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分離から統合へ -「人類の目覚め」を紐解く二つの異なる切り口

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

まえがき

天外伺朗
いま、人類の意識が「分離」の状態から「統合」に向かって大きく変容しつつある、ということは、一度くらいはあなたも耳にしたことがあるのではないでしょうか。最近、実に多くの人がそのことを説いています。もちろん、まだ変容の入り口まで達していない方も大勢おられるし、はるか先まで言っている方もちらほらと見受けられますが、どうやらこれは人類全体の大きな潮流のようです。ということは、あなたもそのどこかのポジションで、この大きな潮流に巻き込まれつつあるのは間違いないでしょう。

分離から統合へ -「人類の目覚め」を紐解く二つの異なる切り口(並木良和、天外伺朗)

だいたい天外伺朗さんの本の前書きは、かなり本質的なことをまえがきでズバリと表していることが多いような気がします。本書においても、論点の中心をまずガツンと提示たうえで、詳しい内容は本編に譲る形で書かれています。あおって買わせようという意図がないので、前書きをある程度読んで買えば、がっかりすることも少ないのが氏の本の特徴かもしれません。

本書の内容

全体像

本書は、並木良和さんと天外伺朗さんの共著という形をとっていますが、前半に並木良和さんの講演での書き起こしが収録されており、中盤以降は天外伺朗さんの解説、という感じになります。ただ、並木良和さんの講演に関して言うと、わりと天外伺朗さんがかぶって入ってこられています。したがって、並木良和さんのはなしをがっつり聞きたい!という方には物足りない感じがあるかもしれません。

この本の内容は、人間が「分離」の時代から、「統合」へ動き始めている、ということが中心にありますが、その統合の表現様式として天外伺朗さんは、
1.スピリチュアル系
2.宗教系
3.学問系
という分類をしており、並木良和さんは1で、天外伺朗さんは3によるといいます。

これらの表現様式もこれまでは分離してきたが、それを統合する試みがその後援会であり、本書である、といいたいのだと思います。感想としては、私は天外伺朗さんの話が結構好きで、けど、並木良和さんっていう人のことも少し知りたい、という感じでしたので本書はちょうど良い感じでした。逆に、並木良和さんのバリバリのファンの方からすると、なにこれ?ってなるかもしれません。

並木良和さんの講演

本書に収録されている講演においては、まず並木良和さんの体験談として、「統合」が起こるとどうなるかが語られます。もとは引きこもりのような生活をしていたものの、統合のプロセスが進んだことで地球が狭くなるような感覚さえ感じるといいます。そしてそれはより広がり、自分が宇宙だったとわかるのだそうです。

それがわかるようになると、今の現実ということは世界のごく一部のことであることがわかるようになります。夢の世界は、ある場所からある場所まで一瞬で移動したり、思ったことが実現したりしますが、実は本来リアルな世界はそのようにできているけど、私たちはそのことを知らないだけなのだといいます。

そういうことに至る一歩として、自分とつながる、ということを進めています。人は外に意識を向けているから、自分とのつながりを断ち切っている状態。しかし、自分なだけに集中することで、本来の自分につながることができる、といいます。そうすると、社会的にはわがまま、といわれる状態になる。これを恐れて自分とつながれずにいるわけです。だからこそ逆に、完全に自分に意識を向ける必要があるのだ、といいます。「覚醒するということは、完全にわがままになる」ということなのだそうです。

並木良和さんと天外伺朗さんの対談

並木さんのファンが見たら起こるかも、と思ったのがこの章で、かなり並木さんの発言に天外さんがかぶります。というのも、天外さんはわざと並木さんを困らそうとしています(苦笑)悪意はないのでしょうが、きっと見ている人はハラハラするんじゃないでしょうか。

さて、初めの対談のテーマは、言葉について。言葉というのは、どちらかというと分離のツールなのだといいます。というのも、自分の内側とつながっている状態を言葉に表した瞬間、それぞれ受けては違った意味でイメージする。もうその時点で、一つに統合された状態ではなくなってくる、という意味なのだと思います。

