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中学校の同級生に25年越しにお礼を言われた話~時効になったカンニング?~

カンニングは倫理的には決して良くないが、25年経ち面白い情報になって舞い戻ってきたので、話として書いてみた。2年ほど前の話か、弟と会って話しているときに突然、「姉ちゃんの中学の同級生の○○君て覚えてる?」と聞かれた。私は覚えていると答えた。すると弟はこう言った。「この前仕事中、”君もしかして玲の弟?”って声かけられて、”いやー、君のお姉さんにはお世話になってね~、おかげさまでひとつ上の高校に入れたんだよー。”って言われたんだよ。」

弟は地元の県で大工をしている。家の施工にあたり、後半になると様々な業者が出入りする。その中の水道工事の業者さんが、私の中学校の同級生だったらしい。

私は弟の話を聞いてすぐに思い出した。その彼は、小柄でチョコチョコと落ち着きがない感じの、野球部の可愛い男の子だった。中学3年のある定期試験の日、「お前、テスト全部解いてからでいいから、机の端に寄せておいてくれない?」と、彼に言われた。私は当時の田舎の中学校で、おそらくテストの点だけで言えば、3年間総合でトップだったと思う。田舎の村だったし、教科書に載っている事だけやっていれば点が取れる環境だった。今の娘達の学校の様子を聞く限り、街の学校では私なんて凡人だったと思う。

そういうわけで、そのとき通路を挟んで私の斜め後ろの席だった彼は、いわゆるカンニングをさせてくれという相談を堂々としてきたのだ。そして、別に”正義感が強い優等生”ではなかった私は、「わかった、いいよ。」と承諾した。しかしこのシーンを今でも覚えているという事は、当時の私も"ちょっとヤバい事だな"と思ったのだろう・・。そして試験が始まり、いつものように自分のペースで問題を解き、いつもと違うのは左側に寄せて見直しをすることだけだった。見回っている教師にも指摘されることなく、その定期試験は終わった。

定期試験の結果について彼からの報告はなかったが、彼が友達としゃべっている中で、「いつもより取れた」みたいな言葉が聞こえたのを覚えている。

そして今回、弟の話を聞いて納得した。つまり、その3年生の定期試験は彼の成績において重要は位置にあったのだ。おそらく内申点の都合があったのだろう。そして見事にカンニングをやってのけた。

私は、これは誰のおかげでもなく、彼の実力だと思った。しかも私の弟にそういう風に話すという事は、今までわりと彼にとって良い人生だったのかもしれない。そう思うと嬉しかった。

私の弟は趣味でサックスを吹き、度々ライブをしている。弟が続けて話した。「それから彼は俺のライブの度に何人か引き連れて来てくれるんだよね。それは良いんだけど、打ち上げで毎回酔っぱらってさ、可愛い年下の奥さんが迎えに来てくれて、最後に車の中に彼を放り込むのが俺たちの仕事なんだよ。」・・何かすごく彼っぽい感じだなと思って笑ってしまった。

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