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ChatGPTで高級ホテルのレビューを分析する

「生成AIツール for Excel」が提供するCATEGORIZE関数を使うと、訓練やプロンプトなしで文章の感情を肯定的、否定的、中立的と分析できます。では、レビュー記事のように★5、★1などの評価がすでにある場合、生成AIで何ができるでしょうか。人間の感情をいくつに分類するかは諸説ありますが、Webマーケティング分野では比較的新しいプルチックの感情の輪を採用することが多いように思います。ロボットの感情モデルでも使われています。今回は、高級ホテルのレビュー記事を題材にして、生成AIで感情を分類し、カスタマーの真意を推定する方法を紹介します。

ホテルレビューのサンプル収集

東京の高級ホテルといえば、ザ・リッツ・カールトン 東京(赤坂)とペニンシュラ東京(有楽町)でしょう。とはいえ、トリップアドバイザーのレビューでは★5〜★1まで、オープンな評価が公開されています。あくまでサンプルですので本気の分析はしませんが、トリップアドバイザーの口コミで「とても良い」「とても悪い」を選び、それぞれ上位5件を抽出してExcelに貼り付けるところからはじめます。

高級ホテルのレビュー

高評価の感情は「喜び」

テキストの感情を分類するには「=BB.CATEGORIZE(C2,{"喜び","信頼","恐れ","驚き","悲しみ","嫌悪","怒り","期待・予期"})」のように関数を書くだけです。表を用意すれば、大量のレビューから各行の感情を分類できます。慣れてくると、関数の裏側でChatGPTが動いていることを意識しなくなります。

レビューの感情分類

こうしてレビューに感情を当てはめると、★5の感情は「喜び」だとわかります。言われてみればその通りですが、高級ホテルに満足したときに湧き上がる感情は他のポジティブな感情である「信頼」「期待・予期」ではなく「喜び」なのです。この感情を把握できれば、広告用のテキストやイメージを依頼するとき「喜び」が感じられることを条件にできますね。

では、カスタマーは高級ホテルの何に喜びを感じるのでしょうか?人工知能を利用するプログラムではPythonやJavaScriptを使うことが多いように思いますが、ほとんどのオフィスワーカーには無理な話です。しかし、「=BB.ASK(CONCAT("あなたは高級ホテルの支配人です。次のレビューを読んで、お客様はホテルの何について",E2,"の感情を抱いていますか?一語で答えてください:",C2))」のようなExcelの数式であれば、Excelが得意な人なら自分で何とかできる範囲のはずです。

★1レビューの感情分類

高評価と低評価の感情の背後にあるもの

次に★1の感情を分析しましょう。ネガティブな感情は「恐れ」「悲しみ」「嫌悪」「怒り」の4つがありますが、10件ある★1レビューのうち「嫌悪」が5件、「怒り」が3件です。これはいったいどういうことでしょうか?

高評価で「喜び」になり、低評価で「嫌悪」「怒り」の感情を生み出す根源にあるのは「期待値の高さ」でしょう。高級ホテルに非常に高い期待値を抱いて来館し、期待を上回る体験ができたとき、カスタマーは満足を超えて「喜び」の感情を抱くわけです。一方で、期待を下回る体験だったとき、カスタマーは単に失望するのではなく、「嫌悪」「怒り」の感情を抱くのです。

マーケティング担当者は、「喜び」の背後にあるのが「期待値の高さ」であることをよく理解した上で、キャッチコピーやビジュアルを用意するとよいでしょう。

以上、カスタマーレビューからカスタマーの感情を分析する手法の話でした。