[備忘録]ノーコードプラットフォームの社会的影響について
ノーコードプラットフォームを非ITな人たちに解説するにあたってノーコードの社会的な影響をメリットデメリット視点で整理してみようと思い、以下のようにChatGPT先生に相談してみました。そうすると思ったよりしっかり回答してくれたので備忘を兼ねて私の理解も交えつつnoteに残します。(注意:この記事はChatGPT先生の回答を私なりに理解し、書き直したものです。)
まず、ChatGPT先生は英語のほうが回答の速度が早いので以下のように質問してみました。
そうすると、15秒くらいで12個も挙げてくれました(スゲェ
不思議なのは上記の通り「社会的な影響を〜」とオーダーしたのですが挙げてもらった12個はいずれもノーコードプラットフォームのポジティブな部分を取り上げてくれた点です。
技術創造の民主化:Democratization of Technology Creation
革新の増加:Increased Innovation
起業家精神:Entrepreneurship
教育:Education
就労の機会:Job Opportunities
デジタル変革の加速:Faster Digital Transformation
コミュニティの形成:Community Building
アクセシビリティ:Accessibility
過度な単純化の可能性:Potential for Oversimplification
経済的影響:Economic Impact
開発途上地域でのエンパワーメント:Empowerment in Developing Regions
IT役割の変化:Shift in IT Roles
上記の12個を順に解説していきます。
ノーコードプラットフォームがもたらす社会的影響
技術創造の民主化:Democratization of Technology Creation
最も大きな影響の1つはソフトウェア開発の民主化です。以前は、ソフトウェアの作成はプログラミングができる(コーディングスキルを持つ)人々に限られていました。ノーコードプラットフォームが誕生し、普及した現在では専門的なプログラミング教育を受けていない人々を含む、より多くの人々がそれらを使ってソフトウェアを作り、自身のアイデアを実現できるようになってきました。私もノーコードプラットフォームによってソフトウェア開発の裾野が広がり、それによって様々なインパクトが生み出されていると実感しています。
革新の増加:Increased Innovation
これは1つ目の「技術創造の民主化」が大きく影響しています。より多くの人々がソフトウェアを作成・流通させることができるようになると、革新が急増します。従来の開発者中心の環境では考えられなかった新しいソリューション、アプリ、プラットフォームが登場しています。日本においてもノーコードプラットフォームはたくさん生み出されています。
起業家精神:Entrepreneurship
ノーコードプラットフォームは、起業を志す人々がアプリを作って新たなビジネスを興すハードルを下げているでしょう。彼らはプログラマに頼らずにノーコードプラットフォームを用いてビジネスアイデアをより迅速かつ低コストで検証でき、スタートアップや中小企業の増加が期待できます。
日本のノーコード界隈でもMVP開発をサービスにしているところもあり、たくさんの人がチャレンジする環境、サービスが整ってきているでしょう。
教育:Education
教育の場では、ノーコードプラットフォームを使用して、文法や複雑なプログラミング概念の初期の障壁なしに、ロジック、問題解決、ソフトウェア設計の基本を教えることができます。これは教育を供給する側のメリットも大きく、ノーコードプラットフォームを扱う人材の育成はプログラミングができる人材の育成よりも遥かにハードルが低く、育成が容易です。ノーコード教育に携わる人材や教材が増えればそれを利用する生徒はプログラミングに必要な論理的思考やソフトウェア設計の基本を学ぶことができ、より高度なプログラミング技術の習得に寄与するでしょう。
就労の機会:Job Opportunities
ノーコードプラットフォームが人気を博すにつれて、これらのツールの専門家に対する需要が増加しています。これにより、ノーコード開発を専門とする人々のための新しい職種や機会が生まれています。今までノーコードエンジニアという職種はありませんでしたが、現在では優れたノーコードエンジニアとして高い給与を稼ぐ人もいます。
デジタル変革の加速:Faster Digital Transformation
中小企業(SME)を中心に、ノーコードプラットフォームはデジタル変革を加速させると言われております。中小企業は予算的、人的なリソースが大手企業に比べて少ない場合が多く、多くのプログラマを動員する変革プロジェクトを運用することが難しい場合があります。ノーコードプラットフォームはプログラマでなくても業務改善や変革を起こすソフトウェアを作成することができるため、中小企業でも有効に使えば市場の変化に迅速に適応し、新しいデジタル戦略を実施し、ITへの大きな投資なしに運用効率を向上させることができます。
コミュニティの形成:Community Building
