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円安について

円安は、本当に良くないのだろうか?

85年9月の「プラザ合意」前には、1ドル235円だったが、発表翌日の9月23日から1日24時間以内でで、約20円下落して、それから1年程度で急速な円高が進行して、150円台で取引されるようになった。

そういう意味では、円安が進行したとはいえ、当時の水準に戻っただけであるとも言える。

円安に進むと、輸出産業にとっては追い風が吹くと言われる。ドル建て換算で、商品の値下げと同じだからである。逆に輸入産業にとっては逆風である。価格転嫁できなければ、仕入れ価格が高騰して、利益を圧迫するからである。

40年前と今とを比較すると、日本企業の海外進出も進んでいるし、そうなると、ドル円相場の影響は、国内よりもあまり影響は受けないだろうし、そういう意味では、貿易収支による直接的な影響(プラスもマイナスも)は、昔ほどではないのかもしれない。

しかしながら、それでも日本経済にとって、プラスなのかマイナスなのかとなれば、プラスの方が多そうである。日本製品の高品質、高スペックについては、世界中で定評があるんだし、前よりもドル換算で3割引きになったのであれば、大喜びで買いたがるに決まっている。

一方で、インバウンドの方は、明らかにプラスに作用するだろう。ただでさえ、「日本は安い」というのが、海外からの観光客の共通認識になっている以上、円安になれば、ますます財布のひもは緩むし、爆買いしてもらえる機運が盛り上がる。

円安を否定的にとらえるのではなく、神風が吹いた、あるいは日本国内の景気回復に向けた癒しの雨くらいに考えて、この際、海外観光客の呼び込みに官民挙げて全力で取り組むべきであろう。

前にも書いたが、国内におカネが回るようになれば、間違いなく景気は好転する。海外観光客がおカネを落としてくれるのは、ありがたいことである。日本にとって、観光産業は、今後は重要な基幹産業の1つという位置づけで考えるべきであろう。

そう考えると、まだまだ日本の観光産業というものは、発想がショボいというか、海外の富裕層に気前よくおカネを落とさせるための仕組みづくりにもっと知恵を絞った方が良い。

ラグジュアリーで、特別感があって、お値段に納得感があれば、海外の富裕層は日本人の発想では考えられないような金額だって払ってくれるものである。ただし、単なる値上げ、意味のない価格設定ではダメで、彼らが納得するに足る説明が必要である。


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