K. Nakano

編集者であり、たぶん世間的には「社内起業家」に分類されちゃうんじゃないでしょうか。

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    OpenAI、ChatGPTに関する記事です

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最近の記事

Excel申請書にAI副課長を降臨させてみた

1990年代半ばまで、日本企業には「副課長」というポストがあった。副課長とは、たとえば高卒で定年が55歳の貢献ある人物に、退職金や年金を少し多めに支払うために2年間課長をやってもらうとき、課長に代わって実務を取り仕切るとか、次の課長に確定している人が修行のために課長決裁の書類を事前に審査するとか、日本企業に余裕があった時代の役職だ。その後、人件費を節約する時代になると「意志決定の迅速化」を名目に副課長職は廃止された。 副課長のメリットは、スタッフ教育が手厚くなることだ。「齊

    • ChatGPTはチャット以外で使う方が役に立つ

      MM総研が2023年6月に発表したChatGPT利用動向によると、ビジネスパーソンのChatGPT利用率は日本7%、米国51%で、日本での利用はなかなか進んでいません。 MM総研の調査では、その違いを利用用途の違いに求めています。米国に比べて我が国は文章生成は9ポイント、文章要約、文章校正・構造化、情報検索、翻訳では17〜20ポイント低いだけですが、アイデア生成、コーディングでは31〜35ポイントも低いです。 これだけ見ると、日本人はアイデア生成やコーディングにもっと使う

      • 松尾研は何に失敗したのか?

        新年最初の投稿が批判めいていて恐縮だが、日本のAIの権威である東大の松尾研が香川県三豊市(みとよし)の「ごみ出し案内」ボットの開発に失敗したことを取りあげる。 このプロジェクトには、ニーズ(課題)とソリューション、さらに失敗判定の理由(イシュー)があって、AIで次に何が出来るか考えるヒントになっている。 プロジェクトの概要報道によると、三豊市のニーズは以下の3点である。 ごみ出し案内の情報はWebサイトにもあるが、ユーザーが検索しないといけないので、手間を減らしたい

        • IQが160の人工知能は商業化できない

          AGI(Artificial general intelligence)の日本語訳はすっかり「汎用人工知能」が定着しましたが、スゴく違和感があります。英語の順番どおりなら人工汎用知能なのに、なぜか順番が入れ替わっている。AGIは定義が曖昧で、プロのAI驚き屋は、人知を超越したほうをいうし、AIの専門家は、都市いっこぶんの電気を使わずに学習できる、乳幼児が言葉や五感に対して持っている最小の原理から知性を育める、といったところがAGIだと思います。いずれにしてもAGIは明確な定義

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          ChatGPTのトークン数の説明がいい加減なのはOpenAIがいい加減だから

          ChatGPTをAPI経由で利用すると、入出力のトークン数で課金されます。トークン数とは何か、日本語のいい加減な情報が多く、元の情報を調べもせずに知ったかする人が間違いを再生産しています。 もっともいい加減な説明英語は1単語=1トークン、日本語は1文字=1トークンという説明があります。間違いです。実用上の英単語で一番長いとされる「antidisestablishmentarianism」は6トークンです。 ところが、「こんにちは」は1トークンです。 多少マシに見えて間違

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          ChatGPTのコスト感を知らない人は、自分の人生を悔い改めるべきである

          生成AIを仕事で扱うようになると、取引先で「生成AIは仕事でこんな風に使うとよいですよ」とアドバイスする機会がある。そんなときに驚くのは、大半の人はChatGPTの名前を聞いたことはあっても、触ったことはないことだ。だから、「最新の人工知能なんだからスゴく高いに決まっている」と思い込んでいる。高いと思い込んでいるから使わない。使わないから、ChatGPTはおカネがかかるもの、無駄遣いはよくないと考え、ずっと使わない。 ソフトバンクグループの孫正義会長が「ChatGPT、GP

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          「日本企業の72%が職場でのChatGPT利用を禁止」という虚言を信じてしまう心理

          ChatGPTが公開された2022年11月30日から1年以上が過ぎても、ブームは収まりそうもない。IDCが10月26日に発表した調査では、生成AIの適用を検討中であると回答した日本企業は50%となり、世界平均の49.2%とほぼ同じだった。また、年内に生成AIに投資すると回答した日本企業は32%で、世界平均の28.7%を上回った。IDC Japanは、この種の調査で日本企業の動向が世界平均を上回るのは「比較的珍しい状況」だとしている。 一方で、大手メディアが怪しげな調査結果を

          「日本企業の72%が職場でのChatGPT利用を禁止」という虚言を信じてしまう心理

          Excelの単純作業を自動化するChatGPTの使い方6選

          AIにExcel達人を描かせるとどうしてもカメラマン風になっちゃうイラストで始まる今回は、Excelの単純作業をどうにか効率化する方法の紹介です。いつものように、ExcelとChatGPTの連携には、Excel用のアドイン『生成AIツール for Excel』(アドイン無料、ChatGPT別料金)を使います。 このデータの名字と名前を別にしてくれる?「氏名」を入力してもらうとき、姓だけを使う用途がないと考えて、姓・名を分けていないデータがあります。ところがフルネームで「伊藤

