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コワーキング運営に役立つおすすめ本5冊+おまけ

「コワーキングフォーラム関西2022in大阪」で、コワーキング運営に関わる推薦図書を出しといてね、と言われてたのにコロッと忘れてたので、今更ですが、こっちに上げておきます。

たぶん、ハウトゥ本を期待されていたかもしれませんが、ことコワーキングに関しては実践が最大のテキストなので、その前段階である「モノの考え方」で参考になる本を紹介しておきます。

なお、ぼくは常時、10数冊を並行して同時に読む人なので、読了していないものも一部含みます。以前、このことを弁解するのに以下のように書きました。

ちなみにこの並行読みというのは、いつからそんなコトを始めたのかシカと覚えていませんが、ある一冊を読んでいて、「あ、そういえば」と別の本にあたり、「待てよ、そっちは」と、興味の趣くままどんどん数珠つながりになっていくうちに(これを脈絡のある本を複数読むという意味で「横読み」と言うことに、今決めました)、そのテーマの深掘りだけではなく、他の領域とのつながりや組み合わせを自分流に作れたりします。

「横読み」、オススメです。

ということで、以下、順不同です。書かれた年代もバラバラです。が、まずはこれをオススメしておきます。

原著は確か2001年。日本版の初版が出たのが2004年で、ぼくはその旧版を2008年に読みました。衝撃でした。念のため申し添えておくと
カフーツ開業の2年前です。

「高度成長期に王道とされた「大企業に所属する」という働き方を捨て、組織に頼ることなく、自分の知恵を頼りに独立して働く“フリーエージェント"が増えている実態を明らかにした社会論」とちきりんさんも書いてますが、今読んでもまったく色あせていません、どころか、ますますここで論じられている社会に変容しつつあることが判ります。

フリーエージェントとは、フリーランサーと言い換えてもいいかもしれませんが、もっと独立性の高い空気をまとい、「仕事は選ぶ」という主義の人という印象をぼくは持っています。し、そうでありたいと思っています。そして、コワーキングはそうしたワーカーがコミュニテイを組成するプラットフォームです。

興味深いのは、この本の中にコワーキングと似た共同体の事が出てきますが、「コワーキング(スペース)」とは言っていません。そりゃそうです。Brad Neuberg氏がサンフランシスコでCoworkingをスタートしたのが2005年8月9日ですから、そのずっと前に出版されたこの本に出てくるはずはないのです。それでも、その概念はすでにあったということ、そのことに注目しておきたいと思います。

もうひとつ、今読んでも色あせていないということは、意外と「働き方」の進化は時間がかかっている、ということでもあります。

これとテーマ性が似ているのがこれです。

これも古い。2013年刊。でも、そのメッセージは強力。

現在の日本はかつてなく「仲間づくり」(チームアプローチ)が重要な時代となっている、とした上で、こう檄を飛ばす。

・コモディティ化がすすむ普通の個人が個人の力だけで立ち向かうのは無謀すぎる。弱者こそチームの力を利用せよ。
・パラダイム・シフト、社会の変革は、世代交代によって起こる。したがって、今こそ若者のゲリラチームが重要。
・あらゆる投資の本質は、人への投資であり、チームメンバーだけが究極の差別化。弱いもの、非エスタブリッシュメント、コミュ障こそチームを作れ。
・圧倒的な成果がひとりの天才によってなされたと考えるのは後世の人が作った幻想。実際にはチームの力であり、『七人の侍』はその内容も成り立ちもチームの重要性を象徴している。

そこで、抜きん出たチームには共通の特徴があるとして、以下を上げています。

1.少人数である
2.メンバーが互いに補完的なスキルを有する
3.共通の目的とその達成に責任を持つ
4.問題解決のためのアプローチの方法を共有している
5.メンバーの相互責任がある

これらはコワーキングが人と人をつないでコトを起こし成果を上げるスキームであるとするなら(そうなんですけど)、ワーカーのみならずコワーキング運営者もよーく心得ておくべきことと思います。2019年に著者が早逝したのがかえすがえすも残念。

次は、あんまり紹介しないハウトゥの部類のもの、ですが、本質は突いています。

「婚活パーティー、音楽イベント、仲良しグループの集まりなどなど、どんな集まりでもよりよいものにできるノウハウ」が紹介されているけれども、多くの事例で方法を語らせることで読み手のイマジネーションを惹起する書き方が上手いです。つまり、読みやすい。

特に目を引いたのは「あえて門戸を閉ざす」、誰を招くか、逆に呼ばないか、の項。

コワーキングも広く門戸を広げてどなたでも使える、というのがデフォルトになっていますが、そうしながらも個々のカルチャーを守らないと既存のワーカーの支持を得られなくなります。この塩梅が非常に難しいけれども、経験でカバーしながら、独自の作法を築き上げるしかないのも事実。大変ですが、やれないことはありません。

この11月から全8回で開講した「コワーキングマネージャー養成講座@オンライン」でも紹介したのがこれ。

これもハウトゥに属しますが、物語仕立てになっていて、とても判りやすい。

「コミュニティ・オーガナイジングとは、仲間を集め、その輪を広げ、多くの人々が共に行動することで社会変化を起こすこと」とし、ではそれにどうやって取り組むかを順を追ってレクチャーしてくれます。

講座でも取り上げたのは「パブリックナラティブ」の重要性。コミュニケーションありきのコワーキングにおいて、コワーキングマネージャーの「傾聴」はとても大切な行為だと考えていますが、その前提として、マネージャー自身も「私のストーリー」を語る、つまり「パブリックナラティブ」が不可欠です。

そこから共感を呼び、仲間ができ、チームができて、課題解決の役割分担ができる。まさに先の『君に友だちはいらない』に通底するところでもあります。

次は『ライフシフト』で一世を風靡したリンダ・グラットン氏の新著。

ここでは、明確にコロナ禍以降の世界を見据えた論が繰り広げられます。基本的に企業(に勤める従業員)を対象にしている書きぶりですが、冒頭のフリーエージェントなしには機能しない社会になっていることを踏まえて読めば、得るところが多々あります。

これも先述の「コワーキングマネージャー養成講座@オンライン」で資料に使いましたが、とりわけ「強い紐帯、弱い紐帯」の項は、コミュニティの構築を重要な仕事とするコワーキング関係者なら重々承知しておくべきことだと思います。

※おまけ

最後に、2014年刊の『コワーキングマガジンVOL.1』をあげておきます。

日本のコワーキング黎明期に、全国各地の20以上のコワーキングを訪ねて取材し制作したムック本です。8年が経過して、ようやく残部5冊と相成りました。これまた、今読んでも参考になる知見が満載です(自分で言うのもナンですが)。増刷する予定はいまのところありませんので、気になる方はお早めにAmazonへ。

今回、取り上げた本にいずれも共通するのは「チーム」という概念です。人はひとりでは何もなし得ません。それを「仲間」を募って解決していく。それこそが、我々が人間として生きている意味です。コワーキングはそこを相互補完して前に進めるエンジンです。その意識を以ってコワーキングの運営に勤しみたいものです。

以上、駆け足ですみませんが、オススメ本を紹介しておきます。

それでは。

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