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言っちゃうと「うまみ・塩・油」なんですけどね

料理を一生懸命作っても、外で食べるごはんや、買ってきたものにかなわない、という人がいます。それ、料理の腕だけではないのです。今回は味つけの話をします。

外ごはんと家のごはんとの大きな違いは「うまみ、塩、油の量」。外のごはんはこの3つがかなり多めです。要するにだしがきちんと使われていて、塩分が強くて、油っこい。どれかが突出している場合もあれば、カレーや背脂いっぱいのラーメンのように、すべてが段違いに多い場合もあります。裏を返せば、外ごはん家ごはんにかかわらず、料理にこの3つを多めに入れると「強い」うまさが出ます。

こうした要素をおいしく感じるのは、おそらく人間にとって命に直結するものだから、と以前、聞いたことがあります。アミノ酸、塩分、油脂(エネルギー)ですね。

とはいえ、からあげやラーメンを欲望のままに摂取すると過剰になるのは当然。外ごはんやお惣菜は商売ですから、やさしい味と思う料理でも、案外油は多かったりします。フレンチのソースなんて見たら卒倒するぐらいのバターの量が入りますし、パスタも家で作る倍ぐらいオイルが入っているはずです。どれも最初の一口で「うっま!」と感じさせる味にしているのです。

もっと言ってしまうと、料理本や料理ブログが提案する料理にも、そういう側面が多分にあります。外食の味に慣れた人たちに受け入れやすいレシピを考えたら、しっかりした味になっていくのは仕方がないことなんです。

けどね。

本来、家のごはんは、外ごはんとは違うもの。日々作る人は、特にお子さんがいたりすると、健康や栄養のことも気になるのではないでしょうか。塩や油をもうちょっと入れたらおいしくなるけれど、体に悪そうだからこのへんで、と手を止めたり。
そんな心づかいを知らない家族から「なんだかちょっと薄いね」なんて心無いことを言われることはままあるわけですが、そもそも純粋にグルメ的な「うまさ」を追求する料理とは目的が全く違うのですから、的外れな指摘ですよね。

健康なんてどうでもいいんだ、好きなものを食べさせろという人もいるでしょう。ただ、家族の健康も思いやりつつごはんを作っている人が多いということは、もうちょっと理解されてもいいんじゃないかなとよく思います。
それは作っている人自身にもいえること。好き嫌いばかりの子供に野菜をなんとか食べさせたいから献立に悩むわけで、何も考えていなかったら悩んだりしません。結果として子供が食べてくれなかったとしても、その悩みや労力そのものはとても価値あることだと、自分自身をほめてほしい。

それに、味覚って強さだけじゃなく、もっと細やかなものです。そういうおいしさを感じて作り出そうとしている人は、おいしさがうまく家族と共感できなくて悩むこともあります。とらわれすぎ、悩みすぎはよくないけれど、それは価値がないという意味ではないかなと。

と、いうことで「塩、油、うまみ」はひとつの正解であることは認めつつ、私自身はそこに過剰に頼りすぎない、それでいて体にもやさしい、おいしい料理をめざしていきたいです。

【台湾の塩なしスープ、麻油鶏(まーよーじー)】
材料(2人分)鶏の手羽元300g しょうが50g 日本酒 180mL
水 300mL ごま油 大さじ2 

1鍋にごま油大さじ1を入れ、薄切りしたしょうがを色づくまで中火で炒める。しょうがを一度別の器に取り出し、残りのごま油を足して鶏を焼く。
2 鶏に焦げ目がついたらしょうがを鍋に戻し、水と酒を加えて15分ほど煮込む。塩は好き好きでかけてもOK。

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。