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中国の歴史・思想・文化

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中国の古代思想と伝統文化について、現職時に研究テーマとしていた論考や、授業で使った講義ノートなどをアレンジしてみました。
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記事一覧

「長恨歌」が語らない楊貴妃の話

楊貴妃と「長恨歌」中国の「四大美女」と言えば、 の4人とされています。 「世界三大美人…

泉聲悠韻
5日前
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「傾国の美女」西施~魚が溺れる美人

「沈魚美人」西施は、春秋時代末期(紀元前5世紀頃)の越の人です。 生まれた村に「施」とい…

泉聲悠韻
9日前
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中国古典インターネット講義【第16回】『十八史略』『蒙求』~初学者のための歴史教材

前回は、『史記』と『資治通鑑』についてお話ししました。 今回は、『十八史略』と『蒙求』で…

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泉聲悠韻
12日前
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始皇帝と仙薬~飽くなき「不老長生」の妄執

天下統一を果たし、この世で欲しい物は全て手に入れた始皇帝が次に求めたものは「不老長生」で…

泉聲悠韻
2週間前
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中国古典インターネット講義【第15回】『史記』『資治通鑑』~中国史書の「体質」

これから2回に分けて、中国の歴史書についてお話しします。 今回は『史記』と『資治通鑑』、…

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泉聲悠韻
2週間前
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毒を仰いだ韓非~天下統一、影の立て役者

韓非は、戦国時代末期、韓の王族に生まれた。 尊称で「韓非子」とも呼ばれる。 法家思想の第…

泉聲悠韻
4週間前
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恐るべし、元祖教育ママ~孟子の母親の話

孟子は、理屈っぽい。 諸子百家の時代、弁舌で身を立てるのだから、当然と言えば当然だが、 孟子の理屈っぽさは、筋金入りだ。 『論語』を見る限り、孔子は体系的にものを考える人ではなかったようだ。 それに比べると、孟子のものの考え方は、すこぶる理路整然としている。 気分屋の孔子がアドリブで喋ったバラバラの話をちゃんとまとめている。 孟子の弁舌は、説得力があるのだが、よくよく見ると、実は詭弁に近い。 「仁・義・礼・智」の端緒を説いた「四端説」がいい例だ。 論拠を挙げてきちん

【荘子】「盆を鼓して歌う」~荘周、妻を亡くして哭せず

荘子は、名は周、戦国時代の人。 老子の思想を継承する道家の思想家である。 『荘子』の「至…

泉聲悠韻
3か月前
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「春聯」~春節の伝統的風物詩(其二)

前回は、春節(旧正月)の伝統的風物詩として「年画」を集めました。 今回は、「春聯(しゅん…

泉聲悠韻
3か月前
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「年画」~春節の伝統的風物詩(其一)

春節(旧正月)、今年は2月10日、もうすぐです。 中国ではすでに春節の大移動が始まっていま…

泉聲悠韻
3か月前
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【中国語】アニメで楽しむ「桃花源記」

中国古代、東晋の陶淵明に「桃花源記」という文章があります。 「桃花源記」は、漢文教材にも…

泉聲悠韻
3か月前
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『楚辞』「漁父」~莞爾として笑い、枻を鼓して去る

中国の戦国時代後期、西暦では紀元前4世紀から3世紀頃、南方の楚の国に『楚辞』という韻文の…

泉聲悠韻
3か月前
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中国の漢字にまつわる吉祥と禁忌

どこの文化にもタブーがある。 うっかり犯すと、恥をかいたり、顰蹙を買ったり、 運が悪い…

泉聲悠韻
5か月前
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『覇王別姫』~歴史、京劇、小説、そして映画『さらば、わが愛』

『覇王別姫』は、「覇王」項羽が「姫」虞美人に今生の別れを告げる物語である。  もとは『史記』「項羽本紀」に見える項羽の最期を伝える歴史故事であるが、後にこれが潤色されて、京劇、小説、映画など、さまざまなジャンルで語り継がれていく。 『史記』「項羽本紀」 『史記』「項羽本紀」は、楚の武将項籍(字は羽)の伝記である。  時は秦末、都咸陽が陥落すると、再び世が乱れ、諸侯が並び立つ。  当初は、項羽が自ら「西楚の覇王」と号し、実権を握っていたが、徐々に勢力を増した漢王劉邦がこ