ノーコードプラットフォームの台頭により、それらを使うユーザーがテンプレート、チュートリアル、成功事例を共有する活気あるコミュニティが形成されています。それらはYouTubeであったりnoteであったり様々ですが、これにより、相互に教え合う協力的な環境が育成され、学習が加速していきます。日本でも@NoCodeCampSalonなど活動盛んなコミュニティが登場しています。
アクセシビリティ:Accessibility
ノーコードプラットフォームは、アクセシビリティを促進する組み込み機能を持つことがよくあります。これにより、障害を持つ人々にも使用可能なアプリを作成することができます。これにより、より包括的なデジタル環境が生まれる可能性があります。
私はこれについてはよく理解していなかったのですが、webアプリ開発で使われている.bubbleでは以下のプラグインを公開しており、ウェブアクセシビリティ向上のために使われているようです。
過度な単純化の可能性:Potential for Oversimplification
一方で、ノーコードプラットフォームが作成を容易にする一方で、複雑な問題を過度に単純化するリスクがあります。すべてのアプリケーションやシステムがノーコードを使用して構築されるべきではなく、特に複雑なカスタム機能が必要なものはそうではありません。
ノーコードプラットフォームを使っているとよくあることなのですが、「コードが書けるならどれだけ楽か・・・」と思うことがあります。コードを書けないがゆえに回りくどい、複雑な実装になったりすることがあるからです。
経済的影響:Economic Impact
ソフトウェア開発に関連するコストと時間を削減することで、ノーコードプラットフォームは経済的な利益をもたらすことができます。企業はリソースをより効率的に割り当てることができ、個人はより少ない資本で起業にチャレンジすることもできます。
開発途上地域でのエンパワーメント:Empowerment in Developing Regions
正式な技術教育が限られている地域では、ノーコードプラットフォームが地域の課題に合わせたソリューションを作成するための機会を提供します。前述したプログラミング教育よりもノーコードプラットフォームを用いるほうが教育が容易と書いた通り、途上地域でもノーコードプラットフォームを扱う教育を提供できる可能性は大いにあります。
IT役割の変化:Shift in IT Roles
ノーコードプラットフォームが一般的になるにつれて、伝統的なITの役割が進化する可能性があります。IT専門家は、純粋なコーディングの役割から、よりコンサルティング、統合、戦略重視のポジションへと移行するかもしれません。これはリソースの最適化がより実現するというふうに考えるとよいかもしれません。
以上のようにノーコードプラットフォームは新たな革新、インパクトを生んだものとなっていますが、どんなツールでもそのように独自の課題や制約も含んだものになっています。次は、ノーコードプラットフォームが持つ課題や欠点についてまとめていきます。
ノーコードプラットフォームがもつ課題や欠点
ノーコードプラットフォームを使うにあたり、課題や欠点は以下のようなものになるでしょう。列記し、それぞれ解説していきます。
プラットフォームへの過度な依存:Over-reliance on Platforms
データのプライバシーとセキュリティ:Data Privacy and Security
パフォーマンスの問題:Performance Issues
カスタマイズの制限:Limitations in Customization
品質に関する懸念:Quality Concerns
スキルの侵食:Skill Erosion
経済的依存:Economic Dependence
理解の欠如:Lack of Understanding
スケーラビリティの懸念:Scalability Concerns
隠れたコスト:Hidden Costs
プラットフォームへの過度な依存:Over-reliance on Platforms
ユーザーは特定のノーコードプラットフォームに過度に依存する可能性があります。プラットフォームが閉鎖されたり、価格が上がったり、サービスの利用規約が変更された場合、ユーザーは困難な状況に直面する可能性があります。これはノーコードプラットフォームに関わらずの問題ですが、ノーコードプラットフォームが優れたものが多く生み出された結果、それだけでサービスを構築したり運用することができるようになっています。例えば.bubbleは非常に優れたプラットフォームで世界中の組織がWebアプリケーションの開発・運用しています。自社のビジネスがそれだけに依存しているところも多く、サービスが終了すると非常に大きな影響となるでしょう。ノーコードプラットフォームではなく、自社でインフラやソフトウェアを開発運用している場合はサービスの更新も終了も自社でコントロールできる範囲が多く、外部のサービス終了が影響するリスクはより少ないと言えるでしょう。
データのプライバシーとセキュリティ:Data Privacy and Security
