見出し画像

「免税業者」について

海外からの観光客による「爆買い」の多くは、転売目的であり、これはこれでビジネスになっているのだろう。

観光客を使って買い物をさせて、手数料を払って、商品は転売ルートに乗せる。こういうビジネスモデルを作れば、観光客も業者も「ウィン・ウィン」である。

損をするのは、納められるはずの税額分を取りっぱぐれる税務当局だし、最終的には日本国民ということである。

そもそも、性善説で呑気な日本の免税制度自体に問題があるのに、現行制度においては、税務当局の矛先は、免税要件を満たさない取引であることを看過した免税店に向けられる仕組みになっていて、追徴税分は免税店が支払わされることになる。

消費税法では、非居住者の確認、免税要件の説明、購入記録の保存等を店に義務付けているが、営業現場で、顧客を疑うようなチェックはただでさえ難しく、忙しくて手も回らないというのが実情であろう。そこまで民間業者に負担を強いるのは酷である。

そもそもの問題は、性善説が前提の自主申告・納税制度を、国境を越えた取引にも当てはめた日本独特の制度に要因があるのだから、海外で主流となっているように、商品購入時にまずは税額を支払い、出国時に払い戻しを受ける「リファンド型」に改めれば、不適切な免税販売は起きにくい。

そういうことをわかっていながら、70年も制度を改めずに放置しておいて、現場での水際でのチェックに責任を押しつけているのは、単に税務当局の怠慢と言うしかない。

ついでに言うと、「インボイス制度」についても文句がある。どうして「免税事業者」を残してしまったのか、まったく理解に苦しむ。零細事業者の事務負担を軽減するということなのだろうが、ビジネスなんだし、応分の事務負担は仕方がないと思う。例外とかお目こぼしを許容するから、それを悪用する輩が現れるのである。せっかく厳格な制度を作ったのであれば、「適格請求書発行事業者」にならないという選択(=「免税事業者」を選択)を許容せず、罰則を設けるくらいに断固とした運用を推進しないと意味がない。

日本においては、サラリーマンと比べて小規模事業者に対する対応がいい加減で甘いのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?