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知るも知らぬも大阪の文フリ

 こんにちは、橘です。いつも文フリの振り返り記事が開催から間が空いてしまっているので、今回は滞在先のホテルでこの文章を書いています。まあ、どうせ仕上げは家に帰ってからになると思いますが(追記、帰りの夜行バス待ちのマックでも書いています。wifi・電源完備ってすごいですね)(さらに追記、結局更新が1週間後になってしまいました)。


 先日、天満橋OMMビルにて「文学フリマ大阪11」が賑々しく開催されました。運営によれば来場者数は4282人で、過去最高となったそうです。

 東京生まれ東京育ち悪そうなやつと大抵距離を取ってきた私ですが、東京以外の都市開催の文フリも見てみたいと思い、今回大阪までやってまいりました。

会場のOMMビル


文フリで買った本

 今までの文学フリマの参加実績は、東京に一般参加者・出店者としてそれぞれ2回ずつだけなので、全体で見ればかなり初心者の部類の人間です。まだまだ手探りな状態で文フリに関わっているので、今回の振り返り記事はあくまで参考程度にお考えください。

(さらに参考までに今までの文フリ振り返り記事です)

↓東京35(22年11月)↓

↓東京36(23年5月)↓


デザインに関する考え

カタログについて

 今回は事前にカタログを読んでおく時間がなく、当日急いでざっと目を通しただけでした(カタログを一切見ず、会場での偶然の出逢いを楽しむ人もいるのでしょうが、自分の性には合わないのでやめました)。

 自分は速読できない人間なので、斜め読みと言ってもほとんど表紙の画像に目を通す程度で、時折気になる説明文に気づけばそれも読むといった感じでした。つまり、「カタログは書影を挙げていないと目に止まりにくい」のです。

 書影を中心にカタログを見るのは、私のような時間がない人の稀なケースかもしれません。が、「事前にカタログを見ておくと当日見て回るのが楽」とはいえ、あらかじめ端から端まで丁寧にカタログに目を通す人もまた稀有な気がしていて、やはり、効率化のために書影をアップロードしているサークルを中心に目を通す人もそれなりにいるのではないかとも思っています。

 時々、書影どころか本の詳しい説明すらなく、ただサークル紹介欄に一言二言のみ書いてある団体もあります。売上を度外視して気ままにやりたい人はそれで全然構わないでしょうが、多少なりとも売上を気にする方は、カタログは書影含めてしっかり力を入れるべきだと思いました。


表紙について

 さらに書影でいえば、自分はスマホでカタログを読んだのですが、スマホだと書影がかなり小さく表示されるので、ぱっと見でどういう本なのかが判断できる表紙の視認性の高さも求めれる気がしました。

 デザインはからっきし駄目な私ですが、なんとなく「タイトルか、イラスト/写真のどちらかが主役になっている」とわかりやすい表紙なのかなと思っています。つまり、

  • 「文字ばっかりで何がタイトルで何がサークル名で、何が著者名かわからない」

  • 「タイトルの文字が小さい/色が薄くて見えにくい」

  • 「イラストがなく、文字だけでチープに見える」

  • 「イラスト/写真の構成要素がゴチャついていて何を表しているかわかりにくい」

  • イラストのみで、文字による補足情報がない

みたいなデザインだと、ぱっと見で内容が伝わりにくいのかなと思いました。また、「どちらかが主役」ということは、もう一方はサブの役割を果たしているということです。どちらか一方しかない(イラストのみ、文字のみ)ようなものでなく、この2つのバランスを上手く取ることが、「いいデザインの表紙」に繋がるのかなと考えています。


フォントについて

 表紙のタイトルや著者名に使われる文字について、「デフォルトのフォントを使っていると安っぽく見えてしまうのでは」と今回見て回って感じました。

 皆さんにはそれぞれ普段使いの文章ソフトがあると思います。自分はwordで作品を書いていて、デフォルトのフォントは「游明朝体」です。これもシンプルで悪くないと思いますし、本文に用いる分には何ら問題ないと思います。

 ただ、表紙という「大きく文字が表記されている」ところにデフォルトのフォントがあると、少し物足りない感じというかチープな印象がしてしまうのです。

 もちろんいきなりPhotoshopやIllustratorを使えという話ではありません。自分もそういったソフトは全然使えませんし、さらに言えば実際の自分の作品も有料のフォントは使用していません。

 ただ、無料ソフトでもフリーフォントでもいいから、デフォルトのままでないものを利用することで仕上がりが大幅に向上するのだろうと思っています。

 お金をかければそれだけいいとまでは言いませんが、今の時代様々なサービスがありふれる世の中です。AI生成の技術やサービスもどんどん展開されています。

 wordのようなシンプルなアプリで、書いてそのまま出版する、というのではもったいない気がします。もっと貪欲に色々なサービスを活用する姿勢がよりよい作品づくりに繋がるのだろうと考えています。

 以上、分かっている人からしたら当たり前かもしれない表紙のデザイン性について、あれこれ考えてきました。今回は完全に一読者として参加したことで俯瞰してこうしたことを考えることができましたが、いざ自分がやろうとしたら、きっと何もできないだろうなという気がしています。