          Excelの単純作業を自動化するChatGPTの使い方6選

          人工知能の電気代からわかるサム・アルトマンの先見性

          テキストや画像を生成できるGPTモデルの威力は、毎日ニュースになるほどIT業界を席巻しています。しかし、生成AIのコストがどれだけかかるか、有力な生成AIベンダーのない日本ではほとんどまったく話題になりません。 機械学習用ツールベンダーのハギングフェイス(ニューヨーク)とカーネギーメロン大学の研究者によるレポートによると、サンプルデータセットによるテキスト生成1000回あたりの消費電力は平均0.002kWh、画像生成1000回あたりの消費電力は平均2.907kWhだそうです

          人工知能の電気代からわかるサム・アルトマンの先見性

          深津式プロンプトシステムをExcelに実装してみた(無料サンプルファイルあり)

          noteのCXOである深津貴之さんといえば、ChatGPTが登場したとき、イノベーター(先駆者)的にその使い方を極めた人物です。どういう指示を出せば望む回答を得られるか、誰もが苦労している時期に「こうすればよい」を啓示してくれた深津さんに感謝です。 とはいえ、2023年2月に公開されたライブでの発表ですし、その後のいろいろな改良や発見は含まれません。 今回は、Excelアドイン『生成AIツール for Excel』での実装を例に、2023年12月のベストプラクティスをご紹

          深津式プロンプトシステムをExcelに実装してみた(無料サンプルファイルあり)

          生成AIはフリーテキスト型アンケートを宝の山に変える

          イベントや社内研修の最後にアンケート記入を依頼されることがあります。マーケティング目的でも、いろいろな項目に対する10段階評価に加えて「お気づきのことがあれば」なんていう自由記入欄がある場合が多いです。あれは何に使われているのでしょうか? 結論からいうと、ほとんどすべての自由記入欄は気休めであり、ガス抜きであり、担当者が報告書を書くとき、ネタに困って参照する以外に使われることはありません。いままでは。 イベントでも研修でも、担当者は誰かに総括の報告書を書いているはずです。

          生成AIはフリーテキスト型アンケートを宝の山に変える

          日本企業にもできそうなAIスタートアップのネタ

          日本にもいくつかの生成AIベンチャーがあり、独自モデルに投資している会社もあるが、正直言ってシリコンバレーとは勝負にならないはずだ。OpenAIは、GPT-4の訓練に数か月、百数十億円以上をかけた(1日換算数億円)とサム・アルトマンCEOが述べたことがある。目立った動きのないアップルですら、AIモデルの構築に1日数億円かけている、といわれている。 Siriの強化プロジェクトは元Googleのエンジニアらが在籍しているとされるが、人数はたったの16人。世界で約22万人のマイク

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          ChatGPTで高級ホテルのレビューを分析する

          「生成AIツール for Excel」が提供するCATEGORIZE関数を使うと、訓練やプロンプトなしで文章の感情を肯定的、否定的、中立的と分析できます。では、レビュー記事のように★5、★1などの評価がすでにある場合、生成AIで何ができるでしょうか。人間の感情をいくつに分類するかは諸説ありますが、Webマーケティング分野では比較的新しいプルチックの感情の輪を採用することが多いように思います。ロボットの感情モデルでも使われています。今回は、高級ホテルのレビュー記事を題材にして、

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          OpenAIはヤバいAIを作って自壊したのか?

          11月17日から始まったOpenAIの騒動は何が原因だったのか、理事会が"due to his lack of transparency"と問題視したサム・アルトマンの振るまいとは何だったのか、実は未だに詳細がわかりません。が、22日くらいから"lack of transparency"(これをなんと訳すかは難しいです。私は無難に「率直さに欠けた」がよいと思いますが、transparencyがlackしてるんだから、CEOが持株会社の非営利法人の理事会に、事業について正直に報

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          ChatGPTで『走れメロス』を感情分析してみた

          Excel用のChatGPTアドイン「生成AIツール for Excel」がマイクロソフトのOfficeストアで公開された。APIに渡すmessagesをそのままExcelの表にして呼び出すCHAT関数、function callingで関数ではなくenumで指定した分類を返させるCATEGORIZE関数など、面白い機能がある。今回は、CATEGORIZE関数の使い勝手を量るため、文章の感情(ポジネガ)を学習なしで推定させ、どういうことができるか実験することにした。 訓練な

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          サム・アルトマン解任関連の情報まとめ

          ただいまフロリダにいて、時差の関係で日本メディアの動きが鈍いのでまとめておきます サム・アルトマンCEOは解任、グレッグ・ブロックマン取締役会議長兼社長は辞任(従業員としての地位は残すと通告された) 他に3人の上級研究職が抗議の辞任 ジェイソン・クォンCSOはアルトマン氏の復帰について「楽観的」だと社内に伝えたが、復帰しないことにした アルトマン氏の解任を決めた取締役はイリヤ・サツケヴァー共同創業者兼主席科学者、アダム・ディアンジェロ(Quora創業者)、ターシャ・マ

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