見出し画像

同僚から映画に誘われた話。

「“つまらない”って話題だから観に行こうよ!」

こんな誘い文句で映画に誘われたのは、生まれて初めてだった。

「つまらないのに行くんですか?笑」と聞くと、
「そう!逆に気になるじゃん?」とケロッとして彼は言った。

彼は、違う部署の先輩で、わたしより5つくらい歳上だった。

中国出身で、たまに間違える日本語や、ちょっとぎこちない日本語の発音が可愛らしい人だった。

ある日、彼を含めたいつものメンバー4人での打ち合わせが終わった後、みんなの前で突然、「デートしよう!」と誘われた。

わたしも他の2人もびっくりしてしまったが、結局その場のノリでデートに行くことになった。
(他の2人はわたしたちより10歳くらい年齢が上だったので、若いもん同士行っておいで、と親目線で笑っていた)

そんなこんなで決まったデート(?)で映画を観に行こうとなったときに言われたのが、冒頭のセリフである。

海外のアクション映画。
先行上映されていた中国で“つまらない”と評判だったらしい。

他に観たい映画もなかったので、お付き合いだと思って、その“つまらない”映画を観に行った。


本当につまらなかった。

正直、映画のタイトルも覚えていない。
内容はもちろん覚えていない。
しかも続編映画だったので、パート1すら観ていないわたしには、ちんぷんかんぷんだった。
あと、わたしはアクション映画が苦手だった。

「つまらなかったね」
「つまらなかったですね」

映画を観終わった後、そう言って焼肉を食べた。

彼は今、結婚している。

同じ中国出身の方とスピード婚したと聞いた。

映画に行ってから、わたしと彼は特に何もなく、職場の同僚として普通に働いた。

お互いの部署異動や転職により、いつの間にか業務でもプライベートでも関わることはなくなっていた。

今頃どこで何をしているかも知らないし、今日この瞬間まで彼のことはすっかり忘れていたが、
『#映画館の思い出』
というnoteのハッシュタグを見つけて、ふとこの出来事を思い出したので、筆をとってみた。


ちなみにこの数年後、全く別の方だが、たまたま中国出身の男性とお付き合いした。

その彼と付き合っていた日々のことも思い出したが、それはまた別の機会に…


この記事が参加している募集

映画館の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?