陰陽五行と唇(唇№6)

木火土金水

今日は前回お伝えした通り、陰陽五行説で唇について語りたいと思います。
ただ、私の言う五行説は勝手理論。
手ほどきを受けたり、本を読んだり、理解しよう、とはしたものの、どうもそれを考える余裕がなく、挫折しました。

ただ、身体感覚が広がるにつれ、自分の身体を例えば、脳、内臓、骨、筋肉、肌、というようにそれぞれの働きとして分けていったところ、ちょうどいいのが「五つ」なのだ、と思うようになり、以来、新しい感覚に気づいた時に木火土金水の五つに分けて考えるようになりました。

専門にこれを学び、理解し、使っている人と話しても、なかなか理解されないのですが、自分の中ではこのまとめ方により、たくさんの術理を散らかさず、ちゃんと選べるようになるのですから、確信はあります。

味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚

五行の中で五感はこんな順番で動きます。
どれをスタートにしてもいいのですが、私自身は触覚の人。常に、身体に出てくる痛みを手掛かりに技を練ってきました。
おかげさまで、どれだけ強く痛く抑えられても、まだ動ける場所はあるな、と思えるようになり、相手に自分の心を奪われずに済むようになりました。

ただ、心の中では戦うのは嫌だし、痛いのも嫌、そもそも、外に出て注目を浴びたりするのも苦手なので、引きこもれるならそうしたい、みたいな性格です。
ですから、見るもの、聞くもの、触れるもの、それらの刺激はどれも、「苦」として受け止め、悪い想像をしてしまいがちなのです。

しかし、唇に働きをみつけ、浮かせてみれば、そんな気持ちが消えました。
この人生で起こる全ての事を味わってみよう、という思いが生まれたのです。

全ての技は要らないのかもしれない、そんな思いを持つ事になったのも、勝手五行からの気づきです。
私の技の多くは触覚の技。身体に見つかる触覚を扱う事が多いです。
今、世の中に残っている技法の多くは触覚は少なめだと感じます。いかに相手を見るか、いかに相手を聞くか、いかに気配を嗅ぎ取るか、触覚は人気がありません。

おそらくですが、触覚の技は機械や他者に任せる事で、自分の苦労をなくす事が出来たからではないかと思います。
だからこそ、それ以外の感覚を磨き、不思議なものとして、残しているのでしょう。
周りが触覚を扱う術を無くしたので、結果的に私の技は不思議、と言われるようになりましたが、それは勘違い。ちゃんと誰の中にも備わっているもの、それを忘れて欲しくはありません。

触覚と味覚の関係

長く身体と向き合い、稽古をしてきたので、触覚は得意です。ただ、心の中には我慢があり、苦がありました。
そしてその苦を作っていたのが味覚だったのだ、と五行を見ているとわかります。
触覚を活かし、それに味をしめられれば、苦しさがあっても、その後に出てくる成果を期待して動く事が出来るでしょう。私が身体にはまっているのも、ある意味、味をしめたから、とも言えます。

ただ、今ある苦しみは最初に味覚を味わいたくない、と手放した食わず嫌いの影響もある、そう思いました。
食わず嫌いで排除するのではなく、そこに何かビックリするような新たな味もあるはず、そういう気持ちで生きていけば、結果的に身体はリラックスをして、持っている動きを活用できるようになるのです。

味覚から触覚に移る中で気づく様々なもの、匂いや音、光などはある意味おまけです。
その音や光を操って人にプレゼントをする事もできますが、それはおまけ。
引きこもり的な私に必要なのは、味覚と触覚の最初と最後だったようです。

死後の世界も楽しく過ごしたい

現代はコミュニケーション社会です。
そして、それはこの先、さらに進化をして、つながりを強制してくるでしょう。
あらゆるところにカメラが置かれ、スマホを通して行動が筒抜けになり、監視社会がさらに進みます。信用スコア、みたいなものも導入されるようになるでしょう。
好き勝手に過ごす事が非常に難しくなります。

とはいえ、過激な事をする気持ちもないので、今すぐにそれに反対しよう!という気持ちも出ません。
ただ、便利、安全、豊かになるからと言って、コミュニケーションに頼っていると、イザという時、納得が得られません。
いつか、一人ぼっちになる事もある、それは覚悟しています。

私は自閉的。引きこもり的です。
いま、外に出て、人と出会い、こうして言葉を外に向ける仕事をしていますが、その源泉はひたすら身体という自分に引きこもり、そこで得たもの、好きな事だけを伝えさせてもらっているので、らくちんです。
顧客満足度を求め、ご機嫌を取ろうとして仕事をしたなら、きっと、続きませんでした(笑)。

結果的に、コミュニケーションも学びながら、自閉的な生き方の楽しさも得られました。
唇は始まり。それまでどんな業でも、過去でも、前世を抱えていても、唇の感覚を持てば、味わうぞという覚悟を持って生きる事が出来るものです。
そして、触覚は見つかる痛み、苦しみに反射的に思考を止めなければ必ず答えへの糸が見つかるのだ、と教えてくれます。

華麗な技、綺麗な歌声、特別な雰囲気は私には出せません。
外には目立つ力を出せませんが、自分に向き合う入り口を二つ、今持っています。
自閉的な性格をお持ちなら、そのままこの二つは喜びとして感じられるはず。周りよりもまず自分、自分の中に最高の幸せ、納得を感じてからでないと生きられない、そんな苦しさを持つ人の助けになれます。

ただ、多くの人は、世の中の役に立ちたい、人に良く見られたい、という思いの方が大きいでしょう。コミュニケーションの中で生きる事を求めています。
ただ、いつか人は死にます。かなり最後までコミュニケーションが続くのでしょうが、それでも、いつか、一人になる時がくるはずです。
魂だけになって、一人感が出てた時、味覚と触覚の理解はきっと、役に立つ、そんな思いがしています(笑)。

今日は陰陽五行という宇宙さえも説明する理論で話をしたので、私の気分も上がってしまいました(笑)。
死んだ後の事まで話をしてしまいました。

ただ、いつも稽古はこんな感じ。
変な話ばっかりしています。おおよそ、武術、武道、格闘技のような雰囲気はなくなってしまいました(笑)。
でも、これが結果的に超安心へと導いてくれているのです。ぜひ、自分の身体に向き合う方法を試してみてください。

【関東稽古予定】参加受付中

12/4(日)  つくば稽古
12/18(日) 東京稽古
12月の関東稽古では、「唇の秘密」について、詳しくお伝えしたい思います。
基本もなければ、覚えなくてはいけない技もない。ペアを組んで号令に合わせて行う練習もありません。気楽に、興味本位でご参加ください。

詳しくはウェブサイトでご確認ください。
申込、詳細はこちらのページから

【甲野善紀先生】浜松稽古参加受付中


11/26(土) 甲野善紀先生浜松稽古
先生の稽古は受講の仕方が自由です。
見るだけ、聞くだけでも大丈夫。もちろん、しっかり、手を合わせて感覚を探る事も出来ます。
武術だから、と敷居が高いと思われる人もいるかもしれませんが、大丈夫です。
私は先生にお会いして人生がガラリと変わりました。こんな生き方があるのを知らなかったのです。その生き方とは「身体に従い生きる」という生き方。便利になりすぎて、皆すっかり忘れてしまっています。
一生に一度は甲野先生の稽古を・・・、そんな気持ちです。

詳しくはウェブサイトでご確認ください。
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