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ジャニーズ事務所の今後について

ジャニーズ事務所については、過去にもいろいろと記事で書いたので、僕の考え方については、だいたい既に述べたとおりである。処理方法としても、前に書いたようなスキーム(既存の会社と興業の会社を分割、既存の会社は賠償目的で存続)を採択するようである。

そういうわけで、もうこの話題には、あまり重ねてあれこれと言いたくはないのだが、僕が腹立たしいのは、ジャニーズ事務所ではなくて、世間のマスコミや広告主であるスポンサー企業の方である。

故ジャニー喜多川の特殊な性癖とか悪行については、前々から公然の秘密だったわけであり、最近になって突然に発覚したわけではない。裁判にもなっているのだ。マスコミ関係者やCMにタレントを使っている企業が、「知らなかった」はずはない。

なのに、今まで問題にせずに、スルーしていたのは、ジャニーズ事務所を敵に回したら怖いからであり、ビジネス上、失うものがあまりに大きいからにすぎない。要するに自分たち自身の保身である。

ジャニー&メリー姉弟が既に亡くなって久しく、有力タレントが次々と離脱する中、ジャニーズ事務所も往年のパワーが失われ、今ならば叩いても大丈夫だということが明らかになったので、皆んな揃って盛大に叩きはじめたのだが、やり方自体、とても卑怯だし、姑息であろう。

そこには何の信念もポリシーもないからである。

前にも書いたが、叩くのは構わないが、その前に、今までわかっていても何も言わずにスルーしてきた自分たち自身を自己批判し、「世間の皆さん、ごめんなさい」と反省するのが先であろう。それが筋というものであろう。

皆んな揃って、何も批判せず、見て見ぬふりで過ごしてきたから、被害が拡大したという意味では、マスコミも広告主であるスポンサー企業も共犯/同罪と言えなくもない。彼らが何も批判しないから、事務所もこの問題について何もやろうとはしなかったのだ。

何回も言うが、急に発覚した新事実ではないのだ。もう何十年も前から、世間の皆んな、我々にような一般人も含めて、わかっていた話なのである。

グループの名前を変更するとかいう話も、はっきり言って、言葉狩りみたいな話であり、どうでもよい。

たしかに、故人の名前を想起させるようなグループ名はよろしくないという意見も理解できるが、そんなことを言い始めたら、全部のグループ名を変更しないといけなくなる。というのも、故ジャニー喜多川が、若い才能を発掘して売り出すことにかけては天才的なプロデューサーであったことは紛れもない事実であり、グループ名やメンバー選定に関しても、すべて彼が1つ1つこだわり抜いて決めたという話は有名だからである。彼の手垢がついていない所属グループなど、たぶん1つもない。

もし本気で、彼の痕跡をすべて消し去ろうと思うのであれば、ジャニーズ事務所に所属するタレントを一旦すべて廃業させて、まったく別の名前、場合によっては別の組み合わせで再デビューさせるくらいのことが必要になるだろう。それは、たぶんファン感情が許さないだろうし、事実上、そんなことは不可能である。

この問題から浮かび上がるのは、日本のマスコミや一般企業の「信念やポリシーの欠如」である。世の中の空気に対する同調性だけで動いているのではないかと言いたくなる。自分たち自身の「判断軸」のようなものが、まるで感じられないところが嘆かわしい。

ジャニーズ事務所だけの問題なのかという点に関しても気になるところである。興行の世界は、美空ひばりと山口組の例を挙げるまでもなく、昔から反社会的勢力とは持ちつ持たれつなところがあったのは否定できない。所詮は、どちらもカタギの世界の埒外で生きている連中なのだ。

コンプライアンス重視を標榜するのであれば、改めて他にも問題はないのか、総点検するくらいの覚悟を見せてもらいたい。性加害問題とか枕営業とかは、突けば他にもゾロゾロと問題事例が出て来そうな気がする。島田紳助のように怪しい連中との交友関係を指摘されるタレントだって他にもいるだろう。そうした事例の1つ1つについて、どのように対処するつもりだろうか。

池に落っこちた犬のようなジャニーズ事務所だけを叩いて、これで幕引きを図るというのでは、本質的にはたぶん何も解決したことにはならない。





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