ここで、天外さんは面白いことを語っています。
もし部下が遅刻の常習犯だったとします。自分はそれを見て、怒りに震えるわけです。普通は、だからその部下がどうすれば遅刻しないか、ということを考えて、叱り飛ばすとか、罰を与えるとか、何かしら部下の行動を変えようとします。しかし、天外さんがいうには、その時に怒りが沸き上がるのは自分です。そこには自分が怒りのモンスターを抱えている、ということになります。すると、なんらかの手段で部下の遅刻を止めても、自分の抱える怒りのモンスターを投影する現象がまたどこかで出てくるのだ、といいます。遅刻という現象は解決しても、自分の問題は解決しない、というのです。これに関して言えば、自分がその怒りのモンスターを見つけ、受け入れ、自分に統合していくことで、その人はフレックスタイムを導入したそうです。

ここには、「遅刻はいけないもの」という自分の判断があるから、問題になるのであってそれを手放すと問題が問題でなくなる、といいます。

普通の人の感覚からすれば、部下が遅刻するからフレックスタイムって、なんだよ?と思うかもしれませんが、そういうことが普通に発言されるところが、あるいみ自己中心的な統合された人の感覚のようです。

ここで、天外さんがアメリカン・インディアンからおそわったという『ノン・ジャッジメンタル・アプローチ』という方法論がでてきます。これは経営者に対して、6か月ほど「判断すること」を辞める、というワーク。人は起こったことをたとえば「良い」「悪い」で判断しがちです。たとえば、朝起きたら雨がザーザー降っていたとします。もうその瞬間、「雨でうっとおしい」とか思うわけですよね。これをやまるのです。「ああ、雨が降っているな」で終了です。なぜこんなことをするかというと、私たちは世界を自分のフィルターを通してみています。そのフィルターは思考の癖。同じ現実を見ても人によってとらえ方が違うのは、みんなそれぞれそういうフィルターを持っているからです。だからそのフィルターをいったん外す訓練なのだと思います。そうやってまずは、世界をありのまま見よう、ということなのだと思います。

戦いの人生

今までの世界の中で、努力とか向上心というのは美徳とされてきました。しかし、一方でその根源となる背景を本書では「モンスター」と名付けています。たとえば、これは本書の記述ではありませんが、ある説によると経営者は皆、自己愛性パーソナリティ障害である、という心理学の先生がいます。そのからくりというのは、自分が価値のない存在である、という前提があり、それをカバーするために頑張って、お金や社会的地位、社員などを獲得し、自分の心を満たそうとしているのだといいます。これを天外氏は、戦いの経営といっています。

これと同じように、本書でも心の中に潜むモンスターを収めるため、人は努力します。しかし、このモンスターを原動力としていると、永遠に何かが足りないという感覚から抜け出ることがない。そのモンスターそのものをいやすとでもいうのでしょうか。それに気づき、しっかりとケアをしていく。これが本書でいうところの「統合」というものだと私は感じました。

人の成長として、まずは分離から始まります。これはバーストラウマと呼ばれるもので、母親のお腹の中で親と一体になっている状態から、突如として切り離され分離されます。そして、社会に適合するための倫理観などを植え付けられ、常識という枠組みの中に生きることを覚え、心の中にモンスターを育てていきます。これを著者は戦いの人生と表現しています。

ここで、そういったモンスターを抱えながらの人生があるタイミングで、うまくいかなくなってくるわけですがそれをきっかけに、統合の方向ヘすすむことになります。ここで、そういった気づきがない人はずっと気付きがないし、気づいた人は統合の方向性を探っていく。そんな道筋があるようです。

具体的なワークの紹介

こういった状況を、統合に導くため。あるいは、経営者の場合ティール組織を作り出すための方向感を明確にするため。
なにかしらのほうほうろんを、と天外伺朗さんは研究を深め、結局それは心の奥底を動かすことなので、瞑想を行うことで進むことができる、という結論を出しているようです。

本書においても鳥の瞑想など、いくつかの具体的なやり方が出ています。関心のある方は、ぜひ手に取って実践していただくといいのではないでしょうか。


いやーー、読書って本当に素晴らしいですね。


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ちなみに私はこんな本書いてる人です。


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