父の話

前回の自己紹介で、父からは一切の愛情を貰ってない的な事を書きましたが、なんか1個ぐらい愛情を感じるエピソードなかったかな?と過去を振り返ってみました。

思い出した話をここで一つ。

私が17歳で、姉が22歳の頃の話。
日曜日の昼間リビングでくつろいでいると、突然心臓が痛くなりました。
息をするだけで痛く、どうしたもんかと思ったのですが、2時間ほど我慢していました。
横になっても立っても座っても何しても痛いので、妊娠中でたまたま帰って来ていた姉に、2時間前から心臓が痛くてたまらん!と言うと
「病院行こう!姉ちゃんが連れて行ってあげる!
お父さんにお金貰っておいで!」
と言ってくれました。
しかし父は絶対にお金なんぞくれないのです。
くれない事は分かっていたので姉に
「お金なんてくれへんと思うよ」と言うと
「何で?娘が痛がってるんやからくれるやろ!はよ貰っておいで!」
と言うのです。
まあダメ元で言ってみるかと父の部屋に行き、病院行きたいからお金ちょうだいと頼んだら
どこかで誰かに教わったん?と思うぐらいのお手本のような"嫌そうな顔"で
「え?病院?我慢したら?」と思っていた通りの答えが返ってきました。
リビングに戻り姉に「我慢したらって言われた」と言うと「はあ?我慢?何で?こんなに痛がってるのに?!姉ちゃんが言ってくる!」
と怒りで顔を歪めながら父の部屋へ行きました。

姉は知らないのです。私が17年間このような扱いで生きてきた事を、甘やかされて愛情注がれて育った姉は知らないのです。
父は国民健康保険というものに加入してくれなかったので、幼少期から保険証がありませんでした。病気や怪我は我慢して治すのです。
幸いにも大きな病気も怪我もなかったので我慢でなんとかなっていました。
なのでこの時の心臓の痛みも我慢で治そうと思い2時間は我慢したのですが無理でした痛くて。

そんなこんなしてるうちに姉が、大きなお腹を抱えてフンフンと鼻息荒く怒りながら戻ってきました。
「なんやアイツ!あんな奴親でもなんでもない!信じられへん!!!」
と言うのです。
姉にとったら、甘やかしてくれる普通の父親なので、なぜお金を出さないのか不思議と怒りとで泣いていました。
私は17年間姉との扱いの差を黙って我慢してきていたので今更驚く事も怒る事も泣く事もないのです。

「なんて言われたん?」と姉に聞くと
「日曜日なんかに病院行ったらナンボ取られると思う?5千円じゃ足らんぞ!そんなもん寝てたら治るやろ!行かんでいい!」って言われた!
と、全くオブラートに包まず言われた事をそのまま伝えてくれました。
いやちょっとは包めよ!突き刺さるわ!父親の愛情の無さが胸に突き刺さるわ!せめて姉ちゃんという壁で刃先を折っといてくれ!
と思いながらも「そう言うやろな〜」と返事しました。とりあえず寝ればどうにかなるやろうから寝るわと姉に伝えると
「そんなもん寝て治るか!お金は姉ちゃんが出してあげるから今すぐ病院行こう!」ととても頼もしい事を言ってくれました。
その時初めて姉を少し好きになった気がします。ずっと腹の底では憎んでいたので。お姉ちゃんばっかりずるい!お姉ちゃんばっかり!!!って。

そして救急へ行ったのですが、心臓も肺も全然異常なくて、ただの肋間神経痛でしたってお話です。
そうです我慢してれば治ったんです。
父の言うとおりでした。
親の言う事は聞いた方がいいんやな〜と勉強になりました。

家に帰り、どうやったん?と聞いてきた父に、肋間神経痛でしたと言うと
どこで誰に教わったん?と聞きたくなるほどの"満足げな顔"で「ほらみろ無駄金やったやろ?寝てれば治るねんそんなもん」と言いながら自室へ戻られました。
「何が無駄金じゃ!何とも無くて良かったなぐらい言われへんのか!」とまた姉が怒り出したので、あんまり怒ると赤ちゃん産まれちゃうよとなだめました。
何で私がなだめるねん!傷付いてるのは私!
ズタズタ!!!ボロボロ!!

このように父に鍛えられたおかげで、今は少々の事では動じない鋼のハートを持ち合わせております。
腹の立つ事は今でもたくさんあるけど、傷付く事はほとんど無いです。
親に傷付けられる事を思えば他人の発言なんて大した事ないのです。
嫌い!って言われても、そりゃ親にも好かれなかったんだから他人に嫌われても仕方あるまいと思えるのです。
人に好かれるという事に執着せずに生きられるのはとても楽だし自分に合ってると思うので、とことん愛情をくれなかった父に感謝です。

過去を振り返っても愛情は見つけられなかったけど、自分の生き方はちゃんと見つけられてるので良しとしましょう。

次回は母の話にしようかな〜
では。

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