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#寄せ文庫 異世界への扉

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思考・感情もろとも、ぐぅわんと、持って行かれる。超短編1058文字。


「短くて」「不思議で」「印象的な結末がある」それが「ショートショート」の定義。

「不思議」「時空の歪み」がするりと入ってくるには、そもそも文章に違和感がないのが絶対条件だ。下手にひっかかると異世界に飛べない。

作品を改めて読み返すとその洗練度合が迫ってくる。


「ん?」と思わせるタイトル。
「猫が詰まった雨どい」だと、雨どいが主題だし、先に「詰まった雨どい」を説明して、体言止めに、猫。
でも、本当の主人公って誰なんだろう。おばあさん?いや、キジトラもトタン屋根も「僕」も脇役で「山あい」の集落それ自体が主人公か。心霊スポットの類い?「この辺」の住民は、雨どいに詰まる猫を縁起もの扱いしたりするらしいが、説明を求めるとするりと身をかわされる「私、猫じゃないから」「なんでだかは知らない、けど言う人はいるわね」挙句の果てには出かけてしまって、その後全く音沙汰がない。ホラーだったのか、キツネにつままれたのか…

ラストたったの一行でちゃぶ台返してさようなら。もしや…夢?




名人芸の余韻たるや。
読後感はあくまでもふぅわり、チェシャ猫の手触り、幻の笑み。


(500文字)

慢性「ツイートって何書いていいのかわかりません」症候群の自分が、ついやってしまうくらいには印象的だった。投稿時点で「11スキ」の「埋もれた名作」。ちょっぴり自分だけのものにしておきたい気持ちを抑えつつ、是非読んで下さいませ。



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