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「ダンダダン」の異常な面白さと「せっせっせいや」。

ジャンププラスで毎週火曜に連載中の「ダンダダン」がめちゃくちゃ面白い。

最新話が更新される火曜は、0時にジャンププラスのアプリを開き、「やっぱりめちゃくちゃ面白えなぁ〜〜」とため息をつきながら寝るというのが毎週のルーティーンになっている。


周りの友人たちにもぜひ読んでもらいたいのだが、どうも紹介の仕方が難しい。

どんな話でどんな面白さなのかを一言で説明できないのだ。

1巻の帯を見ると、「オカルト×バトル×ラブコメ×青春 全部盛りMORI!!巨弾怪奇恋愛異譚開幕!」と書かれているが、この帯を読んで大体どんな漫画なのか想像できる人がいるんだろうか。

しかしこうとしか説明できないというのもまた事実。


普通少年漫画といえば、ある程度一言で作品を説明できるものが多いと思う。

海賊王を目指して世界の強者たちと戦いながら大冒険を繰り広げる話(ONE PIECE)、落ちこぼれでいじめられっ子の忍者が、成長して里の英雄と呼ばれるまでの話(NARUTO)、ダメなフリーターがタイムリープ能力に目覚め、ヤンキーだった中学時代から未来を変える話(東京リベンジャーズ)、などなど。

もちろん各作品本筋以外の要素も盛り込まれ、それが面白さを加速させるのだが、あくまで本筋はこれだとはっきりしている。


しかし「ダンダダン」は盛り込まれる要素のどれが本筋なのかがわからない。

・ギャルの女子高生とオタクの男子高校生、正反対な二人が次第に惹かれあっていくラブコメ漫画
・超能力に目覚めた女子高生と妖怪の呪いを受けた男子高校生のバディが各地で妖怪・宇宙人と戦う能力バトル漫画
・都市伝説、民間伝承で語られる宇宙人・妖怪を圧倒的な画力で描き出すオカルトホラー漫画

現在23話まで連載は進んでいるが、「あ、こういう感じで今後は物語が進んでいくのかな?」という予想が何度も裏切られてる。

本筋になりうる要素が猛スピードで入れ替わり、混じり合って、面白さを加速させていくのだ。


いきなり話が変わるようで申し訳ないのだが、「ダンダダン」のこの面白さに最も近いと感じたのが、霜降り明星・せいやの「せっせっせいや」というギャグの面白さだ。

「せっせっせいや」は、ぱっと見では掛け声と共にギャグを言うリズムネタだ。

YouTubeでせいやが「せっせっせいや」の面白さを解説する動画が、「ダンダダン」に僕が感じている面白さの説明としてとてもしっくり来る。

せいやによる「せっせっせいや」の面白さの解説を要約すると、こういうことになる。

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「せっせっせいや」はリズムネタではなくエネルギー芸。

「変なフリ」→「変なフリ」→「半オチ」→「変なフリ」→「変なフリ」→「半オチ」…と流れを切らずに続いていくことで、ずっと「何かしている状態」を積んでいっている。

普通は、オチとツッコミ、ブリッジ(「〇〇斬り!」「チクショー」など)でひとつの流れが終わるところが、オチで終わらずにさらに意味がわからないことが起きる。

途中で少しでもエネルギー減ったらダメ。

エネルギー・エネルギー・エネルギーの積み重ねで爆発的な笑いを起こす。
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これこそ「ダンダダン」の面白さの肝だと思う。

バトルの終わりがけに突然ラブコメのような「恋に落ちるシーン」が大ゴマで描かれる、日常ラブコメ回のような展開だったのに急にオカルトホラーな画面が現れる…
通常「解決・オチ」がくるべき場所に「さらに予測不能な展開」を置くことでおもしろさが昇華されないまま雪だるま式に蓄積・拡大されていくのだ。


こんなストーリーテリングが成立しているのは、この作者の画力によるものだと思う。

ペンタッチの実在感のある画が、普通はバラバラになってしまうような展開を一つの物語の中に納めている。

大きな目標に向かってだんだん進んでいくという推進力の代わりに、回を追うごとに「ヤバイ画面」が増えていくことが物語を前に進めていく。


週刊連載の漫画で、「回を追うごとに画面のエネルギーを増やしていく」という正気とは思えない離れ業をやってのけているのが「ダンダダン」なのだ。


こういう漫画は間違いなく毎週その展開に驚きながら読むのが一番面白い。

なんとジャンププラスは初回は無料で全話読めるという意味がわからない親切仕様なので、未読の方は今すぐぜひ。

パソコンのデカい画面で読むのがおすすめです。


サイトウでした。



@いえもん
ご愁傷様でした。

僕も身近な人の死をほとんど経験してないから、きっと幸せなんだろうなあ、と思いました。

誰でも会える時に会っておかないとだね。



@きっちゃん
「ダンダダン」読んでるんだっけ?

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