秋など幻想なのだ(秋の空時計)【#毎週ショートショートnote】
北国には秋など存在しない。
今年は例外的に暑さが長引いたから、余計にそう思う。ここは一年の半分近くを雪に閉ざされる極寒の地である。秋だねと言い始めたらあっという間に冬が来る。十一月頭には初雪が降り、十二月には積もる。
九月も過ぎ、十月の声を聞けば、自動車を運転する者が考えることはひとつ。
いつタイヤを交換するか。
雪の降らない地方の方には馴染みが薄かろう。ここ北の国では、冬になれば路面は雪が積もり、固く凍りつくのだ。夏と同じ装備ではたちまち滑って大惨事である。そのため冬はスノータイヤを装着する。一般的にはスタッドレスタイヤ、通称冬タイヤと呼ばれるものだ。
秋の空時計とか悠長なことを言っている場合じゃねえ。空を見ている暇があったら天気予報を見ろ。周りの空気を読め。予定は早めに立てろ。
タイヤいつ換える?
※たぶんフィクション。
(本文356文字)
こちらの企画に参加させていただきました。
お題を全否定しました北の国からごめんなさい。
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