぼ一年中市場に出回っていますが、 カキの季節は限られます。 初冬から早春までがマガキの旬です。 ですから、カキフライは季節の料理です。 ところで、カ

          カキフライは日本生まれの洋食

          フランスに渡った日本の牡蠣

          生牡蠣はヨーロッパの人々に好まれていますが、 とくにフランスの人々に愛されています。 フランス料理のオードブルに生牡蠣は欠かせません。 そして生牡蠣にフランス産の白ワインは欠かせません。 フランスの牡蠣といえは「ブロン」という種類が有名です。 ブルターニュ地方特産の牡蠣です。 別名「ヨーロッパヒラガキ」とも呼ばれます。 丸く平らな形をしています。 かつてフランスで牡蠣といえば、このブロンを指しました。 しかし現在はそうではありません。 1970年代に寄生虫の発生によ

          フランスに渡った日本の牡蠣