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投資は向き不向きがある

最近の私の記事は、警笛記事が多くなってしまっていて、読んでくださっている方々を幸せな気分にできていないのが心苦しいのですが、最近のメディアやそれを見た方々の論調があまりにもリアルとかけ離れた空論となっていますので、今回は長い投資経験をもとにした、投資のリアルをお伝えしようと思います。

最近、新NISAをやるべきと言う声と、やらないべきという声の両方を見かけます。
正確には、やるべきという人が大多数なので、やらないべきという声があがると、それをみんなで袋叩きにするという構図になってることが多いです。

このような構図になってしまうのは、理由があります。
ひとつは、やらないべきという主張の論拠が弱いので、論破しやすいことです。

やらないべきという主張のほとんどは、リーマンショックやコロナショックでの暴落を理由に、今後も上がり続けていく保証がないという論調です。

それに対して、やるべき派が、過去のデータからどの時点で始めていても一定の利益が出ているはずだとか、暴落時に手放さなければ最終的には利益が出ているといった定型文のような反論で簡単に論破してしまえる環境です。

主張が「正しいか」「正しくないか」だと、やるべき派の主張は正しいのが現実です。
今のところは。

当然です。
誰もわからない未来をベースで話しているやらないべき派に対して、やるべき派は過去をベースに話しているのです。
データも何も無い未来の話なら何でもありなので、説得力に欠けます。
なので、一見やるべき派が有利に見えてしまいます。

しかし、これは実はどちらも空論しか話していないのです。

やらないべき派の話が空論なのは当然ですね。やってないわけですので。

問題は、やるべき派の主張も、現実の経験をもとにして話してはいないという点です。

事実、リーマンショックやコロナショックで手放さなければその後利益に転じているから大丈夫だと話している人達も、それらのショック時には実際に投資はしておらず、自分では暴落を経験していないのに、その後の「答え」が見えている今だから振り返ることが出来る結果論でしか話していないのです。

実際に金融危機などで大暴落している時に、結局はプラスになるのが長期投資だから大丈夫と主張しているわけではなく、すべて終わってから始めた人間が歴史上最高値を更新している1番儲かりやすくてノーストレスである今の環境に身を置きながら、自分が体験していない過去の話をしているだけだということです。

なので、この主張には経験が伴っておらず、リアルが何も伝わってきません。

では、リアルに経験した人間が話すと、どのように違うのか?

投資は、「最終的に利益になること」と「その過程でのストレス」は完全に別問題であるという要素が含まれてきます。

最後に利益になったとしても、大暴落で味わうストレスもまた現実なのです。
そしてそのストレス下では、未来ではプラスになるかどうかは分かりません。

暴落時に、いずれ上がると虚勢をはっていても、「では過去の時点に戻れて、投資してない事にできるとしたら、そうするか?」という選択肢が現れたら、みんなそうすると言います。
つまり、暴落時には、少なくともその時点ではみんな投資したことを後悔するということです。
それほどのストレスを受けるという意味です。

これは投資だけに限った話ではありません。

過去の辛い出来事は、そのあと楽しいことがあれば無かったことになるかというと、そんな事はありません。
人間である以上、その時点での体験は本物であり、感じたストレスも本物であり、受けたダメージも本物であり、なかったことにはならないのです。

そして、それは病気も同じです。

ストレスはあらゆる病気の原因になります。

当たり前ですが、暴落などの大きなストレスで病気になった場合、その後利益に転じても病気まで良くなることもあり得ません。

リーマンショックで自殺した投資家が大勢います。
それだけ大きなストレスだということです。
そして、歴史的な株高の今、あの時命を絶った人は誰一人戻ってきてません。
実際の経験では、その後どうなろうと、その時の「今」は現実で、そこで発生するあらゆる苦しみもまた現実なのです。

なので、それを体験する覚悟がある人にとっては「やったほうがいい」が正解となりますし、そんなストレスは体験したくない人にとっては、「やらないほうがいい」が正解になります。

このように、投資は、人生で必須なものではありません。
やるかやらないか、選択肢が存在して良いのです。

自分の人生にとってプラスになると思えばやって良いですし、金儲けより心の平穏の方が人生という長い目で見て遥かに有益であると感じる場合にはやらなくて良いのです。

これが、空論ではなく現実を踏まえた結論であると私は考えています。

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