 岡目八目、言うは易く行うは難し、頭の中では分かっていても中々実現することは簡単ではありません。とにかく色んな作品に触れ、あるいは色んな作品を作り出そうと四苦八苦する中で、少しずつ理解できていくことなのでしょう。

ブースに関する考え

売り子について

 今まで話してきたカタログや表紙のデザインなどは、イベントの前までにやっておくことでしたが、イベント当日にしかないもの、すなわちブースについても考えたことがあります。

 まず、ブースという空間において、最も面積(体積)率を占めているのは言うまでもなく販売している本なわけですが、同じくらい占めているのが売り子の存在です。

 つまり、ブースに立っている人がどういう人なのか、どういうセールスをしているのかがかなり購買に影響を与えているのだろうと感じました。ただ、正直自分は話しかけられるのが苦手なタイプの人間なので、売り子による声掛けが有効な手段であるかはわかりません。

 少なくとも、声掛けしないにしても椅子に座っているよりかは立っている人の方がなんとなく印象は良かった気がします。見て回っている人と視線の高さが一緒になることで、より印象に残りやすくなるのかもしれません。

 また、見本を読んでいる時に内容を色々と説明されると(≒ぐいぐいと来られると)、自分のような人間は萎縮してしまうので、詳しい本の内容を説明するのは「誰彼構わず」ではなく、興味を持ってくれていそうな人に限った方がいいのかなとも思いました。

 あるいは道行く人や立ち読み客には、端的なコンセプトやキャッチフレーズだけを話して、相手からの興味や質問を誘うのも一手かもしれません。そうなってくると、今度は優秀なコピーライト能力が問われることになってきます。

 先ほどの表紙のデザインもそうですが、ブースを構えて自分の作品を販売する以上、「作品を作り上げるのと同じくらい作品を売り込む能力」が求められているのだと痛感しました(というより作品を作り上げる能力の中に売り込む能力が内包されている?)。

 作品と違って、売り込む工夫は真似してなんぼだと思うで、どんどん色んな人の売り方を参考に取り入れていくといいでしょう。こんな当たり前に近い内容をだらだら話す記事よりももっと有用な記事がnoteにはたくさんあがっていますから、ぜひともそちらを参考にしていただきたいと思います。

見本誌について

 ブースとは別に、当日しかないものがもう1つあります。それは、見本誌コーナーです。個々のブースでも見本誌は置いてあると思いますが、なかなか作者(あるいは売り子)の前でじっくり読むことができない人もいるでしょうから、見本誌コーナーはありがたい存在です。

 見本誌コーナーは当然ながら、見本誌しか置けないので情報は「表紙」とそれに貼ってある「ラベル」に限られます。

拙著の見本誌(文庫サイズ)。左下にラベルが貼ってある。

 写真の通り、ラベルはかなり小さいのものなので特に「値段」と「ジャンル」はわかりやすく太字にするなどの工夫をすればいいなと思いました(これは自戒をこめて)。

 また、自ブースでの見本誌には「見本」と記載してあるとより手に取りやすいのかなと思いました。

 そりゃあ、置き方を見ればすぐにこれが見本なのだと分かるわけですが、文字情報で「見本」とか「ご自由にどうぞ」と書いてあると、心置きなく手に取ることができるので、そういった細かいところにも心配りがあると良いなと思います(これはmustというよりプラスアルファのアイディア)。

 自分が出店した際も、「立ち読み大歓迎」という札を付けたら足を止めて見本を読んでくれる方が増えた感覚があります。やはり人は視覚情報に左右されやすいものなので、はっきりとアナウンスしてくれるとありがたいです。


 以上、一般参加者としての感想というより、「自分が出店するとしたら気をつけたいところ」という目線での振り返りになりました。

 今回の文フリで一番強く感じたことは、「一般参加者として回るよりも、出店者としてその場にいる方が何倍も楽しい」ということでした。もちろん様々な方の素敵な作品に触れて、会場の独特の雰囲気を存分に感じ、刺激を得るのも文フリの大きな魅力の一つです。

 しかし、それ以上に自分の作品を作り上げたい、自分の作品を売り込みたいと、内なる情熱が燃え上がるのを感じました。現状構想を練っている作品がいくつもありますし、やってみたい企画もたくさんあります。

 ただ、修士論文の執筆がいよいよ本格化、というかもっと集中して取り組まないと卒業もままならない事態に陥りかねない状況になってきました。

 合間をみてnoteの更新や作品の執筆に取り組みたいと思っていますが、果たしてどれだけできるか全くの未知数です。

 とりあえず現時点での目標は来年5月の文フリ東京での出店です。それまでしばし更新が途絶えるかもしれませんが、その時まで気長にお待ちいただけると幸いです。

 それでは、今日はこのあたりで。さようなら。

【今日のタイトル元ネタ】
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
(後撰和歌集・雑歌一・蝉丸・1089)
百人一首でも有名な蝉丸の和歌。一度は訪れたいと思っているが、わりとアクセスが悪いのでまだ行けていない。



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