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霜降り牛のヒミツ

今ではだいぶ主流になりましたが、私は結構昔からカロリー神話を疑っていました。

なぜならば、体が大きいことで代表的な動物、牛や象、パンダなどもみんな草食だからです。牛を例として、体重600~700kg。大体人間の10倍です。一日中食べているのかもしれないけれど・・・草だけで10倍の体重を維持できるほど(単純計算で人間の10倍のカロリー?)を食べているとは思えないですよね。

さて、牛が草ばかりであんなに大きな体をキープできる理由は何でしょうか?

実はその秘密は腸内環境にあります。牛は胃が四つある、などと言われますが特殊な消化器官を持っています。その腸内に住む細菌は牛が食べる草を発酵させ脂肪酸を作りだします。牛は草だけでなくその細菌が作り出した脂肪を吸収することでエネルギーを保っています。だから、草ばかり食べているのに、あんな霜降りに!

肉の脂ついでにお話しすると、高級食材として知られるイベリコ豚。その最古級の豚は何をエサにしているかご存じですか?

答えはどんぐりです。どんぐりの油が独特のイベリコ豚のうまみを増すそうです。

豚は雑食です。雑食動物の脂は草食動物と異なり食べたものが比較的そのまま身につくのでエサの味が食品としての豚の味に大きな影響を与えます。鶏の卵にオメガ3配合!などと書いてあるのを見たことがありませんか?あれは飼料にオメガ3を混ぜているため。ヒトも雑食ですよね。ヒトもまたオメガ3の油をたくさんとった女性からはオメガ3が含まれる母乳が出るという報告がされています(さらに、オメガ3の多い母乳で育った乳幼児はIQが高いそうです!)。

脂肪の生成は私たちは腸内細菌に頼っていませんが、別の部分ではやはり大きな影響を受けています。まず、種々のビタミンの生成。ビタミンの本来の定義は私たちの体が自ら作り出すことができず、食品からの摂取に依存する体に必要な補酵素(体内のエネルギー生産を助ける)です。が、食品から摂取しなくても欠乏症になりにくいビタミンもいくつかあります。例えば脂肪や脂質、糖質などのエネルギー代謝を主に助けるビタミンB群・・・これらの多くが食品のみではなく腸内細菌によって生成されるものに頼って私たちの体は成り立っています。また、脳や消化器の働きを調整するホルモンも腸内細菌によって作られます。

食べたものが私たちの体になる。それはある部分でもちろん正しいのですが、私たちの体はもう少し複雑で、体内に潜む同居人の働きは無視することはできません。漢方薬も体に直接、というより腸内細菌に働きかけるものも多くあります。また、腸内環境がいい人は漢方薬も効きが良いようです!


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