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僕の音楽遍歴について⑥

ワーグナーを聴くようになり、それを契機として、ドイツ・オーストリア系を中心として、クラシック音楽を聴くようになったところまでは、前回の記事に書いた。今回は、その続きとして、オペラ、歌劇、楽劇と呼ばれるジャンルに関して、少し書いてみたい。

世の中には、クラシックは好きだけど、オペラは苦手だというような人もいるようだが、僕の場合、クラシック音楽を聴くきっかけが、ワーグナーだったということもあり、オペラというジャンルには入っていきやすかったと思う。

それでも、自分の趣味としては、ドイツ・オーストリア系の音楽に合致するということもあってか、オペラに関しても、ドイツ・オーストリア系のものを聴く機会が多かったように思う。

ワーグナーについては、前に触れたので、それ以外の作曲家の作品で、僕が愛聴しているものを幾つか紹介してみようと思う。

ワーグナーにも影響を与えた、カール・マリア・フォン・ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」は、CD・DVDだけでなく、実演を鑑賞する機会も得たので、馴染みが深い。

この作品は、いわゆるジングシュピールという形式であり、モーツァルトの「魔笛」とか、ベートーヴェンの「フィデリオ」と同様、地の台詞の部分と、音楽との複合体みたいである。現在のミュージカルに近いかもしれない。

オペラは、やはりCD盤で音楽だけを聴いても、真価を理解しにくいものが多いので、できればDVD盤も紹介したいと思う。

前の記事でも少し紹介したが、ベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」も好きな作品である。ただし、この作品については、音楽自体はさすがに素晴らしいのだが、演劇的にはやや冗長でダレるところがある。したがって、望ましい上演スタイルとしてはコンサート形式ではないかと思うのだが、本来のスタイルでの上演としては、バーンスタイン盤に愛着がある。

ただし、前の記事にも書いたことだが、この作品では、半ば慣習のごとく、第2幕第2場の前奏的に、「レオノーレ第3番」が演奏されることが多い。バーンスタイン盤でもそうなっている。マーラーがウィーン国立歌劇場の指揮者をしていた頃に始めたものだという話であるが、くどいというか、野暮な感じが否めず、僕は嫌いである。

ワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世によるオペレッタ(喜歌劇)「こうもり」も外せない。オペレッタは、通常のオペラよりも一段軽く見られるらしいが、この作品は、格式高いウィーン国立歌劇場やバイエルン国立歌劇場でも正式のレパートリーになっており、年末年始の恒例の出し物となっている。

ワーグナーよりも後の時代の作品についても紹介したい。

アルバン・ベルクの歌劇「ヴォツェック」は、僕にはあまりに難解だし、内容的にも聴いていて辛くなるような物語なので、あまり頻繁に聴くことはない。CD盤・DVD盤でも、「これが良い」とおススメできそうなものが見当たらない。

一方で、リヒャルト・シュトラウスについては、好きな作品がいくつも挙げられそうである。

まずは、楽劇「ばらの騎士」である。僕が最初に聴いたのは、アナログ・レコード盤のカラヤン指揮の旧盤、つまりシュヴァルツコップがマルシャリンを歌っている方である。カラヤンにはVPOとの新盤もあり、こちらはDVD盤もあるが、僕は旧盤の方に愛着がある。

「ばらの騎士」の最初の印象は、「昔のハリウッド映画の映画音楽みたいやん」というものであった。やはり、この作品は、20世紀になって作曲されたものであり、いろいろな意味で現代的なのであろう。

吉田秀和『私の好きな曲』によれば、<オペラというジャンルが、「アクチュアルな芸術としての生命を終えてしまった」(中略)という認識があってはじめて書かれた台本によっている>のが、この作品であるという。

いずれにせよ、絢爛豪華で官能的で、オペラというものを娯楽作品として突き詰めて、エッセンスを凝縮したような、そんな作品になっている。

長い作品であるが、どこをどう切り取っても、陶然とさせられる。先ほど書いたカラヤンの旧盤も好きだが、やはり今日的な生命を保っているのは、カルロス・クライバーの2種類のDVD盤であろう。どちらも素晴らしいが、個人的にはウィーン国立歌劇場との新盤の方に愛着がある。94年10月に同じバージョンの引っ越し公演を、東京文化会館で実際に体験しているからである。

リヒャルト・シュトラウスの作品としては、他には、「アラベラ」と「ナクソス島のアリアドネ」、それと「サロメ」を挙げておきたい。

イタリア・オペラとなると、あまり聴く機会もなく、CD盤やDVD盤で保有しているものも、ごく限られたものしかない。おススメ盤を紹介でくるほど、あれこれと聴き比べたわけでもない。

たまにCD盤やDVD盤を取り出して聴くのも、プッチーニだと、歌劇「ラ・ボエーム」くらい。ヴェルディだと、歌劇「オテロ」に「ファルスタッフ」、それと「アイーダ」に「リゴレット」といった有名どころくらいである。

ということで、オペラについての記事は、これくらいにしておきたい。

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