無性

目的のないまま惰性に生きていたくないのだ、永遠に命を燃やして生きていたいのだが。如何にもこうにも、僕には陳腐な炎に見えてしまう。転んだ時の高揚感に身を任せて、踊った痕跡をつるりとなぞる。彼女のピアノを弾く指先が、髪型が、眼鏡が。全てをみていたいが逃げられてしまうことを恐れこうして管を巻いている。小指でワセリンをひとすくい。唇に色を灯してはにかむ、目尻の皺一本一本が深くなる、腰が曲がって立てなくなる、指輪をした左手の薬指を燃やす。
打ち込まれた抗生剤。ジュリーによろしく。
君に見合う人は永遠に訪れない。祈っていないと気が狂いそう。
ピエタにて。受胎告知を。

色が抜いた金色の髪の毛を食む。ささくれをちぎって取りこんだ。
優しげに塗り込まれたワセリンはなんの味もしなかった。大体、延長コードだって足りないこの世の中に、少しダサい価値観をまとわせたって。ねぇ?

<つらつらと浮草> たっぷりと抱かれているような気持ちにボタン一つでさせてください サポートしていただけますと、セルフ返歌いたします