ノーコードプラットフォームは、従来の開発と同じレベルのセキュリティのカスタマイズを提供しない場合があります。これにより、特にプラットフォーム自体にセキュリティの欠陥がある場合、脆弱性やデータ侵害が発生する可能性があります。これもノーコードプラットフォームのデータプライバシー、セキュリティを自社でコントロールできないことが多いため起こる問題です。プラットフォームによっては利用する国の法律や規制に準拠していないこともあるため、そういった面でも注意が必要です。
パフォーマンスの問題:Performance Issues
ノーコードプラットフォームで構築されたアプリケーションは、従来の方法で開発されたものと同じように最適化されていない場合があります。これにより、パフォーマンスの低下、リソースの消費増加、または他の非効率が生じる可能性があります。
プログラマやインフラエンジニアが専用設計で作り込むソフトウェアと違い、ノーコードプラットフォームで作られたソフトウェアは場合によっては最適でない技術やインフラ上で稼働することもあるでしょう。そういった点がパフォーマンス低下を起こす可能性がある、ということですね。
カスタマイズの制限:Limitations in Customization
ノーコードプラットフォームは多機能であるものの、制限があります。ユーザーは、カスタムコードに深入りせずに達成できることの限界に直面する可能性があり、機能やデザインの妥協を余儀なくされることがあります。これは前述しましたがコードを書けないためにノーコードプラットフォームの仕様に則した実装をせねばならないことがあり、これによって複雑な仕様や実装になることがあります。
品質に関する懸念:Quality Concerns
参入障壁が低下すると、設計や考え方が不十分なアプリケーションが増加する可能性があります。これにより、さまざまなマーケットプレイスで利用可能なアプリの品質が低下する可能性があります。
データベース設計に関する基本的な知識がなかったりするとパフォーマンスの悪いデータのもたせ方で実装してしまったり、ということがあります。こういったことは教育によってカバーできる問題も多く、今後の課題として認識していくべきでしょう。
スキルの侵食:Skill Erosion
ノーコードソリューションへの過度な依存は、従来のコーディングを学ぶ人々の数が減少する可能性があり、長期的にはスキルを持つ開発者のプールが減少する可能性があります。
これは大きな問題かもしれません。ノーコードプラットフォームはどうしても制約や課題があり、要望通りの機能を実装できない可能性もあります。より複雑で優れた機能開発をするにはプログラミングができるエンジニアの存在は重要です。しかしノーコードプラットフォームが過度に普及するとコードを書けるエンジニアが絶滅危惧種になるかもしれません。ゆくゆくは生成AIが解決する問題かもしれませんが、現時点では課題であります。
経済的依存:Economic Dependence
ノーコードプラットフォームだけにビジネスを築く人々にとって、経済的な依存のリスクがあります。プラットフォームが価格モデルを変更したり、持続不可能になったりすると、それらのビジネスに財政的な影響が及ぶ可能性があります。
余談ですが日本国内の企業や人が海外のノーコードプラットフォームを使うとよくあることですが、現在は円安が進んでいるため利用価格の面では大きな負担となり得ます。
理解の欠如:Lack of Understanding
ノーコードプラットフォームはアプリの作成を簡素化する一方で、基盤となる技術の理解が欠ける可能性があります。これにより、ユーザーが不十分な判断を下したり、デザインの選択の意味を完全に理解しない可能性があります。先のデータベースの例と同じですね。これは教育により解決していくのが正しいアプローチだと思っています。
スケーラビリティの懸念:Scalability Concerns
ビジネスが成長するにつれて、ノーコードプラットフォームで構築されたアプリケーションは、従来の開発方法で構築されたものと同じように効率的にスケールしない可能性があります。自社でインフラを構築し、そこでソフトウェアを稼働させていないために起こる問題です。起業フェーズではノーコードプラットフォームで構築していても、ビジネスが大きく成長するときはそれに合わせてプラットフォームを乗り換える必要があるでしょう。
隠れたコスト:Hidden Costs
ノーコードプラットフォームは初めはコスト効果的に見えるかもしれませんが、統合、スケーリング、または後でよりカスタマイズされたソリューションへの移行に関連する隠れたコストがあるかもしれません。
私はビジネスが成長したときのスケーリングや他のシステムとの統合で問題が起きることが多いと思っています。
まとめ
新しいサービスは欠点や課題がつきものですが、ノーコードプラットフォームにおいては技術変革やコミュニティ育成、起業の促進、教育などポジティブなインパクトが大きくあります。欠点として上がっているプラットフォーム依存で起こる技術的な課題、拡張性、移行はソフトウェアには多かれ少なかれある問題です。それらを蔑ろにはできませんが、ノーコードプラットフォームの技術が進むに連れてさらに解決されていくことを期待しています。
カラクリワークスではノーコードプラットフォームを用いたアプリの開発、開発支援、教育を行っています。小規模な開発でもお手伝いいたしますので、ぜひお問い合わせくださいませ。
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